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愛すべき不思議の国、オランダ

昨日、スーパーに向かって歩いていたら、街の雰囲気がいつもと違うことに気づいた。
平日なのにお店が休みだし、移動遊園地も来ている。オレンジを差し色にコーディネートしてる人も多いし、オランダの国旗を飾っている家もちらほら。
ハッと思って日にちを確認したら、4月27日ではないか。そう、オランダではキングス・デー(Koninginnedag)で、祝日なのだった。

キングス・デーと言うのは、オランダの国王 ウィレム=アレクサンダーの誕生日を祝う日。つまり、日本で言うところの「天皇誕生日」の祝日にあたるもの。
しかしオランダのスゴいのは、この日は多くの人がオレンジ色のものを身につけ、街全体がオレンジ色になること。
それだけではなく、頬に国旗のペインティング(サッカーのW杯の時によくみるアレ)をしている人も、老若男女問わず、何人も見かけた。
街を見回すと、ランドマークの風車にも国旗が巻かれてる。

この光景を見て、「オランダ人って、自分の国が大好きなんだなぁ」と、爽やかな羨ましさを感じた。と同時に、少し不思議な感じもした。

というのは、例えば日本で天皇誕生日に日本の国旗を掲げたり、日の丸を頬にペインティングしたり、菊の紋章のTシャツを着ていたら、「あの人って、すごい右翼なのね〜」と思われる気がするから。
しかしオランダ人がキングス・デーにオレンジ色を着て、国旗を振っていても、「この人たち、右翼なのね〜」という印象は全く受けず、それよりも「自分の国が大好きなんだね〜。楽しそうでいいね〜(ほのぼの)」という印象を受ける。
この差は一体なんなのだろう?

さらに興味深いのが、オランダ人のオランダ語への態度。
言語(母語)というのは、その国の歴史、文化を凝縮したものであり、国のアイデンティティとも言える。
しかし、オランダ人は、オランダ語を話すことを非オランダ人(移民含む)に全く期待していないし、強要もしないのである。
よく、「フランス人は英語が喋れてもフランス語しか喋らない」とか、「フランスではフランス語が喋れないとやっていけない」という噂を聞くけれど、オランダは真逆なのだ。
先日もそれを感じることがあった。

それは、アムステルダムの郊外で開かれていた瞑想教室に参加した時のこと。
参加者は私を含めて6名で、私を除く5名は全員オランダ人。そして先生もオランダ人だった。
にも関わらず。先生が私に英語で話しかけた途端、それまでオランダ語で喋っていた参加者たちも全員、超ナチュラルに、何事もないかのように瞬間的に英語に切り替えたのである。
中には英語が少し苦手な方もいたようで、先生はその人が質問しようと手を上げた時「オランダ語でもいいよ」と言った。しかし、その生徒はゆっくりながらも英語で質問し、そして先生もそれに対して英語で答えていた。
(『オランダ語でもいいよ』っていうか、私が『英語でもいいよ』と言われてもおかしくない場面なのに!)
私はすっかり感動してしまった。
オランダというのは、なんと寛容な国。排他的の真逆なのだろう!
しかも、誰も「キミはオランダ語ができないからね。キミがいるから今日は英語で授業をしましょう」などということは言わないのである。「足が遅い人がいたら、足の遅い人にみんなが合わせるの、当たり前じゃないの?」と、そういう感じのナチュラルさなのである。

オランダは「自由」「独立」「寛容」を大切にしている国だと、本で読んだことがある。(『オランダ 寛容の国の改革と模索』
私はまだほんの数ヶ月しかオランダに住んでいないから、本当の深いところはまだ分からない。
しかし少なくともこの数ヶ月で感じているのは、オランダは「自由」「独立」「寛容」を標語として唱えているだけではなく、それを“本当に生きている”国民であり、国だということ。

一体、どうしたらこのような社会になるのだろう?
オランダは子供が世界で一番幸福な国(ユニセフ調べ)として有名で、多様性を認める素晴らしい学校教育をすることでも知られている。
やはり、教育制度やその内容に、この不思議な国民性の秘密があるのだろうか?

知れば知るほど奥深く、興味深い不思議な小国オランダ。
少しづつ、地元の友達も増やし、この国の不思議を解明していきたい。

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