見出し画像

4つのライブコマース調査を平行して見ることでわかった業界と生活者の明確な溝

ライブコマースはどこで見られているのか?

私自身がアイレップ時代に行ったライブコマースの調査のときはもちろん、その前の時からもずっと疑問に思っていることがあります。

それは、ライブコマースの調査をするとだいたいプラットフォームとして圧倒的に1位になるのがYouTubeであるということです。

以下、今回対象とした主だった4つのライブコマース調査をご紹介しておきます。
MMD研究所(2021年5月)
アイレップ(2021年9月)
HandsUP(17LIVE)(2022年11月)
NTTコムオンライン(2022年12月)

これら4つの調査を以下にまとめました。

ここから見えることは、"少なくとも2021年から2022年末まではライブコマースの主たるプラットフォームはYouTubeである"ということです。

なぜYouTubeで見られているのか?

ライブコマース業界に関わる読者のみなさんならわかると思いますが、業界的にはYouTubeでライブコマースを見るということはほぼないと思います。
ライブコマース業界的には大きくは以下の3つがライブコマース3大プラットフォームであると思っています。YouTubeはSNS型の1つではありますが、SNSの主はYouTubeよりInstagramです。

筆者執筆 『成果を上げるライブコマースの教科書』(武者慶佑)参照


ではなぜ、調査対象者はライブコマースのプラットフォームとしてYouTubeを選択するのでしょうか?
いちおう、YouTube ShoppingというShopify連携の機能はありますが、日本で使っているイメージは現時点ではあまりありません。

調査対象者のライブコマースへのリテラシー

こうった調査を見続けていると、調査対象者は我々ライブコマース業界の考えるライブコマースをライブコマースとして認識しているのか?という疑問が沸いてきます。
もしかしたら調査対象者は以下の2点をライブコマースであると認識してしまっていたりしないでしょうか?
・YouTuberの商品紹介動画をライブコマースだと思っている
・スーパーチャットをライブコマースだと思っている

ライブコマースのためにYouTubeチャンネルを開設するのか?

一方で、もし調査対象者が考えるYouTubeでのライブコマースが本当に主なのであれば、ライブコマースに取り組む企業は、ライブコマースの最大プラットフォームであるYouTubeを取り逃すわけにはいかないので、YouTubeチャンネルを開設し、運用していかなくてはならないということになります。
企業にそんな体力はありませんし、非現実的です。そして、ライブコマース業界もYouTube領域の運用コンサルティングをすることはできないでしょう。(配信制作はできますが)

日本ライブコマース協会としての視点

日本ライブコマース協会という壮大な活動を旗毛している私としては、ライブコマースは売れるとか、どんな態度変容が起きるとか調査の細かなところに注目するのではなく、ライブコマースはまだまだ生活者に認知されていないという仮説の元、どうしたら生活者のイメージするライブコマースが、我々業界がイメージするライブコマースと一致するか、なぜギャップが生まれているのかを考え、本質的なアクションを本ブログや、1つずつの案件を通して追求していきたいと思っています。

一方で、企業としてはライブコマースの調査の細かなところに目を向けて希望を抱くより、自社のマーケティング戦略としてのライブとはなんなのかをファンダメンタルズ的に捉えて、市場に左右されず、自社として地に足を付けたライブコマースを考えることが求められるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?