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人間失格


……考えれば考えるほど、
自分には、わからなくなり、
自分ひとり全く変っているような、
不安と恐怖に襲われるばかりなのです。
自分は隣人と、ほとんど会話が出来ません。
何を、どう言ったらいいのか、わからないのです。

『人間失格』太宰治

体を流れる血液の色・りんごやトマトの色が「赤」
でも、私の目に映る赤と他人の目に映る赤は
同じように見えているか不安になったことがある。

目の前に座って涙を流している女の子は
どうして泣いているのか外からみたら分からない。

蝉に生まれ変わりたいといったら
意味がわからないと言われたことが理解できない。

自分の頭の中で思考すればするほど
なぜ、他人とは違うんだろうか。
私以外の人類は同じ答えなのに私だけが違うのか
など、悶々としたことが幾度もある。

その度に、唯一の理解者になってくれるのが
「大庭葉蔵」という主人公である。

「自分ひとり全く変っているような、
不安と恐怖に襲われるばかりなのです。」

この一言だけ、なぜ分かってもらえた。という
安堵と唯一の理解者だという共感を得られるのか
逆に、なぜ理解ができない人もいるのか
こんなに好き嫌いの分かれる小説には
後にも先にも出会ったことがない。

去年の6月19日にいけなかったお墓参りに
今年は大好きな人間失格をおともにして
向かうことができたらいいなと思った。

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