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片道30km、2つのローカルと動き、遊び、働く|中島遼さん(新潟 / 30代)

LIVE DESIGN School の23年度メンバー同士が、根掘り葉掘りするインタビュー企画! 各地で活動するメンバーたちが日々考えていること、そして、LDSの参加を経て見えてきた展望とは...?

プロフィール
 新潟県出身。建築設計事務所での建築デザインの仕事を経て、現在はNPO法人aisaでまちづくりコーディネーターを務めるかたわら、デザイン事務所「はくちょう計画」としても活動中。長岡市大手通商店街にも所属している。
 LDSを知ったきっかけは、毎年福井の鯖江で開催される工房見学イベント「RENEW」での開校宣言トーク。LDSを通してとにかくいろんなものを見たい!と思い参加を決めた。

━━ 長岡市の商店街で活動されているとお聞きしました。

長岡駅前にある商店街の青年部で役員をしています。そこで長く続いているホコテンや、お祭りの手伝い、花火大会でのお神輿かつぎを、先輩方と一緒に楽しくやってるという感じです。

━━ そうやって商店街に関わることになったのは、どういう経緯だったんですか?

もともとは、その時の職場の意向で参加していました。駅前という土地柄もあり、地元でバリバリ働く有名人が集まる場となっていて、当時は緊張していましたね。

ただ、体調を崩して仕事をやめることになって。そのときに商店街の活動もやめようと思っていたんですけれど、青年会の人たちが優しくて「とりあえず籍を残しておこうよ」って言ってくれて、また調子が戻ってきてから参加するようになったんです。今では、はくちょう計画の中島として参加させていただいてます。

━━ すてきな青年会の方々ですね!では、現在所属されているNPO法人「aisa」について教えてください。独立して始められたデザイン事務所「はくちょう計画」とは別の地域にあるんですよね?

長岡市には自宅兼事務所があるんですが、週の半分くらいはその隣の柏崎市で、30kmくらいの距離を行き来しながら二足のわらじ的に仕事をしています。aisaは、ソフト面のまちづくりの仕事がメインで、地域のプレイヤーを増やすための事業の企画運営や、デザイナーとして何かを始めたいと思っているプレイヤーのクリエイティブ周りのお手伝い、一般企業のチラシやロゴ、WEB制作などもします。

体調を崩し、退職してリハビリを1年ぐらい続けたあと、だんだん動けるようになってきて「デザインやまちづくりの分野でまた働きたい」と思いながらも「元の業界や一般企業に再就職するのはちがうな」、でも「デザイナーとして横の繋がりや実績もないのに独立するのもな」とも思っていて。そのタイミングで、aisaが運営する施設のフリースペースでパソコンを開いていた時にaisaの求人を見かけたんです。自分の地元の団体で、なおかつやっていることがすごく面白かったので、デザインの個人事業との兼業みたいな形で参加ができるか相談し、面接してもらって入ることができました。

━━ そんな背景をお持ちの中、LDSのプログラムにご参加くださっていて、レクチャーや参加者さん同士の交流の中で印象的だったことはありますか?

熊本県でBRIDGE KUMAMOTOを立ち上げ活動されている佐藤かつあきさんのレクチャーはすごく感動しました。所属するaisaは新潟県の中越沖地震をきっかけに立ち上がった団体で、自分も家族や友達が被災したので、佐藤さんが熊本地震を契機に団体を作られたことや、周りからの非難もある中で自分や誰かのために活動されているところに共感する部分があって。自分の経験と重ねて聞いて、佐藤さんが言っていることが分かったし、思い出すところがいくつもあり心が揺れました。その上で、かつあきさんがああいったデザインや取り組みをされることの難しさも分かるので、すごいと思って聞いていました。

━━ LDSに入る前後で変わったことなどがあれば、お聞きしたいです。

やっぱり横の繋がりができた気がします。同じ新潟で活動されている、リードデザイナーでありhickory03travelersの迫一成さんも一方的に知っていただけでしたが、LDSを通じてお話しするようになりました。

デザイン事務所としてはくちょう計画をやっているけれど、デザインの学校に行った経歴も同じ分野での横の繋がりもなかったので、方法や作品のクオリティは別の話として「自分のやっていることがそもそも正しいのかな、このままでいいのかな」と思っていたんです。でも、いろんな仕事をされている多様な参加者さんにお会いしたり、デザイナーと一言では言えないようないろんな仕事に関わるリードデザイナーのお話を聞いたりして、一つが正解ってわけじゃないと改めて思えたので良かったです。

━━ これから始める予定のプロジェクトや、やってみたいことなどはありますか?

ひとつは、始まったばかりの任意団体「カギカッコ」の活動の精度をちょっと上げたり、いろいろな人に知ってもらったりしたいです。今は、遊休不動産だった小さな倉庫を7人のメンバーで借りてリノベーションをしながら、そこでご飯会などの小さなイベント開催やポッドキャスト、アップサイクル事業をやっています。もちろん、自分たちが満足できる活動をするのが一番いいんですが、合わせて「地域のことも考えてみよう」っていうソーシャルな視点を持っていて。自分たちの好きなことややりたいことを続けていると地域もちょっと盛り上がる、みたいな形でうまく続けていきたいです。

もうひとつは、東京の清澄白河を中心とする深川エリアに仕事をひとつでも作って、そこに行く機会を増やせたらと思っています。都会ではあるんですが、住む人たちのローカル性を感じる機会が何度かあって、そのエリアが好きなんです。地域の歴史や文脈を汲んだ活動が盛んだったりとか、そういう話を聞いてると、東京の中にもいろんな文化があるんだ!と感じます。

━━ LDSの中から新しいつながりも生まれそうですよね!最後に、LDSに参加してみてどうでしたか?

他の参加者さんからお仕事の内容を聞いて「これをやってた人なの!」とか「すごー!」と思う場面ばっかりなんです。でも、そういう方々もそれぞれの地域でいろんな課題を抱えながら手探りでやってるということを知れましたし、お互いデザイナー同士で仕事をしてるので、悪い意味ではなく、あの人には負けられないなみたいな部分もあって。そういった面で、自分も頑張ろうっていう気持ちになれましたし、これから活きると思っています。なのでLDSに参加してよかったですね。

(聞き手|運営局 森谷)


地域で必要とされる「広義のデザイン」について、各地のデザイナー陣と参加者とが学び合う場として始まったLIVE DESIGN School。デザイナーはもちろん、行政職員 / 地域おこし協力隊 / 学生 / 経営者 / ディレクター / ディベロッパー / コンサルタント / 編集者 / イラストレーター / 理学療法士 / 八百屋 / 販売員 / 印刷業 / 百姓 など、多様な方にご参加いただいています。詳細は 公式HP から!

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