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「静カフェ」という体験づくりを約1年続けて思うこと

こんにちは。小夏です。
1週間って早いですね?毎週びっくり。
先々週書いた「ポストカードを通してみんなの夢を応援したい」という記事、たくさんの方から反響をいただきました。

ポストカードもこの1週間で約30枚が色んな方の手に渡っていき、少しずつまめのきに置いているバインダーにもみんなの夢が集まり始めています。
自由に閲覧できるのでよかったら見てみてくださいね。

今日のテーマについて。
昨日の夜読み始めて、あまりにも面白くて今朝読み切った
阿久津隆さんの「本の読める場所を求めて」という本を読んで、
去年からまめのきでやっている『静カフェ』という体験をちゃんと言語化してみたい!と思い筆を取った次第です。

もうすでに、だいぶ長くなりそうな予感。
15分ぐらい空いた時に読んでもらえると幸いです。


あなたにとっての『贅沢な時間』は?

さて、本題に入る前に…
あなたにとって『贅沢な時間』とはどのような時間ですか?

例えば、土日の忙しい営業を経て、月曜の朝にゆっくり珈琲を飲みながら、今日はお母さんが試作した抹茶のテリーヌを食べながら、こうしてnoteを書く時間は私にとって『贅沢な時間』です。

あとは、「楽しみにしていた本をゆっくりとカフェで読む時間」も私にとっては『贅沢な時間』。
これには同意する人も多いのではないでしょうか。
でも、ちょっと考えてみてほしいのが、
この『贅沢な時間』って絶対に約束されたものでしょうか。

休日に、好きなカフェで本でも読もうかな〜とわくわくしながらお気に入りのブックカバーをつけて、電車に揺られ、席についてチーズケーキと珈琲をオーダー。よし、本を開いて食べるぞ〜と思っていたときに隣のテーブルに女子大生2人組が来てきゃっきゃ話し始めた。
とか、ちょっと本に集中できたと思ったら、「すみません、今満席で…」という声が聞こえてきて、うわ、このまま本読んで居座るの迷惑かな…好きなお店やしなあ…と思ってそそくさと退店したり。
あと何度か行ってるお店だと、店員さんがちょっと気遣って話しかけてくれて本に戻れなくなったり。(もちろん!すごく嬉しいんだけど次から読書用の候補からは外れちゃう。)

もちろんこれは私の面倒な性格に因るところで、そんなこと気にせず好きなカフェで読書を楽しんでいる人もたくさんいるのかもしれない。
でも、少なくとも私は、「楽しみにしていた本をゆっくりとカフェで読む時間」という神聖な時間を過ごそうと思った時に、必ずリスクを孕んでしまうことに、何か違和感をずっと感じていました。

っていうと家で読めばええやん、という声がどこからともなく聞こえてくるんですが、家は気が散る要素がたくさんあって中々贅沢感はないし、夜に読んだりしたらすぐ寝ちゃう。まあ大半は家で読んでるんやけど、休日にわざわざ家にこもって読書はしないかな。

あと、運が良くカフェに本を読みに行って、近くに会話もなく、店も満席じゃなく、ゆっくり過ごせる状況だったとしても
どこか付き纏う孤独感や、長居することへの後ろめたさみたいなものは、常々うっすらと感じていました。


『静カフェ』を思いついてから実施に至るまで

書いてると自分の性格面倒すぎて笑えてくるけど、みんなが見過ごしてしまうところに違和感を感じられることは、自分の仕事を作っていく上でポジティブな要素になっていくんじゃないかなと思います。(特技:自己肯定。なので笑)

まあそんなことを考えていた時、
「あれ、これまめのきでできるんちゃう」
という目から鱗な発見をし、ここでイベント化できひんかな〜と色々調べながら思考を膨らませていきました。

私が新しいことを思いついた時はとりあえず練りすぎずにぽーんとストーリー上げてみて、その反応を見たり、興味持ってくれた人に電話して意見聞いたり、自己完結で考えを詰めすぎないようにしています。
本当に頼りになる友達が多いのが私の自慢!!いつもありがとうございます。

そして、色々調べるうちに発見したのが東京にある「fuzkue」というお店。
冒頭で紹介したのはそこのオーナーさんの本です。
詳細を書くと長くなりすぎるので省略しますが、「本を快適に読む」居場所づくりをコンセプトにしたお店です。入店して渡されるご案内が1万2000字あるという非常に面白いお店です。是非調べてみてください。

で、ある程度やり方を決めたところで、上述したストーリーで興味持ってくれた15人を2回に分けて招待してプレ実施を行い、実際に体験してもらった上で感想や色んな意見をもらいました。(その場で意見言ってもらうのに加え、紙のアンケートも用意)

最後に雑談会をすることや、途中で回覧ノートを回すことは、プレ実施でもらったアイデアです。一人じゃ気づかない視点をたくさんもらえたので、何事も試行錯誤って大事やなと思います。


え、結局『静カフェ』って何!?

