『完璧美男子(腹黒)×無表情メイド(毒舌)+変態JK(ペット枠)の日常』 第2話

「見て!東雲様よ!今日もカッコ良いわね!!!」

「キャァァァァ!!!東雲様よ!!!」

「あぁ、今日も世界の朝が来たわね!」

街案内が開始されて数十分・・・東雲さん達と歩いて分かった事がある。

この東雲暁と言う男・・・マジでカッコ良い事が!!!

別に百合卒業とかそんなんじゃないから!!!

好きとかそんなんじゃないから!!!

ツンデレとかじゃないから!!!

でもまぁ、それは薄々分かっていた事だ・・・ただ予想外な事実も発見した。

「おぉ、東雲君!水無月さん!こんな所で会うなんて奇遇だね!前回のテニス対決、完敗だったよ。自身結構あったのにな。また、対決したいものだ。リベンジさせてもらうよ」

「悪いですが、次も負けませんよ!」

「はっはっはっ!そうそう、今度夕飯食べに来ると良い!東雲君と水無月さんが来たら妻も子も喜ぶよ!」

「ありがとうございます」

「是非お邪魔させて頂きます」

東雲さん・・・男にも評判か良いのだ!

そんな事ある!?男にもだよ!?

普通イケメンってだけで男にだいぶ嫌われると思うけど、なんで嫌われてないか分からない!

凄すぎやしない!?いや、ヤバすぎでしょ!?

本当に水無月さんが言った通り、『完璧美男子』だ!

これは改めて感じられた・・・そして、もう一つ分かった事がある・・・それは・・・

「キャァァァ!!!カッコ良い!!!」

「マジ、イケメン!!!」

「サイコー!!!」














外野がめっちゃうるさいって事!!!

いや、分かるけど!百合の私でも分かっちゃうけど、うるさ過ぎ!!!

その中で一番聞いてて意味分からない会話がある。

『ねぇ、今日の『日の出』は10時34分26秒・・・私の中では中々早い時間帯よ』

『フッフッフッ、甘いわね、甘々ね。私なんて8時47分14秒だった時があるんだからね』

『2人共?私からすれば五十歩百歩って所ね。私なんて6時27分35秒の時があったんだから!』

『嘘でしょ!?何でそんな早く太陽を見てるのよ!?・・・私なんか太陽が出ない日もあるというのに!許せないわよ!覚悟しなさい!』

あぁ〜///女の子達が戯れる・・・なんと荘厳光景///あぁ、妄想するのも良いけど現実の百合も良いわね///あぁ、見ているだけで幸せ〜///・・・じゃなくて!

『今日の日の出は10時・・・』

不意に聞かされた私の頭の上に?がいっぱいになってしまった。

日の出の時間が10時?何言ってんだコイツ?私が言うのもアレだけど、馬鹿なのかな?

しかし、よく考えれば実に簡単な事だった。

その日初めて東雲さんと会った時間を巷では『日の出』と言っているらしい。

ちなみに理由は名前の『暁』からだそうだ。

ちょっとセンスあるなと思った私がいる・・・

「────さて、歩き疲れたね。ちょうどこの先に俺達行きつけのカフェがあるから行かない?店のクーポンもあるしね」

「行きます!!」

ヤバい!このイケメンに言われたら断れない!百合なのに断れない!

私はカフェに向かう事となってしまった。

──────
────
──

「────どうだったかな?此処のケーキ、特にチョコレートケーキは絶品だろう?」

「はい!最高に美味しいです!」

「それは良かった。連れてきた甲斐があったよ!」

あぁ、イケメンが私に向けて微笑む・・・それを間近で見られ、ケーキも美味しく頂けるなんてこんな役得他にないよ〜///

────って違ぁう!!!私は百合なんだぁ!!!顔が良くて、性格も良くて、誰からも好かれているだけの男に靡いてどうするんだぁ!!!

はぁ・・・はぁ・・・頭の中で・・・頭の中でこんなに疲れるのは初めてだよ、やはりイケメン・・・男は悪ね、悪!

後、東雲さんは気付いてるか、気付いてないか、知らないが・・・

「何?あの女!!私達の東雲さんとお茶してるなんて!許せないわ!」

「ズルい!私だって会話なんて数えるくらいしかしてないのに〜!!!」

「まぁ、私の場合は妄想で何度かお茶してるけど、あの女は許せないわね」

外に群がっている女の子達の嫉妬の雨が辛い!辛いよ〜!

私を嫌いにならないで!これは偶々なの!私が好きなのは女の子だけなのよ!

兎に角早くここから出ないと、最悪後ろから刺されかねない、グサっと!刺されかねない!

「あ・・・あのう・・・そろそろ行きませんか?」

「うん、そうだね。あんまり長居してるとお店の人に悪いしね。じゃあ、お会計しようか」

私達が会計に向かおうとした時・・・

「お会計・・・5250円になります」

凄い勢いで店員のお姉さんが怖い顔してやって来た。

高っ!?そんなに食べてないよ!?・・・はっ!?このお姉さん、私に嫉妬して高くお金を払わそうとしているのか!?

お金を払おうか払うまいか決めかねていた私を救ったのは勿論、あの方だ。

「あっ!すいません、ここは俺が払いますよ」

さも当然のように奢ると言って見せた、東雲さん。

「いや、東雲君ダメよ。いくら君が良い人でも、こんな糞女に奢るなんていけないことよ」

んだと、誰が糞女だ!

