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#青色本
永井均「ウィトゲンシュタイン入門」より-2
しかし、どういうわけか、私は生まれ、今ここにこうして存在している。そしてそれは永井均という名づけられたこの人間が生まれたということとは別のことである。なぜなら、永井均という名のその人間が生まれていながら、それが私ではなく他人(というよりむしろ単なる一人の人間) にすぎない、という状況は十分考えられることだからである。
だからこの問いは、実のところは、「なぜこの子(つまり永井均) が自分であって、隣
永井均「ウィトゲンシュタイン入門」より-1
私が言いたかったのはこういうことだ。これまで無数の男女がセックスをして、無数の子供が生まれてきた。これからも生まれてくるだろう。そのうちの一人が私であった。しかし、私など生まれてこないこともできたはずである。現に1951年までは、私がいない世界が続いていたし、2100年には、またまちがいなく私のいない世界が存在し続けるであろうから。