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よく分かる インバウンド集客 #9 ~外国人旅行者に選ばれる施設になるためのノウハウとヒント~

プロモーション 身近な12の手段

#8 の続きです。

3、店頭看板

○ 比較的低価格で設置でき、施設の前を歩く人の集客に寄与
× 人通りが少ない場合は効果縮小

ここでいう店頭看板は、いわゆるファサードというより店頭にあるミニ看板や黒板メニューのようなものを指します。営業しているのかしていないのかを基本に、今日のメニューやイベントなどを掲示している施設をよく見かけますね。アパレルショップにおいてはセール情報もよく掲示されています。

いずれにせよ店頭看板の役割は、店頭にいる人を店内に入れること。ですので、店内に入ることでどのような価値が待っているのか分かるようにすべきです。立地によりますが、店の前を歩く人の大半は店内に入らず・通過します。いかにして店頭看板に目を留めてもらうか、まずそこに工夫が必要です。

私の経験談を2つお話しします。いずれも私が飲食店の飛び込み営業をやっていたときの話です。

飲食店は駅前のみならず、路地裏にもあります。路地裏は駅前より家賃が安いメリットがありますので。駅前の飛び込みを終え、路地裏を探しているとよさげなお店を発見しました。よーし!と意気揚々飛び込むと、そこは飲食店ではなく・・・なんと、美容室でした…。

ファサードだけでは美容室だと判断できなかったのです。その店には店頭看板がなかったからです。ここで分かったことはつまり、店頭看板はその店が何屋なのか分かるヒントになる、です。

仙台にある「割烹蒲焼 大観楼」様のファサードを見てください。店名だけでは何屋か分かりません。業態を併記しているケースもよく見かけますが、外国人に読めるでしょうか?無論メインは日本人。各国の言語を細かく記載していてはごちゃごちゃしてしまい、日本人にとって見づらくなってしまいます。だからこそ、店頭看板で工夫するほうがよいのです。

経験談の2つ目です。飛び込みできるお店を探してウロウロしていたとき、ある看板が目に留まりました。そして「うまいなぁ~」と思って、思わず入ってしまいました。どのようなことが書かれていたのか。それは、こんな感じでした。

私はふたご座なので、どんぴしゃだったのです。(あ、自分が呼ばれている)と思ったことを覚えています。このどんぴしゃ、バランスが大事だと考えていて、12分の1という数字がバランス上手だなと思った次第です。これ、もっと確率を高めたいと思って、

だったら入らないと思います。(あ、自分のことだ)になりづらい。ある程度低い確率に当たったから注目したのです。12分の1で反応する客が少ないかどうかは、店の前に出て店頭看板を見てくれる現在の人数をカウントしてみるとよいでしょう。

4、デジタルサイネージ

ぐるなびPROより引用

○ 店の前を歩く人の集客に寄与。詳細な情報により安心感を与えられる
× 筐体価格はピンキリ。故障の可能性も

タッチできるタイプや空席が分かるタイプなど多様なタイプがあります。いずれも共通して、画面切り替えなどによって情報量をより多く伝えることができます。画質がキレイで写真掲載にも適しています。

一方、初期コストが高くつきやすく、情報修正の際のコスト発生、また天候やいたずらなどの影響によって壊れる可能性があることを念頭においておく必要があります。価値については店頭看板と類似します。

5、ステッカー

○ 低コストで実施でき、店の前を歩く人の集客に寄与
× 外観にそぐわない可能性。また、各種サービス契約が必要

各種ステッカーを店頭に貼り付けることで、あなたの施設のステータスを示すことができます。「決済手段」「受賞」の告知が主だったところでしょう。そのうち、「決済手段」の店頭掲示は特に有効であることを多くの施設から確認済みです。

#5 でも記述しましたが、現金主義の日本以外の各国・地域で近年キャッシュレス化が進んでおり、日本の施設にとって「決済手段の拡張」は受入環境整備において重要項目の一つです。訪日外国人の多くは日本を訪れた際、現金(日本円)への両替を行いますが、その額は一定にとどまります。両替後、手持ちの現金が減っていく中で、自国で使い慣れている決済手段があると現金決済以外を選ぶことができるので、来店確率を高めることができます。特に中国系の決済に対応している場合、その有効性が一段と高まります。

6、ガイドブック

○ 無料の取材で掲載できるなら効果的
× 広告出稿の場合はコスト面が課題。情報量少なく、単一言語が基本

世界的に販売されている「Lonely planet」や「ミシュラングリーンガイド」以外にも、日本国内でいう「ことりっぷ」や「るるぶ」のように各国・地域でも日本・地域のガイドブックを発行しています。

そこには取材により無料で掲載されるパターンと、広告出稿により掲載するパターンがあります。前者はウェルカムな話ですが、後者については発行部数のみで判断するのは危険です。発行部数と読んでいる数は異なります。また、情報量が多くないため補完する形で多言語ホームページなどのランディングページが必要になります。

7、フリーペーパー

○ 旅ナカの旅行者にアプローチ可能。無料の取材が効果的
× 広告出稿の場合はコスト面が課題。情報量少なく、単一言語が基本

マガジン・タブロイド・リーフレット・パンフレットなど様々なタイプのフリーペーパーがあります。いずれも0円で持っていくことができ、主に観光案内所やホテル、レンタカーショップ等に設置されているイメージです。

旅ナカの時間があるとき、例えば ホテルの部屋や飲食店の注文が済んだ後、移動の電車内や連れのトイレを待っている間などに読まれることでしょう。今からどこに行こうか、明日どこに行こうか、そういった際に重宝がられるメディアです。諸注意は6のガイドブックと同じになります。


以上、プロモーション 身近な12の手段の3~7を紹介しました。旅ナカでのプロモーション要素が多かったですね。続きは次のパートでお話します。

よく分かる インバウンド集客 #10 に続きます
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この章(プロモーション 身近な12の手段)のはじめから読む場合はこちら

文|寺岡真吾(株式会社ぐるなび LIVE JAPAN企画部)


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