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「つむじ風食堂の夜」とわたし

「つむじ風食堂の夜」
吉田篤弘 著
筑摩書房/ちくま文庫

もともと、どうしてこの本を手にとったのかは、よく覚えていない。
文庫本だったのは覚えている。
文庫本が発行されたのが、2005年ということなので
たぶん、その頃なのだろうと思う。

出会いはこんなに曖昧なのに
好きな本は?と聞かれたら、迷わず「つむじ風食堂の夜」と答える。
どれくらい好きかというと
家の本棚には、単行本が1冊と文庫本が3冊並んでいて
しかも、災害時の非常用バッグの中にも1冊入れてあるほど。
もともとは、最初に買った文庫本1冊しかなかったはずが
旅先の本屋さんでふと読みたくなって買ったり
古本屋さんの棚に並んでいるのを見つけて思わず手に取ったり
そして、友達に「おすすめだから読んでみて」とプレゼントしたり
そんなかんじで増えたり減ったりしながら、今は合計5冊。

そんなに大好きな本であるにも関わらず
「どんな話?」「どんなところが好きなの?」と聞かれると
ちょっと困ってしまう。
物語はひっそりとしていて
なにかが起こりそうで、でも大事件は起こらない。
好きな場面はいくつもあって
雨降り先生の部屋にある、ふたごのような古い机
夜遅くまで店を開けて本を読む果物屋の青年
オゴオリさんが差し出す名刺
でも、それらをどんなに好きかをうまく説明できない。

最初から最後までじっくり読んでもいいし
好きなシーンのあるところだけを読んでもいい
何度も何度も繰り返し読んできたけど
小さな文庫を手にとってページをめくるとき
いつも、やっぱり好きだなーと思う。

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