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「おまもりカード」について話をさせてもらえないでしょうか?
大規模災害がきっかけで生まれたカード
訪日外国人が3,119万人訪れた2018年。この期間中、大規模な災害が多数発生。日本滞在中の外国人旅行者が、空港や駅での足止め・ブラックアウトによる停電など苦労する場面が多数ありました。
●6月 大阪北部地震
●7月 西日本豪雨
●9月 平成30年台風第21号
●9月 北海道胆振東部地震
●9月 平成30年台風第24号 など
加速度的に拡大した外国人旅行者に対し、平常時の受入環境整備は公共交通機関等においても進んでいましたが、災害時への対応には不足があり、ニュース等でも話題になりました。
これらを受け、当時の観光庁長官は公共交通各社に多言語対応の強化を発令。LIVE JAPAN 東京に参画する企業有志18社が集まり、皆で業界の課題を解消すべく2019年に3回の会議を自主開催しました。
エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社
小田急電鉄株式会社
神奈川中央交通株式会社
株式会社ぐるなび
京王電鉄株式会社
京浜急行電鉄株式会社
国際興業株式会社
西武鉄道株式会社
西武バス株式会社
全日本空輸株式会社
東急電鉄株式会社
東京海上日動火災保険株式会社
東京地下鉄株式会社
東京モノレール株式会社
東武鉄道株式会社
三井不動産株式会社
三菱地所株式会社
株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス
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最初に行ったのは意見の集約です。災害時、現場・現場外における多言語での情報発信に関してどのような課題があるのか。各業界の悩みを簡潔にまとめると以下のような点が分かってきました。
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災害時 現場で多くの混乱が発生している折、外国人対応負荷が極めて高いことが分かりました。当日語られていた一例ですが、鉄道会社の係員に対して、飛行機が飛んでいるかといった質問が寄せられたりするそうです。自社の状況ならまだしも他社の状況を、それを多言語で説明するのは極めて大変で、日本人への対応の何倍もの時間を費やすという言葉が印象的でした。
それを受けて目指すは「外国人旅行者」にとっても「受け入れる事業者」にとっても使いやすいツールや仕組み。方向性を整理し第2回ではグループワークを実施し、第3回でLIVE JAPANとしてできることをまとめました。
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そして、2019年5月30日。2016年立ち上げ当時からあった「緊急時の対処法」ページについて、大規模災害を意識して大幅に刷新しました。日本中に点在する災害に関する多言語情報を一元的にまとめたコンテンツです。
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https://livejapan.com/emergency/
8言語(英語・簡体字・繁体字・韓国語・マレーシア語・ インドネシア語・タイ語・日本語)対応しており、携帯端末の設定に合わせた言語を自動表示。また位置情報に応じて、現在いる自治体の災害ポータル情報や周辺の公共交通情報を確認しやすくしました。
サイトと対になるカード
しかし、サイトが存在していても知られなければ無価値です。そこでまず、サイトに飛ぶQRコード付きのツールを制作しました。それが下のカードです。
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コンセプトは旅の安全を祈る「おまもり」。災害情報を大々的に謳ったデザインは否定的に捉えられることも危惧しましたが、外国人旅行者からの評判は悪いものではありませんでした。財布の中にしまっておけるよう、テレホンカードのような材質で制作しています。
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災害発生時 より多くの外国人旅行者に・より速やかに災害情報一元化サイトへアクセスしてもらえるよう、本カードを旅ナカの外国人旅行者が訪れる空港・駅・施設等へ設置しました。この点、全国のコンソーシアム企業・団体の皆様に多大なお力添え頂戴しております(ありがとうございます)
災害発生時、制服を着ているスタッフのもとには問合せの行列が発生します。その際「こちらも確認してみてください」と配布することで、少しでも両者のストレス軽減につながれば幸いです。
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ちなみにこのカードですが、「引き続き 良い旅を」と言って手渡しすると、外国人旅行者に大変喜ばれることが分かりました(下記参照)。「渡して喜ばれるツールは珍しい!」と渡す側のスタッフからも好評だったのは嬉しい誤算でした。
滞在中に災害がないことを祈るが、このカードはありがたい
1ヶ月日本各地を一人で旅行する。津波や火山の可能性があるところを旅するので、とても助かる。災害がないことを祈る
日本はこういうところまで気を配っていてすごい!
東京に来る前、鹿児島にいた。 大雨でずっと外に出られなかったので、こういう情報は大変助かります!
ありがたいことに、LIVE JAPANが展開していない九州エリアの事業者様からも問い合わせを頂戴しました。東京出張の際に駅で見つけて、良い取り組みと感じたそうです。インバウンド市場が蒸発しているタイミングですが、復調を見据えて設置していただきました。
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ちなみに、先の会議において「案内所は18時にはシャッターが閉まる」という意見があり、なるほどと思いシャッターにも貼り付けできるステッカータイプも用意しました。
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こちらも様々な箇所に設置して頂いております。
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要はこのQRコードが重要なわけでして。このQRコードを元に狸小路商店街様は独自のステッカーを制作。商店街の店頭に貼り付けしていただいております。胆振東部地震の際に、外国人旅行者が商店街中にあふれて右往左往していた現場をご覧になっていた理事長の想いの表れです。
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リーフレットにもQRコードを挿入することで活用いただくことができます。JR東日本様、横浜市様にも活用いただいております。
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この取り組みの成果
デジタルとアナログを組み合わせたこれらの取り組み。結果として、年間13,000人超の外国人の方に利用頂きました。災害発生前・当日に需要が増え、一気に閲覧数が伸びます。そういった受け皿という性質を考えた際、この数字が多いのか少ないのか判断することは難しいところです。
また、九州大雨の際は韓国語での閲覧が多いなど、地域によって状況が異なることが分かるので、その点も何か社会の役に立てないかと考えています。
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ちなみにアナログな取り組みは奏功しており、サイト閲覧の2割はQRコード経由となっています(2019年度実績)
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何故、取り組むのか?
平常時はまだしも、災害時というストレスが急激に溜まるタイミングで、日本語が読めない・話せない・分からない外国人旅行者の気持ちを考えると、居ても立っても居られませんでした。LIVE JAPANでできることを思考し、皆様の知恵と力を合わせて出来上がったものが前述のものになります。
LIVE JAPAN は旅ナカを意識したサービスづくりを行っています。単なるメディアであれば、旅マエの外国人旅行者に日本の魅力を伝えるだけでよいかもしれません。しかし、LIVE JAPANは域内消費拡大に貢献していきたいと考えております。旅ナカの外国人旅行者の困りごとを減らしたい、のです。
類似する取り組みを観光庁や自治体等が行っていることは理解しています。それを踏まえて、有事の際にはより多くの外国人旅行者がより迅速に、いずれかに触れて、自分が分かる言語で正確・詳細な情報が得られることを強く望んでいます。
なお、こちらの「おまもりカード」ですが、引き続き全国各地に設置を増やしていきたいと考えています。カードについて、無償でご用意いたしますので、ご賛同いただける方はお声かけ頂ければ幸いです。
※サイトに載せるべき情報・アイデアがあれば、それも頂戴できれば誠にありがたいです。ネットならではの追加・修正はしやすいものですので。
文|寺岡真吾(株式会社ぐるなび LIVE JAPAN企画部)
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