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茶室で時空間の実験をし抹茶に出合うダンス公演「Strange Green Powder」神村恵

「フェスティバル/トーキョー 19 主催プログラム」の公演「Strange Green Powder(ストレンジ・グリーン・パウダー)」は、日本庭園の茶室で、音楽×身体の動き・存在×モノたちの秘密の実験のように行われた。

豊島区立目白庭園にある赤鳥庵という畳の茶室が会場。いろいろな物が置いてあり、引き戸のところにはめられた木の板にはマジックで文字や数字が書かれている(上演中も出演者が書き加えていた)。

観客は自由に動き回りながら鑑賞する。3人の出演者は、茶室の外の廊下や、玄関付近、ベランダまで使って、動く。

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※左に見える建物が、会場の赤鳥庵。

モノの形を体で作ったり、体の動きを楽器で音にしたり。

1人がストップウォッチを操作し、他の1人が時間をカウントせずに「1分」や「1分半」がたったと感じたときに合図をする。まず落ち着いた状態で、次にはその場で走って少し心拍数を上げてから、そして最後は1人で2役(?)の会話をしながら、「時」を推し量る。

神村恵氏は、1分なら1分の時間の固まりを胸の辺りに置いて、それが1分かけて「溶ける」のを感じて、1分たったのが分かるようになった、と語る。

話しながらだと、少し時間感覚がずれてしまうようだ。2人は、ずれる原因について、話す間は頭で一瞬で考えて言葉を出してしまい、「体に流れる時間」と「頭に流れる時間」が違うからではないか、と言っていた。

それで、頭を使い過ぎて、体に意識を向けていないと、疲れを感じるのかもしれない、と思った。

2人で並んで歩いて、2人の体に「つながり」を作ってから、2人の距離を広げていく。8、9メートル離れても、つながりを保てるか?

その後、3人の出演者が、「消えた」。狭い空間で、あらゆるところに観客が散っていて、出演者はたった3人で、観客みんなが注目しているのに、いつの間にか姿を消せるなんて、すごい。

あれ?どこに行ったの?と思っていたら、再び現れ、1人は緑色の毛布をかぶり、他の1人はその毛布と同じ色・素材のフェルト帽をかぶっている。当初、この2人とミュージシャンの1人は野球帽(キャップ)のような帽子をかぶっていたが、それはこのときは脱いでいる。

毛布の人とフェルト帽の人がゆっくり同じ動きをし、シンクロしていく。

3人が茶道をするように正座し、抹茶の粉を口に入れ、水を口に含む。

「せーのっ」という掛け声で、3人が「10年後の日本は(※後半は聞き取れなかった)」と一斉に言う。あと2回ほど「せーのっ」と神村氏が言うが、今度はその掛け声に言葉は続かない。

3人が立ち上がって去り、終演。

体でモノを表現したり、見えないつながりを人と人の間に創出して引き伸ばしたり、体の感覚で時間を捉えようとしたりと、日常生活の中で時折試してみたいヒントがいっぱいだった。身体を目覚めさせたい、と気付かせてくれるパフォーマンス。

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公演情報

公演名:Strange Green Powder
日程:
10/24(Thu) 15:00 / 19:00
10/26(Sat) 12:00 / 15:00 / 19:00
10/27(Sun) 13:00 / 17:00

※受付開始は開演の1時間前、開場は20分
※26日の公演では、記録撮影が行われます。あらかじめご了承ください。

会場:豊島区立目白庭園 赤鳥庵
上演時間:50分(予定)
上演言語:日本語
チケット種類:自由席(スタンディング)

一般前売り ¥2,000
学生 ¥1,300※1
高校生以下 ¥1,000※2
当日 ¥2,500
3演目セット ¥1,700

振付・演出:神村 恵
音楽:髙木生(tnwh/noobtastic)
美術:ミルク倉庫+ココナッツ
出演:神村 恵、武本拓也
舞台監督:河内 崇、齊藤梅生
ビジュアル:松本直樹(ミルク倉庫+ココナッツ)
制作:岩間麻衣子、荒川真由子(フェスティバル/トーキョー)

※トップ写真は下記サイトより。
クレジット:『workshop』より ©Shu Nakagawa


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