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はじめてのタジキスタン 準備編2(暫定版)

はじめに

この記事はウズベク・タジク旅行記準備編の第2弾です。ことのあらましと準備編第1弾(交通手段について)は以下。

ビザ

日本国旅券は世界最強のパスポートである。
これを持っているだけで191カ国にビザなしで入国できてしまうが、この数字は他のどの国のパスポートより多いという。国連加盟国が196であることを考えれば、よほど変な所に行かない限り、地球上のほぼどこでもこのパスポート1つで行けてしまうことがわかる。

そして残念ながら、これから我々が行くタジキスタンはよほど変な所である。つまり入国にビザが必要になる。ただ、最近はe-VISAなるものがネット上で申請できる。大使館に赴く必要はない。
なぜかリンクが作れなかったので以下に申請サイトのURLを直貼りする。

https://www.evisa.tj/index.evisa.html

上のサイトで「Start」からサイトに従って必要事項を入力していけばいい。
用意するものはパスポートとクレジットカード、それから自分の旅程がわかるもの。申請料金は手数料を入れて$51.75、パミール高原などに立ち入る場合には「GBAO Permit」$20が加算されるがこれは基本的に必要ないと考えて良い。当然日本発行のクレジットカードも使える。ただしJCBには対応していない。

申請するとすぐに「Tajikistan Visa registration」と「Tajikistan Visa paid」の2件の英語メールが送られ、数日後には「Application Approved」のメールが来る。この「Approved」のメールに添付されたPDFがそのままビザになる。必ず印刷しておこう。通常は2日で発行されるとのことだが、非常に重要なものであるから余裕を持って申請するようにしたい。
私の場合は日本時間金曜夜に申請して、月曜の未明には発行されていた。現地時間日曜夜にメールが発出されたことになるが、ネット上の情報にあたる限りは土日や祝日は発行業務が行われない前提で考えた方が良さそうだ。

なお申請サイトでの詳細な手順については「タジク e-VISA」で検索すれば非常にわかりやすいサイトが複数ヒットする。

ちなみにウズベキスタンも以前は入国にビザが必要だったが、2018年に30日間までの滞在についてビザが免除された。同時にソ連時代に建設されたタシュケント地下鉄の構内の撮影が突如解禁されたことで話題になったことも記憶に新しい。


ホテル(滞在登録)

ウズベキスタンでは、出国の際一泊ごとにどこに泊まっていたかを証明する「滞在登録」が必要である。
ホテルであればフロントでパスポートを預け泊数分の滞在証明を書いてもらい、また夜行列車で夜を明かした場合にはそのチケットが必要になる(列車に乗ると真っ先にチケットが回収され肝が冷えるが、降りるときに返してもらえる)。これがないと出国ができず、最悪入国後何をしていたかわからないアヤシイ外国人として拘束されても文句は言えないので、忘れずに書いてもらおう。
英語が通じるスタッフがいれば「れじすとれーしょん、ぷりーず」で通じる。ロシア語では「レギストラーツィア」である。真っ当なホテルなら言わずとも用意してくれるようだが、念のため。

低予算を旨とする我々の旅行では当初Airbnbを利用する予定だったが、滞在証明の発行に不安が生じるため宿を取ることにした。利用したのはサマルカンド中心部にある「As-Salam Samarkand Hostel」である。

https://www.expedia.co.jp/Samarkand-Hotels-As-Salam-Samarkand-Hostel.h38209196.Hotel-Information

この宿は良かった。もう一度サマルカンドに行くとしても躊躇なくこの宿を選ぶだろう。サマルカンドの中心レギスタン広場の目と鼻の先にあり、設備も充実している。スタッフは24時間対応で英語も堪能、したがって夜行列車で深夜に着いたり白タクで明け方に着いたりしてもチェックインに心配はなかった。

