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英国ロイヤル・バレエ、バレエ学校『ピーターと狼』セルゲイ・ポルーニンほか

プロコフィエフが1936年に作曲し台本を付けた音楽に、1995年、Matthew Hartが英国ロイヤル・バレエ学校の生徒たちのために振り付けたバレエ作品『ピーターと狼(Peter and The Wolf)』。

2010年に収録された公演映像が、期間限定で無料でオンライン公開された。(イギリス時間の2020年4月26日まで)

セルゲイ・ポルーニンが狼を、ウィル・ケンプがピーターの祖父を踊っている。ケンプはすべてのナレーションも担当。登場人物・動物たちのせりふを、声音を変えて演じている。

ピーターや鳥、アヒル、猫など、キャラクターごとにオーケストラの特定の楽器が割り当てられ、子どもたちが楽器や音楽に親しめるようにという趣向の曲だ。プロコフィエフはバレエ『ロミオとジュリエット』の作曲家でもある。

物語は、ピーターが庭の動物たちと交流し、祖父の言いつけを聞かずに外に出て、狼に遭遇するが、動物たちと協力して捕獲し、猟師が撃つのを止めて、狼を動物園に連れていくというもの。アヒルが生きたまま狼に飲み込まれ、ラストで無事、狼の口から出てくる、というオチになっている。

主要な役を踊る子どもたちはもちろん、群舞の子どもたちも一生懸命で、見ていると、「私も一度でいいからあんなふうに舞台で踊ってみたい」などという純粋な気持ちになってくる。(でも実は一度、一応少し踊ったことはあったのだった、子どものときのバレエの発表会で・笑)。

それぞれの動物らしいしぐさや、ピーターの子どもらしさ、祖父の老人らしさが動きで表現され、池や森といったものまでも、生徒たちが脚や腕の動きで舞台上に現出させていた。

カーテンコールのときに映る、観客席の子どもたちの表情に引き付けられる。恍惚となっていたり、驚いているようだったり、何かを伝えるかのように親の顔を見たり。幼いときにこういう体験ができるのは貴重だと思う。

狼役のポルーニンがカーテンコールでお辞儀をすると、恒例らしい、賛美の「ブーイング」が出ていた。

作品情報

Peter and The Wolf (The Royal Ballet/The Royal Ballet School)

出演:セルゲイ・ポルーニン、ウィル・ケンプ 、 チサト・カツラ 、 キリアン・スミス 、 シャルロッテ・エドモンズ 、 ローリーン・ムッチオーリ 、 セルゲイ・プロコフィエフ 、 ポール・マーフィー

▼バレエやダンスの公演レビューなどは「ダンス評.com」にもまとめています。

▼猫役で出演した桂千理(かつら・ちさと)氏の大人になってからのインタビュー


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