見出し画像

日本郵便 物流事業苦戦

日本郵政の郵便・物流事業が低迷している。2023年4〜12月期の取扱量は前年同期比5.5%減った。今秋に郵便物の値上げを見込むが効果は一時的だ。ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険という金融2社に利益を依存する構造は続くとのこと。

要約文

日本郵政の2023年4月から12月までの郵便・物流事業の取扱量は前年同期比で5.5%減少しました。これは、新型コロナウイルスの影響で一時的に増加したネット通販の需要が落ち着いたことによるものです。郵便料金の値上げが計画されていますが、これによる収益改善は一時的であり、長期的な赤字は続くと見込まれています。郵便・物流事業の収益低下は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の2つの金融子会社からの利益に依存して補填されています。日本郵政は業務効率化を進め、コスト削減や新技術の導入により収益改善を図る方針ですが、郵便局ネットワークや郵便ポストの合理化など、長年の課題にも取り組む必要があります。

日経新聞の図引用

郵便料金の値上げ

この記事では、日本郵便がはがきや封書などの郵便料金を大幅に値上げする計画について報じています。25グラム以下の定形封書の上限料金が84円から110円へ、はがきが63円から85円へとそれぞれ引き上げられる予定です。この値上げは、減少する郵便物の取扱量に対応し、収益確保とコスト圧縮を目指すための措置としています。

過去20年間で郵便物の取扱量は45%減少し、今後も利用の減少が見込まれます。この背景には、メールやSNSの普及によるコミュニケーション方法の変化があります。また、原燃料や人件費の上昇が郵便事業に追加の負担をかけています。

国際的な事例として、郵便値上げや事業縮小は世界的な潮流になっています。例えば、英国では1994年から2023年までに20回の値上げがあり、料金は4倍になりました。米国でも17回の値上げがありました。独ドイツポストは、国内郵便の縮小を見据えて国際物流などの事業多角化に成功しています。

このような状況を踏まえ、日本郵便も料金改定を行いながら、省人化やドローン、ロボットを使った配送の実用化など、コスト削減とサービス改善に取り組んでいます。しかし、新たな収益源を開拓しなければ、値上げに頼る収益確保の方法には限界があると指摘されています。

日経新聞の図引用

投資判断にAI 郵便局データ集約

ゆうちょ銀行は、スタートアップ企業などに投資する際の判断を支援するために、AI(人工知能)を使った新システムを導入する計画です。このシステムは2025年に稼働開始予定で、全国にある約24,000の郵便局から収集される様々なデータを集約し、AIがこれらのデータを分析します。この分析を基に、投資するべき企業を選定します。

目的は、ゆうちょ銀行が持つ膨大な資金を活用し、特に新興企業や地方の企業を支援することにあります。2025年までに、このような企業への投資額を1兆円に増やす計画です。

具体的には、銀行の担当者が音声AIを利用して、企業の事業内容や財務状況、資金需要などの情報を専用のデータベースに入力します。その後、AIがこの情報を分析して、投資判断の材料とします。このプロセスを通じて、迅速かつ効率的に投資判断を下すことができるようになります。

この取り組みは、日本郵政グループが直面する複数の課題に対応するためのものです。郵便・物流事業の収益が減少し、デジタル化の遅れが指摘されている中、新たな収益源を確保し、グループ全体の競争力を強化することが狙いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?