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ダンス映像『400年』荒悠平と大石麻央と森内康博:コロナ禍で人間が閉じこもる中、街に出る400歳のサメ

ダンサーの荒悠平氏が、彫刻家の大石麻央氏が羊毛のニードルフェルトで作ったサメの被り物(頭部のマスクと手足、ヒレとシッポのようなもの)をして踊る公演シリーズが、映像の森内康博氏が加わって短編映像作品として登場。YouTubeで公開されている。10分間の動画。

人が消えた日本の街で、400年という悠久の時を生きるニシオンデンザメが、立って歩いて、生活する。スーツを着て外を出歩き、会社勤めもしているのだろうか?

サメの動きはゆったりしている。動作がゆっくり過ぎて青信号の間に横断歩道を渡り切れないときは焦るが、急ぐべきことはたぶん何もない。

2019年1月に新宿眼科画廊地下で行われた『400才』の公演を見たが、それと今回の映像とを比べると、「サメ感」と「ゆっくり感」はやや薄れる気がした。公演での作られたセットの中で動くサメの方がフィクション感が増し、ダンサーの荒氏の存在が弱まってサメへの変身度が高くなり、ゆっくりと動く現場に観客である自分も同時に存在することで、一緒に時間の流れを感じられたのかもしれない。

しかし、現実世界を舞台に動くようになった映像の中のサメが今後どんな行動をしていくかが楽しみだし(映像シリーズは今後も制作が続くという)、ある意味で今の現実世界は特殊な環境下であり非現実感もあるので、サメとどんな相乗効果が出てくるのかを目撃したい。

※トップ写真はイメージ。


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