見出し画像

#28 混合ワクチンを注射して、さあ!でかけましょう!!

#1コマでどれだけ語れるかチャレンジ

忍耐は苦い。しかし、その実は甘い。 
細菌学者 野口英世

今年は50周年という事もあり、あちこちでドラえもんを使ったキャンペーンを見る。

フードだったり、アパレルだったり、雑貨などのグッズ展開も多い。

とても喜ばしい。個人的にもGUのTシャツを大人買いしてしまうという暴挙が起こったが、まるで後悔はしていない。危うくレディースと子供用も買うところだった。

その中でもひときわ輝いているのは、100年ドラえもんという70,000円で買える新装版の単行本45巻セットだ。

知らない方はご覧いただきたい。

こんなの良いに決まっている。

「程度のめちゃくちゃ良い原作」であるという事が、ツボをつきまくっている。欲しい。すごく欲しい。恋焦がれている。

だが、家人を説得する必要がある。

なにせ70,000円という大金である。昔、品川区のアパートに住んでいた時の家賃が64,000円だった。品川区で暮らす1か月の家賃よりも高いのだ。

それに僕には「特別なドラえもんの単行本」というだけで買う価値があるが、家人にはそれはないだろう。

だから、説得のために言い訳を考えてみた。

・まず、装丁が驚くほどきれいである事。インテリアとしても持っているだけで生活が豊かになること間違いなし。豊かな生活こそ人間らしい。そう君はきれいだ。

・さらに、印刷のクオリティーも驚くほど高くなっている事。細かい線までもが、原作以上(!)に再現されている事。より鮮明にF先生の線の跡を追う、それだけで素晴らしい事である。神は細部に宿ると言われる。君は女神。同じ神ならば、これを見逃すなんてできないはずだ。

・どこでもドア型の本棚を買う権利も得られる事。こんなの欲しくないワケがない。可愛すぎる。だが注意していただきたいのは「買う権利」というところ、70,000円とは別途お金を出して買わなくてはならないが、据え膳食わぬは男の恥である。僕を、僕を男にしてくれ。

・100年ドラえもんというコンセプトから、自分が死んでもこの単行本セットは残り続けるであろうこと。この本が残り続ける限り、君を想う僕の心もこの世に残るのです。

・僕のような原作至上主義者に対してのアイテムである事。原点にして頂点?それは・・・あのー、まるで僕の原作が・・・えっと、君?である?・・・かの様。

しかし、どの理由も家人には響かなかった。

そりゃそうだ、これは僕が感じている価値なのだから。

もっと、強い理由が必要だ。必要に迫るような理由。

それこそ、それがなくては命が危ないというような危機感をあおる理由。

そして、ひねり出した僕の答えがこれだ。

映画「デイアフタートゥモロー」のような突然の氷河期が来て、暖を取る為に本を燃やすしか無くなったとしても、普通の単行本よりも燃える時間が圧倒的に長いので買うに値する。

これを買えば、あなたの命は助かるよ。良かったね!さあ、ドラえもんにお礼を言おうね。


家人は、もはや聞いてもくれなかった。


さて、危機感と言えば連日、もろもろの原因であるコロナウィルスに関する報道が流れている。

海外の報道では「世の中はすでに、コロナ以前とコロナ後に分かれた」と言われていた。

もう、時代は変わってしまったかもしれない。いや、変わったと考えるべきだろう。

もはや、以前の日常ではないのは明らかだ。

そんな変わってしまった時代で生きて行くには、それなりの準備が必要だ。

残念だが、気合いや思いだけでは乗り切れない。

この危機的状況の中、何をどう準備するのか。

何かヒントが無いかとドラえもんを読んでいたら、このコマが僕の心を掴んでいた。

画像1

てんとう虫コミックス 大長編ドラえもん11 「のび太のドラビアンナイト」からの一コマ。

絵本の中に取り残されたしずちゃんを助けるため、現実と千夜一夜物語のかすかな繋がりにかける事にしたのび太達。過去のアラビアへとタイムトラベルをする際のミクジンのセリフである。

