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ダス・ゲマイネ

愛は言葉にするべきか、沈黙すべきか。

ほんたうの愛情といふものは
死ぬまで默つてゐるものだ。
菊のやつが僕にさう教へたことがある。

『ダス・ゲマイネ』太宰治

好きと口に出して言う事は、恥ずかしい。
それは誰だって恥ずかしい。
けれども、その恥ずかしさに眼をつぶって、
怒濤に飛び込む思いで愛の言葉を叫ぶところに、
愛情の実体があるのだ。

『新ハムレット』太宰治

「死ぬまで黙る」「愛の言葉を叫ぶ」
という相反する感情を別作品で描いている。

どちらにせよ言えることは
「愛」とは何かを持論をもって語れる主人公は
幸せだと言うこと。

自分の言葉で「愛」とは何かを伝えられる人に
私はなりたいと思う。

どれだけ短い言葉でも、ぶっきらぼうでも
伝えたい人にだけわかる「愛情」を
人の言葉を借りずに自分の言葉で伝えてみたい。

『新ハムレット』で語られているのは
熱烈な愛情「恋」に近いものだとすれば

『ダス・ゲマイネ』で語られている愛は
穏やかな愛情、「愛」だと感じる。

これだけ「言葉」って大切だと思っていても
結局、本当の愛は「沈黙」の中にあると思う。

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