なおホステルとしての設備は十二分だが、若干の不潔感は覚悟してほしい。タオルやリネン類にはシミ1つなかったが、キッチンに小さなゴキブリが多数見られた。これはこのホステルに固有の問題ではない。この程度の不潔は彼の国を旅する以上承知しなければならないことであり、普段ゴキブリはおろかちょっと大きめのクモを見ただけで卒倒する私がなんとも思わなかったので、おそらく郷に入ればそのくらいの耐性はつく。なお帰国後その耐性は失われた。


税関申告

ウズベキスタンで滞在登録と並んで注意せねばならないのが税関申告である。2018年に要件が大幅に緩和されているが、入国時の所持金が$2,000を超える場合、並びに総額で$1,000相当以上の貴金属や高級品を持ち込む場合には引き続き提出が必要になる。
入国時に同じものを2枚提出し、うち1枚を必ず手元に返してもらう。これが出国時に必要になり、申告の金額より所持金が増えている場合、また申告書を失くした場合には超過分が没収される。特にキャッシングなどで入国後に所持金が増えていると、就労ビザなく商売をしたと見做されかねないので気をつけたい。

ところで勘のいい方はお気づきだろうが、この基準を厳密に守ることは難しい。$1,000とはだいたい10万円であるが、こんな金額たとえ手ぶらで入国したとしてもポケットに入っているiPhoneで一発アウトだ。要は行商目的なら申告しろということなのだろうが、あまり現実的な数字ではない。
しかしいくら当局がアホであっても、そう定まっている以上難癖をつけられて没収されてはたまらない。一応申告するつもりでいておこう。

私も紙を一枚書くだけだと思い素直に記入しようとしたのだが、近くにいた空港職員に「現金を2,000ドル以上持っていないなら必要ない」と言われてしまった。持っているディジタルキャメラがベリーエクスペンシブであることを拙い英語で伝えたが、それでも必要ないとのこと。
書こうとしただけで変な顔をされたあたり、どうやら誰も税関申告書など書いてはいないようである。法令が遵守されていないことに不信感を持てばいいのか現場の柔軟な運用に感心すればいいのかわからないが、とにかく20万の現ナマを持っていない限り、税関申告は"事実上"必要ないらしかった。

ただし繰り返しになるが、法令上はあくまで申告すべきことになっている。いざという時に「空港職員に必要ないと言われたんだ」と書きかけの申告書を突きつけて主張するためにも、一応記入した上で必要かどうか聞いてみることをお勧めする。


両替

なんと海外に行くと日本円は使えない。

ウズベキスタンでの両替事情について、『地球の歩き方 中央アジア』には「市内の銀行で日本円から現地通貨スムに通常のレートで両替できる」とある。また、空港に新しく設置された両替機で円スム両替が、またATMでクレジットカードでのキャッシングもできるようになったとの情報もネットで散見された。私はこれにすっかり安心しきり、いつもの財布にいつも通り数枚の万札を突っ込んで彼の地に乗り込んだ。

しかし現地での両替はできなかった。
空港の両替機は見当たらず、これは私の探し方が十分でないとの指摘を免れないが、空港・街中のすべてのATMで手持ちのクレジットカード全てが拒否された。ウズベクで最も通用するというVISAカードも、その次に使えるというmaster cardもダメだった。市内の銀行も複数回ったが、営業していないか日本円は取り扱っていないというものであった。
よって私は中央アジアの地に降り立って瞬く間に無一文の旅人となったのである。旅先で現地語が喋れず、地図が読めず(これは単に私が方向音痴であることによる)、金すら持たない人間を待つのは死のみである。幸い同行者の1人が十分すぎる量のドルを持ってきていたので、彼に金を借りて事なきを得たが、ひとり旅であればこの時点でゲームオーバーであった。今思い出しても肝が冷える。

なおもう1人の同行者君のクレジットカードは問題なくATMでスムを吐き出していたので、どうやら私の普段の行いが原因であると推察された。
とにかく本来両替やキャッシングができるはずであっても、絶対ということはない。一文無しでウズベキスタンの露頭に迷うリスクを考えたら、両替手数料など安いものである。確実に両替が効くドルを、必ず十分な量持って行ってほしい。