って思っている人もそういやいるかも。と思ったのでここで静カフェについての説明を。

映画館で映画を観るように、読書のための最適な空間をつくること

を目的に、まめのき珈琲の営業後に予約制(上限6名)で行っているイベント。
時間は17:30〜20:30ですが、入退場は自由です。
17:30〜20:00の間は、各々で静かな時間を楽しめる。(読書や日記、勉強、手紙を書いたり。贅沢な時間を楽しんで欲しいからPC作業はあまり推奨していません。)
20:00〜20:30の間は、その場に居合わせた人たちで雑談会。毎回何かしらテーマを用意して、私がファシリテーターをしています。

プランは3つあって、
A : 焼菓子3種 + ドリンク2杯   ¥1,600
B : トーストメニュー + ドリンク2杯   ¥1,700
C : ケーキ2種とアフォガードのプレート + ドリンク2杯   ¥1,900
です。
来店のタイミングに関わらず、18時頃と19時頃に一斉に提供となります。
食事の提供のタイミングはどちらかでお選びいただけます。
(誰か来るたびにフードやドリンク作ってると、皆さんの気が散るかなあと。あとは私もこの大好きな空間で一緒に読書がしたいので…!)

途中で回覧ノートを回して、その日の過ごし方や感じたことなどを自由に書いてもらっています。

と、こんな感じのイベント。
2022年4月現時点で、18回開催しています。
今は月に2回ほどやけど、いずれ週1ぐらいのペースでやっていきたいなあとも思っています。
予約方法は公式LINEからになるので、記事の最後にリンクを貼っておきますね。


約1年やって感じる、『静カフェ』の魅力

このイベントを思いついた時から、絶対に素晴らしいものになるっていう自信はあったけど、回を重ねるごとに感じる魅力は想像以上でした。
書き出したらキリがないけど、思いつく魅力を頑張って3つに絞ってご紹介します。

【静カフェの魅力】
① 約束された静かな空間で、自分が過ごす時間に感じる贅沢感
② パーソナルでありパブリックでもあるハッピーな連帯感の創出
③ 毎回新しい人や価値観、本に出会える雑談会

魅力その1 / 約束された静かな空間で、自分が過ごす時間に感じる贅沢感

これは冒頭につらつらと書いている、私がこれまで感じてきた外での読書に付き纏うリスクを可能な限り考慮した制度によって生まれたもの。

『静カフェ』を思いついて以来ずっとブレない一番の根っこが、この「贅沢感を味わえる空間であること」です。
回覧ノートを見ているとこのことを書いてくれる人が多く、「ああ、ちゃんと伝えたい魅力が齟齬なく伝わってるなあ」とほっとして、嬉しくなります。

美味しいケーキを作って食べて喜んでもらうことも勿論奥が深いけど、
体験による感覚を送り手と受け手で共通に認識できることって本当に難しいし、それが一致していると分かった時の感動もその分大きい。


魅力その2 / パーソナルでありパブリックでもあるハッピーな連帯感の創出

ややこしい言い方をしてしまってる気はするけど、全然かっこつけてるわけじゃなくて、まとめるとこういう言葉になってしまうのです。

「カフェで読書をする」ってすごくパーソナルな行動じゃないですか。例えば常連さんが多いアットホームなカフェの片隅でそれをしていると、すごく孤独感を感じる可能性もあるような、割と内に閉じた行動、と私は捉えていて。

でも、『静カフェ』では全員が同じルールのもと、そのパーソナルな行動を行っていて、まだ顔も名前も好きなものもよく知らない間柄だけど、あと数時間したらみんなでお喋りするんだな〜とか思いながら(雑談会は必須参加ではないですが!)、途中で回ってきた回覧ノートを見て、あの人はこんな過ごし方をしてこの空間を楽しんでるんだ、とか感じながら(私の勝手な想像ですが)、みんなで静かな時間を共有する。

