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【ブラック企業時代編#3】行った営業先も超絶ブラックだった話

ゴリゴリのブラック企業の営業時代の
中でも忘れられないエピソード

いつものように地獄のテレアポがスタート
大半は早々に断られる。しかしこの日は
いつもと違った

「えぇいいですよ。お越し下さい」

いともアッサリとアポイントが取れたのだ
これはラッキーだ!もう成約確定じゃないの?
なんて同僚に話しながら意気揚々と会社を
出発するのであった。

とりあえずアポイントが取れて
会社から出れただけでも良かった
アポイントが取れなければ夜の23時まで
ひたすら電話である。夜中はスナックや
居酒屋に電話してよくキレられたものだ
マネージャーからの睨みは怖いし
たまったもんじゃない
※どれくらいブラックかは②をお読みください

45分ほどかけてアポイント先に到着した。
しかも偶然にも我が家の最寄駅
この駅にこんな会社あったんだと思いながら
先方の呼び鈴を鳴らす。

出てきたのは笑顔が柔らかい30代くらいの男。「お待ちしてました」と奥に案内される
やけに丁寧だなーと思いながらも
いつもは大体煙たがられるので悪い気はしない

訪問した会社は健康食品などを取り扱う会社
小さい会議室に案内された私は名刺交換を
済ませ戦闘準備に入る。我がブラック企業は
その日即決がモットー。入ると成約するまで
そう簡単に出ず粘る。正確にはマネージャー
の許可が無いと出させてもらえないのだ。

当時私は会社で使うビジネスフォンを販売
していた。ただの電話じゃない。システム
から一式なので数百万を7年リースで売るのだ

早速商品の説明を行うのだが、
今日はいつもと何か感覚が違った
笑顔が柔らかいこの男。うなずくわりに
心ここにあらずって感じだ。
ひと通り説明を聞いた男はこう言い放った
「また社長に言っておきますね」

まただと?うちはその日即決だ
そんなの鬼マネージャーが許すわけない
まずい、、、殺される……焦る私

どうここから挽回するか考える私に
男が話しかけてきた

「お時間ありますか?せっかくだから
うちの商品の話を聞いていきませんか?」

今帰るわけにはいかない私に断る理由はない
とりあえず時間を稼ごう。わかりました
聞きますと答える私


そして私は大きな会議室に案内された
そこには数十人の老若男女がいて何やら
表彰式のようなことをしている

「田中さん10個おめでとう」
「山下さんは何と30個です〜」
「山下さんはゴールドに昇格です」

何だ何だ?今まで見たことない変な空気だぞ
しかし冷静になった私は悟るのであった
「これはネズミ講と呼ばれるネットワークビジネス!の健康食品バージョンだと!
やられた!だからあんなにあっさり
アポイントが取れたのか、、、

はぁ〜、すでに先方に入って60分が経過
マネージャーに業務連絡しないと殺される
とりあえず少し会場を離れてマネージャーに
電話をした。この状況を報告してさっさと
帰ろう。さすがにネズミ講の話をしたら
鬼マネも売れないとわかるだろう

しかしさすが一流ブラック企業の
マネージャーは違った。彼の言った言葉を
今でも忘れない。
「いいか!◯◯本名!これは売るか売られるかの戦いだ!お前は今日どっちになるんだ?」

こんなフリをされてブラック企業には
答えは1つしかない
「はい!売る方です!!!」😂

落胆しながら会場に戻る私。
今度は笑顔が柔らかい男が近寄ってきて
銀行通帳を見せてきた。残高は数千万

◯◯本名さんも頑張れば稼げますよ!
一緒に頑張りましょう!と周りのガヤ

普通の人なら買わされたかもしれない
絶対的アウェイであるが、こっちも
一流ブラック営業会社の社員である

私はこれを言ってダメならもう帰ろうと決めた
「そんなに金あるならビジネスフォンくらい
 契約するの余裕っすよね?」

会場に静寂に包まれる。

戦いは終わった
引き分けてある…

会社を出て、出たことをマネージャーに電話
とりあえず理不尽に詰められるのであった
小さな喜びは地元だったので初めて
直帰したことでした。

なお今でもその会社は存在している…。

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