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女生徒④

出がけに、うちの門のまえの草を、少しむしって、お母さんへの勤労奉仕。きょうは何かいいことがあるかも知れない。同じ草でも、どうしてこんな、むしりとりたい草と、そっと残して置きたい草と、いろいろあるのだろう。 可愛い草と、そうでない草と、形は、ちっとも違っていないのに、それでも、いじらしい草と、にくにくしい草と、どうしてこう、ちゃんとわかれているのだろう。理窟はないんだ。女の好ききらいなんて、ずいぶんいい加減なものだと思う。
『女生徒』太宰治

「女の好ききらいなんて、ずいぶんいい加減なものだと思う。」

まさにこういうこと。
理由とか理屈とか、なんとなく意味をつけるけど
本当はいい加減なものだなとよく思う。

何があっても変わらないものを作ってみたい。
自分の中でのそういうもの。
気分で変わらないもの、信念みたいなもの。

どこか地に足がつかないまま、フラフラとして
このまま時間が過ぎることがとても怖い。

この小説の中だけは、そんな自分が許される。
辛い時とか苦しいときに1番支えられる一冊。

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