「いやいや、彼女はこの街に引っ越して来たばかりで右も左も分からないので案内している途中なんですよ。そして、休憩がてら此処に寄ったんです。此処のケーキは絶品なので彼女にも紹介したくてね」

「あっ///そうなんだ///それは知らなかったわ///そうね、じゃあ、東雲君が払うんだったら・・・うん500円で良いかな///」

安っ!?いきなり安っ!?さっき5250円とかじゃなかったっけ!?値段暴落し過ぎでしょ!?

「あっ!そう言えばクーポンも持っているんだった」

「そう///なら50円ね///」

・・・もうこれ安いとか安くないとかの問題じゃないよね。店潰れちゃうんじゃない?馬鹿なの?

そんな事を考えていると・・・何を思ったのかお姉さんはいきなり東雲さんに倒れ込んだ。

突然の事に東雲さんは対処出来ずにそのまま東雲さんの胸に飛び込むような形になってしまった。

「あら///ごめんなさい///つい、転んじゃった///ごめんなさいね///」

マジか!このお姉さん!?わざと転びやがった!?

くっ!東雲さんに抱きつくなんて羨まし────違う!違うの!羨ましくなんてないの!私は百合なのよ!

「・・・あっ・・・そうですか・・・怪我が無くて・・・良かった・・・です」

あれ?なんか東雲さん、顔が引き攣ってるように見えるのは気のせいだろうか?

心なしかさっきまでのキラキラした感じが薄れている感じもしないでもない・・・水無月さんもお姉さんの事めっちゃ睨んでる・・・いや、今にも殺しそうな勢いで睨んでるんですが・・・お姉さんは気付いてないよ・・・

「ありがとうねぇ///じゃあ、また今度も来てね」

「あ・・・はははは・・・じゃあ・・・行こうか加藤さん・・・」

「はい」

──────
────
──

「ごめん、加藤さん。10分くらい待っててくれるかな?ちょっと、用事思い出してさ・・・」

店の前で少し考える様子を見せながら、東雲さんはそう口にした。

「いや、こちらこそ!もうだいぶ見て回れたって言うか何と言うか・・・もう、案内して貰わなくても・・・そちらの都合もあるみたいだし・・・」

「いやいや、まだまだ山ほど紹介したい所があるから・・・ちょっとだけ待ってて!すぐに用事終わらせるから」

そう言って東雲さんと水無月さんは裏路地に消えて行く・・・

「う〜ん、やっぱりなんかあったのかなぁ?なんか元気なかったし・・・」

その理由を考えていると・・・

ドン!!!

突然の背後からの衝撃で私は地面に倒れ込んだ。

何!?何があったの!?地震!?地震起きた!?

恐れ慄き後ろを振り返ると、さっきの店員が居た。

「・・・今日は許すけど、次は無いわよ。次に東雲君と来たら毒盛るから・・・」

怖ッ!?怖過ぎるんだが、このお姉さん!?

「は・・・はひぃ・・・」

私は完全に震え上がっていた。

ここで待つのは得策じゃ無い・・・違う場所に行こう。

そう思って逃げようとした時、

「おい、コレ」

そう言ってお姉さんはクーポン券を渡して来た。

えっ?何!?もしかしてこの人ツンデレとかそういう属性────

「これ、東雲君に渡し忘れてたから渡しといて。ネコババしてみ・・・殺すよ」

「は・・・はい!!!」

私は逃げるように裏路地に去った。

「────怖すぎる怖すぎるよ!性格糞過ぎない!?いくら百合の私でもアレは対象外だよ!?」

・・・とりあえず、東雲さんは確かこっちの方に行ったっけ・・・どうせ待つなら近くで待っとこ・・・って言うか、どこに行ったのかな?

大声を出して呼んでみようかな・・・いや、ダメだ、その他大勢が集まってくるだけだと思う

急ぎの用事みたいだったけど、一体何だったんだろ────

「多少気分は良くなった?暁」

この声は水無月さんの声・・・って事はこの先に居るのかな?うん?でも、東雲さんのこと名前で呼んでたっけ?

私はそんな疑問を抱えながらも声のする方に足を踏み入れる。

「すいません、近くで待っていても大丈夫です─────」

「オエェェェェ!!!まだ臭いやがるさっきの雌猿の匂いが!今思い返しても腹が立つ!!!許可しても無いのにあの猿、俺の身体を触りやがった!!!」

「即刻、殺処分した方が良いと検討しますが・・・」

「確かにその通りだ。しかしだ、あの猿が作るケーキは絶品だ。他の追随を許さぬほどにな・・・故に、苦虫を噛み千切る思いだが・・・処分はしない。クソが!!!後、外野の猿共も臭いんだよ!いちいち話しかけてくるなってんだ!」

「大丈夫です、暁。私があの糞豚の臭いを上書きします。ほら、抱きついて下さい・・・って言うか、抱きつきます」

ギュッ!!!

「ありがとな、泉。やっぱり泉はこの猿だらけの世界の中にいる唯一の理解者だ」

「はい、私も────あっ!」

「どうした、泉?何かあった────あっ!」














呆然・・・

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