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どうにか生きる『鴎』


「なんだ、太宰って、そんな変ったやつでも無いじゃないか。」と大声で言うのが、私の耳にも、ちらとはいることがあった。私は、そのたびごとに、へんな気がする。私は、もう、とうから死んでいるのに、おまえたちは、気がつかないのだ。たましいだけが、どうにか生きて。

『鴎』太宰治

「私は、もう、とうから死んでいるのに」
「おまえたちは、気がつかないのだ。」

やっぱり、わかってくれるのは太宰の作品だと
心から思う一日だった。

目に見えることが全てではないということ
結局は「気がつかない」ことが大半だと思う。
そういう苦しいと思う出来事に向き合うよりも
私が「死んでいる」状態でいることでしか
生きていくことができない辛さ。

表に出している面が「私」だと思っている
人と会話をすることも関わることも疲れる。

そういう「弱さ」を持っている人間は
どの時代でも生き苦しいものだと思う。

それでも、立ち止まるのではなく
ひたむきに「生きている」っていう点では
私はまだまだ限界じゃないのかもしれない。

太宰の小説をもって旅に出たい。
スマホの電源を切って、本一冊を持って。

本との「対話」が心のゆとりをもたらす。

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