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たまたま読んだ本16:「インフレ・円安からお金を守る 最強の投資」このままではあなたの現金の価値が下がる! 投信の全体像をわかりやすく解説

最強の投資

今や円安で収入に比べ、物価がどんどん上がり、利息の少ない金融機関の預金に置いておくだけでは、お金の価値が下がっていくことになる。

同書で著者は、これまで貯めてきたお金の価値が下がらないように、しっかり運用して「資産を守り増やしていく運用」の必要性とその方法を解説する。

来年から投資の利益に税金がかからないNISA制度が、新しい制度になる。この機会に、投資するかどうかにかかわらず、投資を通じた資産運用の方法を知っておいて損はない。今後、金利が上がる傾向にあるようだが、預金金利はまだまだ微々たるものだ。

著者は、物価上昇率が、3%て推移した場合、20年後にお金の価値は半分に減ると指摘、大事な資産を預貯金に置いておくことか大きなリスクで、資産運用と無関係でいられる人はいなく、「運用に回さなくてよいお金など、ほとんどない」と言ってもいいかもしれないという。

確かに、日本で日本のカメラを買うのにも円安で高くなっている。部品や本体などほとんどが海外生産になっているためだ。新製品も海外で発表される、そんなグローバル時代。お金の値打ちが下がっているのを実感する。以前は日本製は日本で買うと海外より安いはずだったのだが。

著者は、金融資産は、(収入ー支出)×運用利回りで計算できるので、運用利回りを上げる方法を考える時代になったといい、元本+利息にさらに利息のつく複利で運用するのが重要なポイントだと説明する。

元々資産運用は、インフレに負けないくらい増やすとか、老後資金を十分に準備するとかの目標を持ち、運用に回せる金額や運用できる期間など、目標を達成できそうな方法を検討して取り組むべきものだという。

そこで、資産は「安定」と「積極」に分けて運用し、
①安定運用する分は預金と債券ファンドに振り分け、
②積極運用する分は株式ファントて積み立て投資をするのが基本的な戦略で、
高齢者以外の資産形成層の人は、将来に向けて積極的に増やす割合を高めることがポイント。
高齢者の資産活用層の人は、安定的に運用しなから使うことを考え、「長生きリスク」に備えるために積極的な運用も必要だという。

また、株式は「ハイリスク・ハイリターン」で、債券は「ローリスク・ローリターン」の金融商品で、投資信託では、販売、運用、管理にかかわる会社が破綻しても資産は守られる。が、相場が買った時より下がれ当然損はする。因みに銀行が破綻した場合は、元本1千万とその利息分までしか保護されない。

運用期間を長くし、資産を分散するほど、リスクは低減するので、「長期・分散・積み立て」投資、10年以上をかけて運用することかリスクを抑えるカギだという。

2014年に、トマ・ピケティの「21世紀の資本」が、全世界で大きな話題になった。それは過去、長期で見れば、資本収益率が経済成長率を上回ったということだ。平たく言えば、資産(資本)つまり資産運用益が、労働によって得られる賃金よりも成長が早く、格差が拡大し、資産のある人はますます裕福になるということだ。早く少しでも資産を作り長期運用することが重要なのである。

著者は、積極運用は「株式ファンド・積み立て」で、毎月〇万円」というように定時定額で投資し、投資のタイミングを分散する投資法の「ドル・コスト平均法」を勧める。

安定運用は「債券ファンド・一括」を勧める。
債券は株式と違って、動きが小さく、積み立て投資のメリットが享受しにくいので、「いま預金で持っている資産を守るために債券ファンにに移す」という場面を考えると、債券ファンドであれば一括で投資してもよいのはないかと思うという。

注意しなければならないのは、投資信託の「コスト」。
投信には、「販売手数料(講入時手数料)」「信託報酬(運用管理費用)」「信託財産留保額」の 3 つのコストがかかる。販売会社により手数料が異なるが、最近、SBI証券は日本株売買手数料無料化へ動き出し、楽天証券も追従するという報道があったのは歓迎される。

同書では、金融政策と景気の動きのサイクルや「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の違いなどや資産運用方法にも言及する。

インデックスファンドは、日経平均株価や東証株価指数といった指数(インデックス)をベンチマ ー クとし、値動きが指数に連動するように運用し、多くの銘柄に偏りなく分散投資できるのが特徴で、運用コストが低く、信託報酬の低い商品が多い。

アクティブファンドはファンドマネージャの手腕に運用成績が大きく左右され、概してインデックスファンドに勝てないのが多い。

具体的な資産管理のベースはインデックスファンドでよく、

資産形成層の方は、収人の一部を株式ファンドの積み立て投資に回して積極運用し、積み立て額(年間)は、手取り年収の 7~8 %を目安とするとよい。
預金は手取り収入の3か月分程度を残し、それ以外は預金口座から毎月一定額の株式ファンドに積み立て投資を勧める。

資産活用層は、金融資産額にかかわらず「保有している金融資産の20%を預金に置いておき、80%を債券ファンドに回す」「預金+年金収人の中から、金融資産の 0.5 %相当額を株式ファンドの積み立て投資に回して積極運用する」ことを勧める。

この他、おすすめの債券ファンドや株式ファンドの紹介や金融機関とどう付き合うべきかなども説明している。

ただ、気になったは、預金口座の「使うお金」が不足しそうになったら、随時、債券ファンドを売却して預金口座に移しましよう。と言っている点だ。問題は投資を始めて期間が短い場合、売却時に相場が下がっていると損になるので注意が必要だ。もちろん、長期の投資で初期の投資額を上回っている場合がば別だが。

同書は、投資に関心を持ち、始めたいと持っている人には、基本的な知識を得ることのできる案内書となるだろう。

来年からの新NISAを始めたいと思っている人は、自分に一番良い方法で資産を増やす、また守る方法を研究するとよいだろう。

金融機関社長の著者には悪いが、一般に金融機関の窓口や担当者は、どちらかというと顧客の損得よりも投信商品を売買させて手数料を稼ぐために働く傾向にあるので、くれぐれも金融機関の言うことを鵜吞みにして、言いなりにならないように投資リテラシーを上げることが望まれる。
同書に掲載されている金融機関の姿勢をチェックするためのポイントも参考になるだろう。ただ、各種手数料はネット証券のほうが安い。


このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資

出版社‏‏ : ‎ ダイヤモンド社
発売日‏ : ‎ 2023/3/29
ページ数‏ : ‎ 200ページ
定価:1500円+税

著者プロフィール
朝倉智也(あさくら・ともや)
SBIグローバルアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。
銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号(MBA)取得。
同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。
1998年モーニングスター株式会社(現 SBIグローバルアセットマネジメント株式会社)設立に参画し、以来、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。
SBIホールディングス株式会社 取締役副社長を兼務し、SBIグループ全体の資産運用事業を管掌する。
主な著書に『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『「iDeCo」で自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。

トップ写真:センニチコウ


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