そこに言葉がなくても、みんなでいる安心感とか連帯感が自然と生まれていて、私はその空間の中で一緒に本を読んだり、珈琲を淹れている時間がたまらなく幸せです。


魅力3 / 毎回新しい人や価値観、本に出会える雑談会

最後に行う雑談会。これはさっきも書いたようにプレ実施に参加してくれた友達が、「一緒にこの空間を過ごした人がどんな人なのか、どんな過ごし方をしてたのか気になるからお喋りする時間がほしい」と言ってくれたことから始まった時間。

でも、これが本当に面白くて、毎回テーマは「オススメの本」とか「趣味について」とか「今年の抱負(年始に)」とか普遍的なものが多いけど、そこに集うメンバーによって毎回全然雰囲気や会話の流れが違って、その不思議な化学反応が面白い。
だいたい新規の参加者さんとリピーターさんが半々ぐらいになることが多くて、そこでは前に○○さんが薦めていた本を読んだら面白くて…とか、オススメがリレーされていくこともあったり。

自ずと私のファシリテーション力も鍛えられていくし、全く知らない分野の話が出ると中々深掘れなくて悔しい思いをして、新しい学びへの興味が湧いたり、私自身開催のたびに得られるものもたくさんあって楽しいです。


経営面でシビアに考えてみると

ここまで読んで、『静カフェ』ってポジティブな点がたくさんあって、すごくいい会やん〜と感じてもらえている…と大変嬉しいです。
ただ、身を粉にして良い取り組みを作ることができても、それが仕事として持続していく仕組みがないと、モチベーションだけでどこまでも頑張れるほど私はストイックじゃない。

珈琲を飲みながらじっくり読書に耽っているお客さんがいる空間は好きだけど、経営側として考えると、オープンからクローズまで、珈琲1杯で3-4時間過ごすお客さんがほとんどだったら経営も成り立たない。
そのギスギスとした気持ちってきっと伝わって、それがお客さん側の後ろめたさとかに繋がっていっちゃうのかもしれない。
(補足しておくと、珈琲1杯でゆっくり過ごしているお客さんに対してそういう気持ちは抱いてません。むしろうちで長時間過ごしたいと思ってくれることに感謝の気持ちが大きくて。だから、仮にそういう人しかいない世界線だとどうなるかな〜という仮定での話です。)

だから、『静カフェ』はお店の人や後から来るお客さんを気にせず心ゆくまでのんびり読書を楽しんだり、私も圧倒的幸福感を持って営業ができるように、と考え抜いた制度と価格の設定をしました。

以前まめのきでお客さまアンケートを行った際、
「もう少し安かったら静カフェに参加したい」
というご意見をいただきました。
静カフェに興味を持ってくれていることは大変嬉しいですが、持続的に続けていける制度を色々と考え抜いた上での決定なので、今後これよりも参加費が低くなることはありません。
この記事を読んで参加する魅力を感じてもらえたらいいなと思っています。

あとは自分で仕事を作るようになって実感するのは、
" みんなに魅力的なものを作ろうとしても、結局誰にも刺さらない "
ということです。使い古された言葉ですが、自分でやってると改めて実感します。


今後の展望

もうそろそろ締めに入っていきますね(笑)

私はこの『静カフェ』の素晴らしさに絶対的自信があるし、何より自分自身が本当に楽しいので、これからもずっと続けていこうと思ってます。
まめのきでは閉店後の夜の時間しかできないけど、
自分でお店を持ったらもう少し違う形態でもできるやろうし、
好きなカフェで間借り静カフェとかできひんかな〜という妄想もしたり。

あとは、読書量多い人がすごいって短絡的に思うわけではないけど、小さいうちから本をじっくり読む時間を取ったり、感じたことを人に伝える練習をする機会があったらちょっぴり人生豊かになりそうって思うので、子ども向けでもいつかやってみたい。これは昨日の雑談会で日本の教育の話を踏まえて思ったこと。

結構この『静カフェ』ってブルーオーシャンな取り組みじゃないかなあという自負はあるんやけど、その魅力を伝えていく手段がなかなか思いつかないので、誰かいいアイデアあれば教えてください。


静カフェノート、置いてます。

途中でも紹介していた回覧ノート、
まめのきの雑紙棚に置いています。
閲覧自由なので、「どんな感じなんやろ〜」と気になる方は是非手に取ってみてください。

ではでは!
大変長くなりましたがここまでお付き合いいただきありがとうございます。

この記事を読んで、参加に興味を持ってもらえたり、参加したことのある方も改めて魅力を実感してもらえたら嬉しいなと思っています。

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