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愛情を消耗しない『斜陽』


「人間は、万物の霊長だなんて威張っているけど、
ちっとも他の動物と本質的なちがいが無いみたいでしょう?ところがね、お母さま、たった一つあったの。おわかりにならないでしょう。他の生き物には絶対に無くて、人間にだけあるもの。それはね、ひめごと、というものよ。いかが?」

『斜陽』太宰治

陽が沈む春の空。
夕暮れどきに想うこと。

人間にしかできないこと
・嘘をつくこと
・ひめごと

動物に感情があるのかはわからないけれど
人間が苦しむのも、悩むのも多くの場合は
この「ひめごと」とかいうもののせいだと思う。

打ち明けられない想いとか、隠したいこととか。
誰にも打ち明けることができない「ひめごと」は
頭の中でわぐるぐると駆けめぐる。


愛情は積み重ねることができるもの。
だけど、決して減点したくないもの。

ゲームみたいにHP100みたいなものではなくて
無限にプラスにはできるけれど、0になった瞬間
もう、愛情はどこにもないみたいな感覚。

決してひとりでは増やすことも減らすことも
できないから、つまらないけれど平凡でいい。

信じて楽しみにして、期待を裏切られると
愛情のゲージはどんどん減っていく。

そんなに愛情を消耗するようなことに
時間を使っていて、本当に幸せなのだろうか。

多くの場合は「幸せだった過去」を捨てられない。
だから、次の一歩を踏み出すことができない。

戻すことのできない時間に執着するよりも
歩むことができる未来の時間をどうしたいのか。
そこに目を向ける方がよっぽど幸せになれる。

対象の人物にたいして「ひめごと」が増えるほど
その関係に疲弊していくのはなぜだろう。
溢れないように、ただひたすら堰き止めて
重ねてきた我慢のダムが決壊するのはなぜだろう。

人のこころの器は「ひめごと」を抱えられる数が
決まっているように感じられる。


大切な時間・もの・ひとに対しては
たくさんの愛情を持っていたい。

だからこそ、消耗するようなもの、
充電ができないものならば捨てたらいい。
使いすぎた持ち運び充電器みたいになる前に
本体が壊れてしまわないように。


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