ミクジンは、22世紀の時間旅行公社に所属するツアーコンダクター兼ガイドロボットだ。ランプの魔人や妖精のような外見から、生き物のように見えてしまうが、彼は未来のロボットである。

セリフを見てみよう。

「伝染病や水あたりを防ぐための混合ワクチンを注射して、さあ!でかけましょう!!」

のび太達が向かうのは、794年のバグダッドだった。作中でも説明している通り、この時代の世界的な大都市と言えば長安であり、バグダッドは長安に続く第二の都市とされている。

ハールーン・アル・ラシード王の時、バグダッドの人口は100万人を超えていたそうである。

急速な発展の事もあって公衆衛生は低いだろうし、おそらく現代人は生水など飲めないだろうし、過去存在していた疫病がそこら中にあると考えられる。

8世紀の代表的な伝染病と言えば「天然痘」である。日本でも「天平の疫病大流行」という名前で歴史でも勉強する項目の一つとなっている程だ。

時代背景から鑑みても良くなさそうというか最悪である。当然、当時ワクチンなどは無い。

しかしミクジンは22世紀から来ている。そこには14世紀の差がある。それは1400年の差だ。

だから様々な物に対して有効な混合ワクチンを持っているし、時間旅行社としてはお客様である旅行者への処方は当然というところだろう。また、もし罹患しても未来の治療方法により完治できるのではないだろうかと考えられる。

2020年の現在でも黄熱、破傷風、ポリオ、日本脳炎、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病、ジフテリアなどのワクチン接種を、渡航先に応じては考慮すべきである。

それぞれの病気に対してそれぞれのワクチンがある。現在の混合ワクチンとは、ジフテリア、百日せき、破傷風及びポリオ(急性灰白髄炎)を予防する4種混合ワクチンという物が多いようだ。

だから混合ワクチンを注射する理由は、病気にかかって最悪な日々を過ごさないように病気を予防し、旅行者が快適に過ごすためであると言える。

つまり、ワクチンを接種するというのは、最悪を考慮しての前準備である。

と言える。

今、蔓延しているウィルスに対してのワクチンができるまで後1年とか1年半とかもっとかかるとか言われている。

あるいは、一般的な風邪のウィルスと同じような物なので、そのワクチンを作るのは難しいのではないかとも。

もしワクチンが出来ても、それは罹りにくくなるだけで完治させるための治療法では無い。という事も覚えておきたい。

現状、僕たちが取れる対策は3密を避けるとか、手洗いうがい消毒という事でしかない。

まだ予防のためのワクチンもなく、治療法もないのだ。

つまり、今、求められているのは忍耐だろう。

政府からの指示だからとか、誰かがそう言ったとかではない。

世界中の状況を鑑みた上で、自分はどのように耐えるかを考慮すべきなんだと考える。

その時に、実際のワクチンはまだないけれど、もはや変わってしまった世界の中では、最悪を想定してこうなったら、こうしようという事を決めておくことが必要だと思う。それが今できる前準備だ。

こういった最悪に対しての前準備が、今の僕たちに対しての「ワクチン」なのではないかと思う。

不安に駆られてオロオロしている場合ではない。買い占める事でもない。

僕らは今、あたかも奴隷商人に捕まって、何も頼るところの無い砂漠を歩かされた、しずちゃんのような状況かもしれない。

でも、必ず状況は改善する。という希望をしずちゃんは捨てなかった。くじけなかった。希望を抱き続けていた。

しずちゃんは、自らに希望のワクチンを持っていたのだ。
だから耐え忍んで、生きて助け出されたのだ。

最悪の時の為に、どんな準備をするのか。

なぜ今、耐えるのか。それはどんな希望の為なのか。

それをもっと考えておこうと思った。

だが取り急ぎ、僕に必要なのは70,000円と家人が納得する理由というワクチンだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?