読書ノート:パンデミック下の書店と教室
読みました。(本の感想書くの久しぶり・・)
「パンデミック下の書店と教室」小笠原博毅×福島聡 新泉社
ー民主主義のしんどさを受け止める余白としての場所・・図書館や書店ー
「書店」は社会にとってどんな存在かという本なのだが、
「図書館」にも置き換えられると思ってずっと読んでいた。
(でも、著者は「図書館」についてはそんなに意識はないかなとか、
電子書籍も嫌いっぽくて、本は紙だろ!って感じかなぁ。)
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「図書館は民主主義の砦」というのが図書館が社会に必要な理由の一つだと思う。でも、どこでどのように「わたし」と関わるのかというのは、よくわからない、実感できている人は多くないかもしれない。
図書館に熱い人がこうるさく説教している図になる。
さまざまな人の意見をもちよって、議論して物事決める民主主義はめんどくさいものだとも思う。考えることが自分ごとになると、誰かに決めてほしくなる。
それは、民主主義の小さな実践の場である保育園の保護者会で感じる。
保護者会の会長、役員だけが決めずに、どんな保護者会、何をしていくかを真面目に議論していくととてもめんどくさい。
「みなさんから意見を聞きます」と募ると、お客様視点100%の要望やクレームがでてくる。
そして、それらの議論をしているととても時間がかかる。
民主主義を実践するのはとてもめんどくさいことなのだと思う。
民主主義はしんどいものであるという本の中の指摘はとっても納得できるなぁと思った。
P113引用
「市民であることを自覚しなければならず、権利の行使主体であることを要求され、いつも統治者をチェックしていなければならず、余白の中で息を着く暇もありません。その「しんどさ」に辟易しているところに入り込むのが『ポピュリズム』だと思うのです。」
「ポピュリズムにとって『構成しないもの』は必要ないですから。
だから左派ポピュリズムには乗っからずに、ぼくはあくまでも「構成しないもの」を
社会の内部どのように「構成」できるのか、言い換えるならば、内部にいながらどうして構成しないでいられるのか、教室においてその可能性を探したいのです。」
P115
「社会で起きていることの「わかりやすい」図式的な説明や、それこそポピュリストのワン・フレーズ政治が一方であり、他方ではリベラル的な「賢さ」を求められる「しんどさ」がある。
そこで、一方では「わかった」気になり、他方では「もうしんどい!」となり、「無言」を選ぶよう導かれてしまうのです。ぼくは教室を、両方にできるだけ巻き込まれないで考えることを可能にする場所にしたい。」
P84
「効率化の思想が最優先して切り捨てるのは、「無駄」や「余計」です。「外部」や「他者」でもあります。でも、その「無駄」や「余計」、「外部」や「他者」との遭遇にこそ、「自発的な隷従」に抗い、民主主義を守るために大切なものが潜んでいるように思うのです。」
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「民主主義の砦」としての図書館も書店も、街のこと社会のさまざまな問題について「知りなさい」「考えなさい」「興味をもちなさい」と強いる場所ではない。「しんどい民主主義」の中で、ふらふらして、旅をしながら考えることができる場所、それが「教室」「書店」であってほしいというのが著者の思い。
図書館的な溜まり場、余白、ネットワークである東海ナレッジネットもそうなんだよねと思った。
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