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旧約ぐりんびー物語🎈 9話 ぐりんびー村記念祝賀会


ぐりんびー村の爽やかな朝
初夏の海風は異国からの訪問者
そして
青い空のひつじ雲
こんな最高のシチューエイションに
ミミちゃんは
ぐりんびー村記念祝賀会が開催され
嬉しくて
嬉しくて
なんでもない日に
何も起こらない日に
仲間と集うのとは一味違い
心なしかそわそわしていました。

約束の場所のみどり豆に
白じゃない
薄紅色でもない
深紅と紫かかった桃色の花が咲き
仲間達が集い
ぐりんびー村記念祝賀会だなんて
カメノコノコママも一緒に
「ごちそうたくさん作ろうよ」と、
嬉しくて
嬉しくて
でも
ガブちゃんは何時も通りつまみ食いし
おなかもいっぱいお昼寝タイムです。

森のふくろう爺さんは昼間だから
3年ぶりの外出!
お祝いに飛んで来てくれるそうです。 

何もかも素敵な日なのに
たった一つだけミミちゃんは心配事がありました。
きのこ山からてっちゃんが
来てくれるかなぁと
心配で
心配で仕方ないようです。
そんなこんなで時は流れ
いつもは寝ているはずなの時間だから
目をしょぼつかせながら
フクロウ爺さんやって来るや否や
ミミちゃんの心配を案じて
「俺の経験からして
ハリネズミの奴はおれより
へそ曲がりだからなぁ…
あんまり期待せずに待つんだ。
待っていれば
きっと心が通じるよ」と、
優しく声を掛けてくれました。

ミミちゃんは泣きそうで震えた声で
うなづきながら答えました。
「うん、わかった。
じゃあ、シルバーウルフ達を待とう!
今日のお話楽しみ。うふふ*」

きらきらと海が輝いた瞬間
シルバーウルフがレインボーウィング
に乗り登場しました。
でも、
後にドブネズミのガーリー族も一緒に
居たのでみんなびっくりです。

ぐりんびーの仲間達は
口々にガーリー族に向かい
「帰れ!」とか
「何しにきたんだ!」とか
悪口をたくさん投げつけました。

でも
一番後ろには見たこと有る
懐かしい姿が有りました。
そう
偏屈ハリネズミてっちゃんが
光り輝く銀色のスクーターに乗って
やってきているでは有りませんか。

「ミミちゃん大変だぞー」
大声でムッシュクロエが叫んでいます。
「大変はいつものことじゃない
何が大変なのよ~」
ミミちゃんは
ちょっとだけイラっとしてます。

「聞いて驚くなかれ
ガーリー族の奴らが来たんだ
それから
あの偏屈ハリネズミ
山から下りてきたんだ。」
ぐりんびー広場からちょっとの間
離れていたミミちゃんは
びっくりしてしまいました🐰

「てっちゃんが来てくれたのね!
私の気持ちが通じたのよ」
ミミちゃんは嬉しそうです。
「おいおい、
そんなこと言ってる場合じないぞ。
ガブがシルバーウルフとガリーの事で
喧嘩をしそうなんだ。」

クロエはもう大慌て
でもミミちゃんは落ち着いています。
「大丈夫ガブちゃんは
そんなじゃないから
そんなうさぎじゃないってば。
クロエちゃんみたいに五臓六腑
真っ黒でも救われているでしょう。」

「ちょっとまってくれたまえ!
見かけは黒いかもしれない
しかしながら
誰が腹の中まで黒いって確かめた奴が存在するとでもいうのか?
大体皆は何ゆえに
カラスすなわち五臓六腑迄真っ黒と
決め付たがるのだ。」
クロエの目に薄っすら涙が見えました。

そのことに気づいてか
気づかない素振りのミミちゃんは
続けて言います。
「そうなのよね。
皆なんでも勝手に決め付けすぎね。
決め付けてることって多いのよ。
つまり
勝手に思い込んじゃってるの。」

「へぇぇ、ミミちゃん賢いな。」
まさに
泣いてたカラスがもう笑う!
クロエは助けられた気がして
悲しい気持ちは飛び去り上機嫌。

「あら
おだてても何も無いわよ。
そんなことより
ムッシュ!
一つお願いがあるのです。
テーブルクロスの向こう側
そのお喋りなくちばしで
引っ張っていただけまして!」
「ウィ!マドモアゼル♪」
そういって準備に取り掛かりました。

「シルバーウルフの大演説台を
作らなくてはならないぞ。」
クロエがはっと気づきました。
「それは、力のあるガブちゃんにお任せよ。向いてる仕事だわ。」

「え〜!
俺がやるの
ハリテツにやらせろよ!
何時もは小さいのに
怒りパワーででっかくなるんだろ」

「あら、ガブちゃんいたの?
喧嘩はしなかったの?
まぁ、それはさておいき
てっちゃんはお客様だから良いのよ

やっと山から下りて
お話聞くモードなんだから
ガブちゃんにお願いするわよ」
「ちぇっ、
ガーリーなんかつれてきやがって、
奴は何考えてるかわかんない。」と、後ろ足をトントンさせ照れ臭そうに
もそもそと毛づくろいを始めました。

「他人の心の中って
早々見えて判るもんじゃないからさ
トラブルも起きたりするのよ!
ガブちゃんも大人にならなくちゃね。のこのこパパをみならってよ。」
「分かってるって。
でも、
のこのこさん大人より爺さんくさいよ。」と、ぼそぼそって独り言。

耳ざといクロエ
「何をおっしゃるガブ助殿!」と、
ちょっと意地悪く笑っています。
やっぱり腹の中もまでまっ黒なのかもしれません。
どんな考えでも丸ごと間違っていると断言することは難しいですね。

「なんにもいってませ〜ん!
さぁ、舞台照明もやっちゃうかな。」
ガブちゃんは本当に張り切っているのかいないのか、でもぐりんびー村の
仲間達の事を思い巡らせ
一緒懸命働きました。

小さな耳なのにミミちゃんは
ガブちゃんの独り言に聞き耳を立てていましたが、聞こえない振りをしていました。
口から出た言葉は消しゴムで消せないんだよ、と、遠い昔の父さんうさぎの教え、ふと思い出したのかもしれませんね。

こうしてぐりんびー村の仲間達が
協力してぐりんびー村記念祝賀会が
始まりました。

ひつじヶ丘のうさぎ達の手にした
幸せの赤いバルーンは
高く高く青空の雲のまだ上の
ぐりん豆の木のてっぺんめがけて放たれました。

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