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お寺の掲示板 【No.24/柊原のお寺・真宗寺/2023.1月】



【掲示板の言葉】

身体は芭蕉葉に同じ


仏教語に、この世のあらゆる事象は実体を持つものではないことを表わす 10 種のものごとを列挙した、「十喩」という言葉がある。

「十喩」は 2 バージョンあり、その1つ「維摩経十喩」は「聚沫(水しぶき)・泡・炎・芭蕉・幻・夢・影・響・浮雲・雷」。

これらは総じて「身体の仮合」を所説とする。

分かりやすく言うと、例えば「芭蕉(バショウ)」はショウガ科の植物で、葉鞘が発達し、茎のようになる。これを「偽茎」と言う。木本のように見えるが多年草であり、脆くやわらかい。

この特質から、人体が確固なものだと思っている者に、人体は仮初めであると諭し、人生は儚く、人命は淡く、あらゆる事象は去りゆくものであると説かれるわけだ。

蓮如の『帖外御文』にも「芭蕉」の語が見られる。現代語訳したものを以下に記す。

【さて人間のていたらくを静かに思うに、老少不定とはいいながら、無情なものは私どものような凡夫のさだめである。人間の身体は芭蕉の葉に同じ。いますぐ無常の風にあえば、たちまち破れさるのを、誰がのがれることができようか。】

この無常の感得が仏道の出発点でもある。

年が明けた。本年もよろしくお願いいたします。
向かうこの一年。どうか空過(くうか)なきものたりたい。

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