ユニクロ、SHEINを提訴

ファーストリテイリング傘下のユニクロは16日、「ラウンドミニショルダーバッグ」の模倣品の販売が不正競争防止法に違反するとして、販売停止と損害賠償を求めて、中国系のネット通販会社「SHEIN（シーイン）」の運営会社を提訴した記事を取り上げる。

ユニクロ、SHEINを提訴「ショルダーバッグを模倣」 - 日本経済新聞

要約文

ファーストリテイリングの子会社であるユニクロが、自社製品「ラウンドミニショルダーバッグ」の模倣品を販売しているとして、中国系のネット通販会社SHEINを不正競争防止法違反で提訴した。ユニクロが国内で模倣品販売を理由に訴訟を起こすのは初めて。

ユニクロは、SHEINの商品が自社製品に酷似しており、ブランドと品質への信頼を損なっていると主張。約1億6000万円の損害賠償と遅延損害金の支払いを求めている。この製品は、2020年発売後に人気が爆発した。SHEINは低価格販売で知られ、商標権や著作権侵害の疑いがある商品を多く取り扱っており、H&Mも以前にSHEINを著作権侵害で提訴している。

SHIENについて

SHEINのビジネスモデルと戦略は、急速な成長とファッション業界での成功に大きく貢献しています。2008年に設立され、シンガポールに本社を置くSHEINは、衣類、靴、アクセサリーなどの幅広い商品を取り扱うオンライン小売業者です。同社は220か国以上に拡大し、トレンディで手頃な価格のファッションに焦点を当てています。

SHEINのビジネスモデルの主な特徴は以下の通りです：

1. ファストファッションモデル：ZaraやH&Mと同様、SHEINは最新のファッショントレンドに追従し、市場情報を利用して今後のトレンドを予測します。2014年以降、自社の供給チェーンシステムを構築し、単なるドロップシッピング事業から統合型のファストファッション小売業者へと変貌しました。

2. 効率性と機動性：SHEINの生産戦略は効率性と機動性が特徴です。デザイナーと製造パートナーとの密接な協力により、商品を3日以内に生産することが可能です。小ロット生産と低在庫のアプローチにより、市場をテストし、需要に応じて迅速に生産を拡大することができます。

3. 電子商取引への注力：SHEINの流通戦略は電子商取引に集中しています。同社は物理的な店舗を運営せず、オンラインストアに依存しています。これにより、物理的な小売業運営のコストをかけずに、世界中の顧客にリーチすることが可能になっています。

4. デジタルマーケティングとインフルエンサーとの協力：SHEINのプロモーション戦略には、デジタル広告の使用とTikTokやInstagramなどのソーシャルメディアプラットフォームでの強い存在感が含まれています。また、インフルエンサーマーケティングプログラムを通じて、コンテンツ制作者に製品を宣伝させ、販売に応じてコミッションを提供しています。

財務面では、SHEINの成長は顕著で、2019年の25億米ドルから2024年には480億米ドルに達すると予測されています。これにより、多くの競合他社をしのぐオンラインファッション市場での顕著な飛躍を遂げています。

これらの戦略により、特に若い世代の消費者、特にGen ZとGen Yに魅力的であるSHEINは、伝統的なファッションブランドや小売業者とは一線を画して、世界的なファッション小売市場での主要プレーヤーとなっています。

SHIENの財務状況

SHEINの財務状況に関して、2022年の売上高は約237億ドルで、これは2021年の157億ドルから44%増加した額です。また、同年の純利益は約8億ドルと報告されています。SHEINは2024年のIPOを目指しており、その時点での企業価値は660億ドルを超えることが期待されています。

2024年のアパレル業界の時価総額

1. LVMH（フランス）: 36,168億ドル
2. Nike（アメリカ）: 15,917億ドル
3. Inditex（スペイン）: 13,295億ドル
4. Dior（フランス）: 12,405億ドル
5. TJX Companies（アメリカ）: 10,830億ドル
6. Fast Retailing（日本）: 8,187億ドル
7. lululemon athletica（カナダ）: 6,060億ドル
8. Cintas（アメリカ）: 6,011億ドル
9. Kering（フランス）: 4,832億ドル
10. Ross Stores（アメリカ）: 4,598億ドル

感想

この裁判の目的は賠償金獲得よりも、SHEINの事業戦略に対する牽制と考えられます。SHEINは毎日2,000から10,000点の新商品を展開しており、裁判で勝訴すれば一度に数百点の商品に関する訴訟が可能になります。これにより商品開発の見直しが必要となり、SHEINに大きな影響を与える可能性があります。