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ドラゴンクエストⅢにおける労働者性の判断について

ドラゴンクエストⅢとは

もうみんな知っている前提で話を進めたいのですが、知らないという人がいるとジェネレーションギャップを感じてしまいそうなので少し説明いたします。

ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(ドラゴンクエストスリー そしてでんせつへ)は、1988年2月10日にエニックス(現:スクウェア・エニックス)より発売されたファミリーコンピュータ用ロールプレイングゲーム。

Wikipediaより引用 最終更新:2024年3月2日 (土) 02:20

シリーズ全般「ドラクエ」という略称で親しまれていて、ナンバリングや派生作品たくさんでていますね。これはナンバリングの3作目です。
ドラクエ3だけでもスーパーファミコン、ゲームボーイなどのアーティファクトハードや、現在はスマートフォンでもプレイできる非常に人気のある作品だと思います。僕はスーパーファミコンのドラクエ3をプレイしていました。

ストーリーと特徴的なゲームシステム

16歳となった勇者が父の意志を受け継ぎ仲間達と共に魔王バラモス討伐を目指します。ドラクエシリーズって旅の途中で目的が一致した仲間が集まってきて当初は一人旅のこともままあるんですが、ドラクエ3においてはちょっと違います。

ルイーダの酒場(画像はイメージです。)

なんと最初の街で最大数である4人パーティを組めちゃうんです。
なぜかというと「ルイーダの酒場」という場所で自分が望む職業の仲間を連れて行くことができます。
職業は各性別で戦士・武闘家・盗賊・魔法使い・商人・僧侶・遊び人から選べ、一定のハード以降では能力値や性格もある程度調整がききます。
選んだメンバーで魔王討伐のための長い旅が始まるのです。これは心強いですね!


でもみなさん‥一度は疑問に思ったことはありませんか?


この命懸けで戦ってくれる仲間達は「雇用」なのか「業務委託」なのかと‥


雇用と業務委託

昨今日本においても業務委託いわゆるフリーランスという働き方が増えているのはご承知のことと存じます。
価値観の変化や正社員というものへの信頼性の低下(特に年金)などの要素もあり、インボイスの問題はありますがもう少し増えていきそうな気はします。
特に会社においては社会保険料の負担がない、支払う金額の一部を消費税として控除できる、労働関係法令の適用がないなどコストという面でいえばいいことずくめです。最低賃金法の適用もないので発注業務に対していくら時間がかかるかは加味されないため、5千円の仕事をこなすのに10時間かかるなど闇の深い部分もあります。
今回はまあそういうところは置いておいて何が雇用で何が業務委託なのかというところを見ていきましょう。

労働基準法の「労働者」の判断基準について

労働者の定義というのは法律で色々あり、労働契約法上の労働者・労働組合法上の労働者と定義が広かったり狭かったりするんです。
ここではあくまで労働基準法上の労働者に当たるか、要するに払われるお金が「賃金」となり労働時間や休日、休憩の適用にはまってしまうのかいという検証をします。
こういう問題は裁判にもなっておりまして、判断の中でよく使われるのが昭和60年12月19日 労働基準法研究会報告がございます。
これを読み解くと判断基準は下記の通りとなります。

1.使用者の指揮命令下において働いているか

  • 仕事の依頼、業務の指示について断る自由があるかどうか

  • 業務の遂行や遂行方法に対して具体的な指示があるかどうか

  • 拘束性があるかどうか

  • 本人に代わって他のものが業務を行うことを認められているか

2.労働者性があるか

  • 仕事道具は本人が負担しているか

  • 雇用されているものと比較して報酬が著しく高額であるか

  • 他者の業務を請け負えるか、他の仕事ができるか

これらを乗り越えれば、あなたは労働基準法を守ることなく、社会保険料の支払を心配することなく(クリアに時間がかかるとキャッシュフローが心配ですよね)安心して魔王バラモス討伐に出かけられることになります!
早速検証してきましょう!


仲間達の労働者性検証

判断は ⭕️業務委託に近い 🔺どちらともいえる ❌労働者性高い です。

仕事の依頼、業務の指示について断る自由があるかどうか
‥ありませんね。
「この魔物苦手なんすよね。この戦闘は参加しません。」
「今日ちょっと気分が乗らないので、マヒャドじゃなくてヒャドにしますわ。」
特に大事なボス戦でこんなこと言われた日には全滅必死です。嫌ですよねこんなRPG。
よって❌です。

業務の遂行や遂行方法に対して具体的な指示があるかどうか
ドラクエって「さくせん」というコマンドがありまして、「ガンガンいこうぜ」とか「いのちをだいじに」など大まかな指示をしてそれに対し仲間達が適切に戦ってくれるものと「めいれいさせろ」という、勇者が各個人の行動に逐一指示を出すものがあります。
後者は間違いなく指揮命令下に置かれていると判断されるでしょうが、前者は方向性の中で各自の持ち味を生かしてくれるので指揮命令下に完全に置かれているとは言い難いですね。
こちらについては🔺とします。

拘束性があるかどうか
間違いなく拘束されていますね。だって宿屋まで一緒ですから。
よって❌。

本人に代わって他のものが業務を行うことを認められているか
ここは結構難しくて、レベルが低いうちはいいと思うんですよ。まあ似たようなやつにお願いしようか、レベルもすぐ上がるしって。
ただレベルが30超えてくるとそうもいかない。はぐれメタル倒し直しかあということで今まで投資した時間が勿体無いですよね。時間が経つほど属人性は増すのは間違いないですが、ここは🔺でいきましょう。

仕事道具は本人が負担しているか
負担してくれたらどんなに楽か‥
「このはがねのつるぎは自分で買いますわ!今月結構稼いだし、別の仕事でも使うんで!」
現実(ゲーム内)はそうもいかず‥もちろん金策もRPGの醍醐味であるんですがみんなに買ってあげているのが現状です。ここは❌!

雇用されているものと比較して報酬が著しく高額であるか
彼らがいくらもらっているのかゲーム内では明言されていませんが(それはそうだよ)流石に命をかけて戦っている以上ちゃんとした報酬が出されているんではないでしょうか?旅に出る勇者にしょっぱい装備となけなしのお金しかくれなかったのも彼らに高額な報酬を支払うためですよね!?アリアハン王!希望を込めて⭕️!

他者の業務を請け負えるか、他の仕事ができるか
商人「いや〜くろこしょうのマーケの話がきてて、7日ほどそちらの旅についていけないんですが、やまたのおろちとの戦闘までには合流しますので大丈夫です。」困りますよね‥もうすぐボスとの決戦なのに直前で合流されても。マーケの仕事で戦闘はしないからレベルは上がるわけないよね?❌!

結論

⭕️‥1 🔺‥2 ❌‥4
以上のことから仲間達は労働基準法上の「労働者」といえます。
よって、法定労働時間は8時間、超えた部分は割増賃金で深夜から明け方の戦闘は深夜割増が加算。休日は少なくとも週1回と休憩時間も確保の必要がございます。6ヶ月経てば有給休暇が当然に発生し、年に5日は有給休暇を取得させなければ法令違反です。
所得税を源泉徴収する義務が発生し、この労働時間だと社会保険は当然適用。雇用保険や労災保険の手続も行わなきゃいけません。
あまり能力が高くないからといってすぐさま解雇なんていうのは以ての外。

ドラクエⅢをプレイする時にこういう煩わしいことを考えたくない場合は「勇者一人旅」をお勧めします。


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