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東京都市大学 小池情報デザイン研究室の卒業展覧会参加レポート

 2024年2/25(日)に横浜市と協働で開催された、東京都市大学小池研究室 協働・共創展示会の見学レポートをご紹介します。

東京都市大学 協働・共創展示会
~横浜市と連携した地域課題へのアプローチ~

 小池星多教授は、モノと人との関係性に着目し、情報デザインの手法を用いてその関係性をリデザインする研究を、実際に地域に出ることを大切に実践を続けられている先生です。
 また、大学キャンパスのある都筑区や横浜市と連携した地域課題へのアプローチも、今まで力を入れてきたことの一つです。
 
 今回は、通常の展示に加えて、研究室の20年にわたる都筑区や横浜市との共創プロジェクトの振り返りの展示もありました。

 地域と連携した実践には、都筑区センター南駅のバス路線図のデザインなどさまざまありますが、中でも近年力を入れてきたことの一つに、都筑リビングラボの活動があります。

 精神的困難・発達特性などの生きづらさを抱えている当事者の課題に着目し、人と人や環境との関係性をデザインすることなどを通じて、本人の意識の変容や、自己肯定感の向上などの変化が起きることを期待して、さまざまなステークホルダーとともに、研究室の学生が実際に現場に足を運び、対話をしながら試行錯誤を続けてきました。

 2021年からは、都筑区北山田小学校をフィールドに、不登校や教室に馴染みづらいといった困難を抱えている児童に対して、LEGOやドローンなど遊びや自由な空間を作ることで、関係性に変化を起こしながら、丁寧な働きかけを続けてきました。

リビングラボのデザイン

 学校の先生とは少し違う立場である大学生が、親身になって介入することでもたらされた成功体験は、不安を抱えがちだった児童の気持ちや行動に、変化を起こすキッカケにつながりました。児童のお子さんにとって、比較的歳が近い、お兄さんお姉さんのような存在と感じてくれているのかも知れません。

都筑リビングラボの歩み

 また、精神的困難を抱える当事者へのヒアリングを元に、生きづらさを軽減させ、生活をしやすくすることを目指したアプリのデザインを考える試みも、ここ数年続いています。
 リビングラボのデザインと共通しているのは、人の生きづらさ、特に目に見えにくい気持ちや精神面での生きづらさのことに、しっかり共感して目をむけて研究されている点だと思います。

精神障がい者のためのアプリケーションデザイン

 このヒアリングやデザインを通して、学生さんは精神障害のお困りごとを、当事者のものだけと捉えず、一般の誰もが多かれ少なかれ感じていることであることに気づきながら、色々な工夫を考え、アイデアを形にしている点は、小池研ならではの特色の一つになっているのではないでしょうか。 

 先生にお話を伺った中で特に印象的だったのは、実際にフィールドに現場に出ることには大変さもあるけれど、現場で起きていることを実際に見たり聴いてみないと分からないこともある。だから大切にしているんだという言葉です。

 学生さんにとって、そういった現場で感じる生きた体験は、大変さはあるかも知れませんが、とても貴重な学びになっていると思います。

 また、現在はインターネットなどを通じて、私たちにとって手の届きやすい情報がたくさんあるので、興味を持ったことにはどんなことであれ、自分の能力や可能性を伸ばす手段はいくらでもあります。必要なのはチャレンジする気持ちと行動だけです。
 小池先生は、その気持ちを後押ししてくださる存在でもあり、研究室の学生さんは、そのマインドを学び取って実践されています。

 そんなマインドが特に表れているのが、宇宙科学教育のデザインです。先生のご専門は工学ではありませんが、宇宙の民主化を目指し、誰もが気軽に宇宙科学に親しめるためのキッカケづくりを目指して研究されています。

宇宙科学教育のデザイン

 ちいさなデジタル推進室は、まさに先生から教えていただいたこのマインドから、多くのヒントや勇気をいただきながら、今まで歩んできました。
 「興味を持ったことに出会ったとき、それを上手くできるかどうかを不安に思ったり、遠慮しないで、先ずやってみて良いんだ!」という先生に教えていただいたメッセージには、とても勇気づけられてきました。
 このことは、人が前向きに物事を捉え、自分の強みを発見したり、気持ちの拠りどころを探す上でとても大切な要素だと感じています。

 今、力を入れられている一つの宇宙科学教育をはじめ、今後のご研究の成果がとても楽しみです。

 追記: 
 先生が研究されてきた地域での実践が、教科書に掲載されたそうです。地域に根ざした研究を、教科書を通じてみなさんに知っていただける機会が増えたのは、とても嬉しいですね!

情報デザインの教科書
バス路線図のサイネージデザイン
※こちらもフィールドワークを通じたヒアリングをもとに、色覚に障がいがある人に配慮したデザインが取り入れられている。


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