読んだ本:太陽の棘

「太陽の棘」原田マハ 文藝春秋

戦後、本土に返還前の沖縄に軍医として赴任した精神科医のウィルソン。
赴任後、画家たちのコミューンに出会う。沖縄が背負わされた苦しみ、憎しみをキャンバスにぶつけ、絵には沖縄の暑い日差し、多彩な文化、自然、そして、憎しみや哀しみが描かれ、ウィルソンは魅了される。

原田マハの作品では、アートからその時代に生きた人の風景が見えてくる。世界史の事実として知るよりわかりやすい。

「暗幕ゲルニカ」では、第二次世界大戦は、ヨーロッパではどう受け止めらていたか、ナチスがパリを占領することの意味の重大さがよくわかった。

「リーチ先生」では民藝が生まれた当時の芸術家、文化人たちが生きた人間として本の中に現れた。

今回は、終戦の日、アメリカではどんな日として人々は過ごしていたのかということ(乾杯していたんだね…とか)沖縄戦、沖縄の戦後の苛烈さを知った。

さらに、沖縄に戦後、画家たちのコミューンがあり、「ニシムイコレクション」なるものがあったなんて全く知らなかったー!

美術村は今はないようですね…

精神科医が主人公で、アルコール依存症者も出てきて、依存症の苦しみの描かれ方も違和感なく、とても良かった。精神福祉的な観点からも面白かった。

原田マハ作品はどこまでが史実かと調べたくなる。世界が広がる感覚があり、楽しい。

参考文献もかなり巻末に書かれており、どれか読んでみようかとわくわくしながらカーリルで検索した。


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