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両手からこぼれ落ちた言葉
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2017年5月の記事一覧

ふっかつのじゅもん

 誰もいない公園の地面に、教えてもらったとおりの線を描く。中心に骨を埋める。日没まであとすこしだ。僕はそこから離れると、意味のわからない言葉を並べた。
 日が沈んで、薄暗くなる空に街灯が星のように光る。
 なにも起こらなかった。そりゃそうだ、という気持ちと、信じかたが足りなかったからだろうか、という気持ちが半分ずつ。僕は地面にぺたん、と座る。
「なにが復活の呪文だよ。ぜんぜんなんもおきないじゃん」

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めんどくさい思考だ、と自分でも思う。

するすると天から縄が降りてくる。それはまるで芥川の蜘蛛の糸のようだと思う。誰も救われはしない。
立ち上がって帰ろうとする自分の目の前に、その人はいた。タイミングが悪かったという顔をしている。知っている人ではない。
お忙しいところありがとうございました。
打ち合わせでも終えるように立ち上がり、会釈をしてその場を去る。
彼らは並んで座る。
自分が階段を上がり、降りてきた縄に手をかけ、首に巻く様子をピク

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