読書記録 はじめてのスピノザ

「はじめてのスピノザ」國分功一郎 講談社現代新書

「中動態の考古学」の要素が詰まっていて、中動態読めなくても
こちらを読むのもいいと思った。
新書でスピノザを解説する本をどうして書いたのかが最後に書いてあった。
「哲学が研究の場に閉じ込められるようなことは断じてあってはなりません。哲学を専門家が独占するようなことも断じてあってはなりません。哲学は万人のためのものです。スピノザは世の中の人がもっと自由に生きられるようにと願って「エチカ」を書いたのです。」自分の仕事や暮らしや日々の中に哲学を据えて思い出して、思考の枠組みを外す本として、新書にしたのだなぁと思う。
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スピノザは17世紀の哲学者。
スピノザの生涯で書かれた数少ない本である「エチカ」は倫理学という意味。
エチカを読み解くために、國分さんは、いつも学生に「思考のOSそのものを入れ替えて、考えた方がいい」と言っているということ。

「意志」と「自由」について示唆に富み、人と関わる、支援する、育てる人には思い当たることがあるであろうと思う。うまくいかないと思ったら、スピノザを思い出すといいかもしれない。
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スピノザ的OSで考えるとは。
・人に対して、偏見・バイアスをのぞいて、その人を個としてみる。
 社会の安定は、一人一人のコナトゥス(本質)を大切にすることで生まれる。
・人は実験しながら自由になる。
 完全な自由が最初からあるわけではない。腕や足がある、腕や足を動かせるという「条件のもと、制約」の中で動かすときに、それらを自由に動かせるということ。

 
・意志への幻想をはずす

人間には自由な意志があり、その意志に基づいて行動することができると思っている。逆に、できないのは意志がないからであると捉えがちで、「意志」に対する信仰がある。一つの行為は多くの要因のもとにある。行為は多元的に決定されているのであり、意志が一元的に決定しているわけではない。

なので、「やる気がない」からできないんだなどと決めつけることはできない。
どうしたら、「やる気を出してもらう」「主体的になってもらう・もらえない」のかばかりに頭を悩ませなくてよいということだと思う。


 

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