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色を取り戻した日々。

毎日毎日泣くことしかできず、

未来のことを考える余裕なんて到底なくて、

ただ生きるのが精一杯だった日々。

世界がモノクロに見えるってこういう感覚なんだと思った。

何にも興味を示さなくなって、

だいすきな友人に会うことさえもできなくなっていて、

自分が自分ではなくなってしまったことがただただ悲しかった。

元気だった頃の自分の写真を見ては、楽しそうに笑っている自分が羨ましくなって戻りたくなった。

“この先何年もこの調子だったらどうしよう”

そんな不安ばかりが頭の中を駆け巡っていて、

気づいたら呼吸はいつも浅く、激しい動悸と吐き気に苛まれ、

目に涙を浮かべることしかできなかった。

早く元気になりたいのに思い通りに動かない身体と心がもどかしくて、悔しくて、悲しくて仕方なかった。

私はそんな毎日に絶望していた。

生きていることさえも苦しいと本気で思っていた。

でも、

そんな私のモノクロの世界が色を取り戻した。

まだつらかった頃の記憶が鮮明である以上、トラウマからか身体が強ばることがあるけれど、それでもあの頃よりはだいぶラクになったように思う。

だいすきな友人に会えるようになったことも、

恋人と一緒にいて幸せだと思えるようになったことも、

ひとりでいる時間に楽しいと思えることをできるようになったことも。

全部全部、奇跡が起きたかのように嬉しくて、私の目から涙が溢れた。

何よりも嬉しかったのは、吐き気や動悸といった辛い身体症状がなくなったことと、心が傷つきすぎてしまったことによる涙を毎日流さなくてよくなったことだ。

今まで経験したことのない暗闇にいたからこそ、ちょっとしたことや当たり前だと思っていたことが素晴らしい奇跡であり、幸せそのものであったということに気づくことができた。

そして、同じように心が奥底まで沈んでしまって苦しんでいるひとの気持ちに寄り添えるようになった。

とにかく私は“前の元気だった頃の自分に戻りたい”という気持ちが強かったけれど、良い意味で以前の自分ではなくなった。

つらくて苦しい経験を得たからこそ分かる気持ちやそこから学んだことなどが経験値として備わり、また新たな一面を持った私へと生まれ変わった、そんな気持ちでいる。

少しずつ、それでも確実に私は前へ進めていたのだと分かり、つらくて仕方ない時にじっと耐えることの重要さも今回学んだ。

人としていくらか成長を遂げたように思える。

きっとこれからの私の人生においてもいろいろと壁にぶつかってしまうかもしれないけれど、それでも私はその都度壁を越えていくことができると信じている。


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