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カルビー5年ぶり最高益

カルビーが6日発表した2023年4〜12月期の連結決算は、純利益が前年同期比37%増の171億円だった。同期間として5年ぶりに過去最高を更新したとのこと。

要約文

カルビーは2023年4月から12月までの期間で、前年同期比37%増の171億円の純利益を記録し、5年ぶりに過去最高益を更新しました。この増益は主に価格の値上げと為替差益の増加によるものです。売上高は9%増の2273億円、営業利益は31%増の237億円で、どちらも過去最高を記録しました。値上げにより123億円の営業増益があり、原材料費や製造コストの増加をカバーしました。国内のスナック菓子の定番品や土産用商品の販売が特に好調でした。

カルビーの値上げ戦略

カルビーは、2024年6月1日以降に「じゃがりこ」「かっぱえびせん」を含む68商品の価格を3〜10%値上げすると発表しました。この値上げは、原材料価格やエネルギーコスト、物流費の上昇を商品価格に反映させるためです。また、1商品については内容量を減らす形での実質値上げを行います。例えば、「じゃがりこ サラダ」と「かっぱえびせん」(77グラム入り)の想定価格は160円から170円に変更されます。この値上げは、2023年6月以来となります。さらに、「miino そら豆 しお味 三角パック」は、内容量を56グラムから49グラムに減らし、価格も130円から120円に引き下げますが、グラムあたりの価格は実質的に上がります。

カルビー、25年度に商品数2割削減

カルビーは、2025年度までに国内で生産するスナック菓子などの商品数を約20%削減する計画を立てています。この削減は、地域限定や期間限定商品、および小売り各社のプライベートブランド商品の受託生産によって商品数が増加したためです。同社は、売上の大部分を占める約半数の商品に焦点を当て、採算が取れない商品の製造・販売を終了することで、利益率の改善を図ります。現在、約1300点の商品を製造しており、そのうち約300点を削減する予定です。また、生産能力の限界が主力商品の供給に影響を及ぼしている状況を改善するため、生産能力の増強も行い、広島県と茨城県に新工場を稼働させる計画です。商品数の削減は、売上高営業利益率の低下にも寄与している問題を解決するための一環とされています。

海外戦略

カルビーは、北米市場での事業基盤を強化するため、2023年4月1日付で「Calbee America, Inc.」、「Calbee North America, LLC」、「Warnock Food Products, Inc」の3つの連結子会社を「Calbee America, Inc.」に統合しました。この統合は、カルビーが2023年2月に発表した2030年に向けた成長戦略の一環であり、3ヵ年の変革プラン「Change 2025」に基づいています。この戦略では、海外事業拡大を主要な取り組みの一つとしており、特に北米市場を重点市場と位置づけています。統合により、米国市場での効率的な事業展開を目指し、日本発の品質とものづくりを訴求価値としてカルビーブランドの成長を加速させる計画です。

さらに、カルビーは「Change 2025」プランを通じて、国内コア事業の収益力強化とグローバルおよび新規領域での事業展開の強化を目指しています。2023年から2025年度までを構造改革期とし、その後の2026年から2030年度を再成長期と位置づけ、成長領域に集中して投資することで収益性と成長性が両立する事業ポートフォリオへの転換を図る戦略を展開しています。

このように、カルビーは海外市場、特に北米市場において、経営資源を集中的に投下し、グローバル展開を加速することで、長期的な成長と企業価値の向上を目指しています。

決算情報

日経新聞の図引用

カルビーの財務健全性と成長性を示す主要な指標をまとめてみます。これらの指標は、同社の経営状態を全体的に評価するために重要です。

- **自己資本比率:** 2023年3月期で72.8%と非常に高く、財務の健全性を示しています。この比率は、企業が自己資本に依存しており、外部借入に頼らずに運営が可能であることを意味し、経済的な変動や危機に対しても強い耐性を持つことを示唆しています。

- **経常利益:** 2024年3月期の予想は285億円で、前期比21.5%増と見込まれています。これは、同社の事業が安定して成長していることを示しています。

- **純利益:** 2024年3月期の予想は180億円で、前期比21.85%増の見通しです。純利益の増加は、会社の純収益性が向上していることを示しています。

- **ROE (自己資本利益率):** 2024年3月期で9.88%の予想となっており、資本の効率的な使用を示しています。これは、企業が自己資本をどれだけ効率的に利益に変えることができるかを示す指標で、改善はより高い資本効率を意味します。

- **売上高:** 2024年3月期の予想は2,980.0億円で、前期の2,793.1億円からの増収が見込まれています。この増収は、市場での同社製品の強い需要を反映しています。

これらの指標を通じて、カルビーが財務の健全性が高く、収益性および成長性を維持している企業であることがわかります。自己資本比率の高さは、同社が外部環境の変動に対して強い耐性を有していることを示しており、経常利益や純利益の増加はその収益性の高さを、ROEの改善は効率的な資本利用が行われていることを、そして売上高の増加は市場での競争力とブランド力の強さをそれぞれ反映しています。これらの指標を総合的に見ることで、カルビーの経営状態が全体として非常に健全であり、今後も成長が期待されることが理解できます。

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