A・アメリ

美しい花の記憶を形にしたくて俳句を始めました。

A・アメリ

美しい花の記憶を形にしたくて俳句を始めました。

最近の記事

9月24日 秋の道

はばたきのひかりにとけて秋の蝶 きちきちとつかずはなれずあゆみをり

    • 扇置く

      内暗き紅殻格子蝉しぐれ 引き結ぶ口元に紅風の盆 戯れに風ひとひらを扇置く 約束といふには遠く赤まんま 笛の音について行かうか夕月夜

      • 美しく水実らせて秋果かな

        うつくしくみずみのらせてしゅうかかな (秋果/三秋)

        • kitchen

          秋麗の銅の小鍋を磨き上ぐ 金継ぎの金のぽつてり菊膾 諍ひのあとの厨に葡萄食ふ

        9月24日 秋の道

        マガジン

        • エッセイ
          6本

        記事

          右からもつくつくほーしほーしかな (法師蝉/初秋) 朝夕は涼しいけれど日中はまだ暑い。服装選びなどもなかなか難しいですね。どうぞ夏のお疲れが出ませんようお過ごしください🐻

          右からもつくつくほーしほーしかな (法師蝉/初秋) 朝夕は涼しいけれど日中はまだ暑い。服装選びなどもなかなか難しいですね。どうぞ夏のお疲れが出ませんようお過ごしください🐻

          陰翳礼讃的な

          コロナ禍をきっかけに始めたオンラインゲーム、どうぶつの森ポケットキャンプ。一緒に始めた知人たちは自粛緩和とともにフェイドアウトしていて「アメリまだやってたのぉ?」などと言うが、なんのなんの、今も変わらず楽しい。週末久しぶりに谷崎潤一郎を読んで、ちょっと陰翳礼讃してみたくなった。花の宿をテーマにレイアウトして全体の照明を消すと、おお、陰翳。水面や花明りが美しい。 照明をつけると、こんな感じ。 ※ニンテンドーから、11月29日をもってサービス終了とのお知らせが来た。書きかけの

          陰翳礼讃的な

          深呼吸して胸のうち青岬 青岬(あおみさき) 夏の爽やかな海風に包まれた岬 (『俳句季語辞典』より)

          深呼吸して胸のうち青岬 青岬(あおみさき) 夏の爽やかな海風に包まれた岬 (『俳句季語辞典』より)

          玉苗や山を仰げば山のあを

          たまなえややまをあおげばやまのあお

          玉苗や山を仰げば山のあを

          醒めながら箱庭の夢尾瀬ヶ原

          さめながらはこにわのゆめおぜがはら 7/13-15 群馬県片品村の鳩待峠から入り、尾瀬ヶ原、尾瀬沼を巡る。朝の透明な日差し。雲が足早に空を覆うときの静けさ。風。水面に波紋。やがて激しい雨。

          醒めながら箱庭の夢尾瀬ヶ原

          柔肌を一幅として五月闇

          やわはだをいっぷくとしてさつきやみ

          柔肌を一幅として五月闇

          錫の鉢

          薄氷にうつむきて簪の音 ぼうたんや片恋といふ白きもの 額の花出さぬ文ばかりを数へ 路地まづ暮れゆく街や錫の鉢 香水をくぐりて今朝のひととなり

          御仏やあぢさゐに只今の色

          みほとけやあじさいにただいまのいろ

          御仏やあぢさゐに只今の色

          泳ぐ

          水面で絶えず揺らめくコースラインが、潜った瞬間おとなしく直線になる。等間隔の直線がずっと先まで伸びている。ああ、いいな。壁を蹴る。体を伸ばす。ラインに沿って腕、指、脚、爪先。大きく水を掻く。腕を水から抜いて再び大きく伸ばす。水を蹴る。水の重みを蹴る。息を吸う。吸った空気がもたらす浮力を味わう。斜め上に浮き上がる感覚がある。泡として吐く。呼吸で移動する水母みたいだ。でももっと力強い。空気を出し入れするために泳ぐ。泳ぐために空気を出し入れする。 紫陽花のそばの日陰でクロスバイク

          <空蝉となりたることをまだ知らず> この句を読んで、俳句っておもしろい!と思ったんだった。うんうん、絶対彼ら、空蝉になったこと分かってない! どうしてこんな鮮やかな表現ができるんだろうって。この気持ちよさ、ずっと、憧れだな。 (俳人 鷹羽狩行さん逝去)

          <空蝉となりたることをまだ知らず> この句を読んで、俳句っておもしろい!と思ったんだった。うんうん、絶対彼ら、空蝉になったこと分かってない! どうしてこんな鮮やかな表現ができるんだろうって。この気持ちよさ、ずっと、憧れだな。 (俳人 鷹羽狩行さん逝去)

          正鵠へ三十三間青嵐

          せいこくへさんじゅうさんけんあおあらし

          正鵠へ三十三間青嵐

          本を贈る

           仕事終わりに机を乾拭きするのが好きだ。静かなピアノ曲を流しながらゆっくり腕を動かすうちに、気持ちの昂りが少しずつ落ち着く気がする。今日はふと、しばらく開けることのなかった一番下の深い引き出しに手をかけた。 冬のままだ。優しい光を見たくて並べた真珠のネックレス。ラベンダー精油の遮光瓶。陶製の小さな燭台。眠れない夜に眺めた絵本。 そうか。最後にここを開けたのはクリスマスの頃だったな。小さなハードカバーの絵本は、手に取ると卵の殻のように少しざらついた。子どもを描くが甘くはない