ヴァサラ戦記の魅力

 せっかくアカウントをつくったので、このタイトルで思う事を垂れ流していこうかと思います。ヴァサラ戦記は、もう始まって二年くらいかもっと立つと思いますが、うぉ~うぉっ!という諸岡氏の雄たけびから始まり、激熱の最新54話までを余さず試聴しています。シネマンガがその頭角を現すようになった「あるあるネタ」から生み出されたものだと考えられます。シネマンガブラザーズを知るまでは、よしもとの芸人さんといえば、テレビで見るくらいのものだったのですが、やはり芸能の世界に飛び込んでいく人というのは何か光る才能をお持ちなのだと思うわけであります。
 シネマンガリーダー?のたろちゃん組氏がそれを発揮しているのが、まさにヴァサラ戦記という事になります。シネマンガはおざき氏の映画あるあるも含めて、必ずしもオリジナリティのあるネタを提供してきたわけではありませんでした。しかし、逆にネタの種類というのが膨大な物になっています。実はゼロから物語をつくるとき、より多種多様な作品から影響を受けているほど、その創作力には磨きがかかります。映画や漫画がなぜ「あるある」ネタを生み出すのか、という理解に基づいたクリエイターであるシネマンガは、なまじ小説サイトやブログで稼いでいる人たちよりも高いクオリティの作品を作ることができるのです。根気よく、毎日せっせと投稿を続ける小説家さんは、けっして面白くない作品を作るわけではありません。しかし、摂取してきた作品一つ一つに対する理解や、その物語を作るきっかけとなった教養や思考パターンというのが、どうしても消えません。それだけに、ある意味で「没頭」してしまうのです。しかし、あくまでネタとして作品を探求してきたシネマンガ作品は「没頭」がありません。創作で生み出される世界観というのは、小さいものが広がっていくのではなく、拾ってきた粘土をひっつけ、こねて……そうして自分の世界の上に新たな世界を作り上げる作業なのだと思うのです。この拾ってくる粘土を「アイデア」と呼ぶのだと思います。
 素人が「アイデア」を得て創作者になる瞬間というのが、シネマンガ作品、とくにヴァサラ戦記では見られるのです。ですから、そうした思考力を持つたろちゃん組氏のNote記事は、これから何か書きたい(描きたい)と思っている人にはすごく刺さるというわけです。初めは一あるあるネタに過ぎなかった?ヴァサラ戦記は、これまであるあるネタで蓄積してきたたろちゃん組氏の様々な「アイデア」と、他のメンバー達の「アイデア」を利用した一大プロジェクトになっています。少ない予算で、公園で通りすがりの親子に見つめられながら……。
 ヴァサラ戦記がさらに良いのは、強いメッセージ性を持つ点です。メッセージというと、なにか大きなテーマが定められていて、それに沿って話が進んでいく=先が分かりやすいというイメージがあると思います。実際そう言った作品も多く、なんとなく物足りない、と感じてしまう事もあります。ですがヴァサラ戦記は、詳しい設定を明らかにしないことによって、逆にそうしたイメージに「芯」を持たせつつ「新」しい作風となっているのです。この物語の背景はどうなっているのだろう……この設定のモチーフは?なぜこのキャラクターは、こういった行動をしたのか、などなど、考えることが尽きなければ尽きないほど、作者が伝えたいメッセージが映えると同時に、作品に意図されていない奥行を持たせることができます。この奥行きがない作品は、どれだけシナリオが良くても、なんだか楽しくない感じが、私はしてしまうのです。しかし、逆に鑑賞する側の視点でこうした考えを持っていると「分からないからつまらない」という、作品鑑賞をするうえで最ももったいない考えに至らなくなります。むしろ、少しくらい隠してくれないとつまらないとすら思うようになれます。こうなってしまえばもう「こちら側」の仲間入りです。ヴァサラ戦記の描き方は、作者から一方的なメッセージを与えるのではなく、視聴者が受け取ったメッセージをどう捉えるのか、という余地が残してあり、これこそが真のメッセージ性と言えるのではないでしょうか。
 今回はたろちゃん組氏の温かい言葉をいただき、ファンノベルという形でヴァサラ戦記への印象や考察を表現させていただきました。「自分の作品を愛してください」という言葉を頂いたとき、彼がどれほど沢山の考えに触れてきたのだろうと感銘を受けました。自己表現である芸能、創作に触れている人物としては、なかなかたどり着けない境地です。それでいて、毎回原作ヴァサラ戦記ではこちらの期待を超えて「どうだ」といった内容を投稿するのです。こうした地盤があることで、ありがたくもシネマンガテレビファンの方が拙作に目を通してくれる機会にも恵まれるのでしょう。

 ふわっとした文章にはなりましたが、今回はお試しで長々と書かせていただきました。ヴァサラ戦記、まだまだ主人公周りや隊長たちの間に、様々な物語が眠っているようですので、もうしばらく楽しめそうです。この作品が、素人の動画の枠を超えて、まさに「生ける伝説」となる日に備えて、私もこつこつと「アイデア」を蓄えて、いろいろな作品を楽しんでいきたいです。


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