SIMカード

旅先でもTwitterはしたい。

現地での通信手段を確保するには、現地でSIMカードを買うのがおすすめである。あらかじめSIMロックを解除したり普段のSIMカードを無くさないように保管したりと面倒もあるが、日本の物価でWi-Fiを借りるより断然安い。

通信会社は「Ucell」や「Beeline」など複数あり、トラブルの情報も多く出発前は悩んだが、空港のカウンターで選択の余地なく購入した「Ucell」というキャリアがコストもパフォーマンスも良好であったのでこれを紹介する。

容量は5GBで1ヶ月有効、料金は確か1500円程度であった(具体的な値段を思い出し次第修正する。ごめんなさい)。一週間弱の日程で5GBもあれば存分にインターネットやSNSを楽しむことができる。
設定の際にiPhoneであればApple IDのログインが必要になり、この段階を経ないとそもそもスマホが開かないのでアドレスとパスワードを必ず暗記するなりしておこう。私は危うくスマホが使えなくなるところであった。
ちなみにカウンターのスタッフはロシア語訛りではあるが十分聞き取れる英語を話す。英会話能力に致命的な欠陥を持つ私はやや意思疎通に苦労したが、日本人の平均レベルの英語能力があれば問題ないだろう。

日本で済ませておく準備は、お使いのスマホが大手キャリアのものであればSIMロックを解除すること、そしてSIMカードを保管するケースの類を買っておくことである。
SIMロックに関しては、私のauのスマホはHPから簡単に解除できた。ショップに持っていかなければならなかったり、3,000円程度の手数料を取られる場合が多いが(大手キャリアの金の稼ぎ方には心底うんざりする)、日本でWi-Fiを借りていくことを思えば十分元を取れる額だ。
外したSIMカードは毎月高い金を払ってキャリアと契約している大変な貴重品である。裸で財布に放り込んでおくのはお勧めできない。私はam͜a͉zonで400円ほどのSIMケースを購入したが、これはケースとしての役割を果たせばなんでもいいだろう。ややかさばるがSDカードケースなんかに放り込んでおいてもいいかもしれない。ピンはカウンターで貸してもらえる。

ちなみにレンタルWi-Fiを利用するのであれば、地球の歩き方HPの「海外Wi-Fiレンタル料金比較」が便利である。なぜかタジキスタンがアジア、ウズベキスタンがヨーロッパに分類されている(ソ連時代の名残でどちらもヨーロッパになっていることはたまにあるが…)。
ただ検索していただくとわかるが一週間で5000円〜6000円する。また通信は3Gで容量は400MB/3日とロクなものではないので全くお勧めしない。現地で購入するSIMカードは当然4G LTEであり、通信も快適であった。


海外旅行保険

保険については全く詳しくない。カード付帯保険でそれなりの補償がありそうだったが、念のため「たびとも」という海外旅行保険にも加入した。
30万円までの電子機器補償をつけて6日間で4,150円。まずまずだと思う。

HIS系なのも安心と思って加入したが、もっとマシな保険があるという場合には是非教えていただきたい。


予防接種

2020年5月現在、中央アジアを訪れるに際して法的に要求される予防接種はない
ただし、当地の衛生状況を勘案して特にA型肝炎、またそれに加えてB型肝炎、狂犬病、破傷風あたりの予防摂取が推奨されている。数日間の滞在であればわざわざ受けない人も多いらしいが、私は大事をとってA型肝炎狂犬病のワクチンを打った。

多くのワクチンは複数回の摂取が必要である。
万が一の副作用に対応するためにも摂取完了から出国まで余裕を持って、可能な限り早めに摂取を始めたい。私は出国の1ヶ月前に受け始め、ギリギリで狂犬病の3回の摂取を完了した。
また、ワクチンには承認済みのものと国内未承認のものがある。未承認ワクチンは海外で実績があるものの、国内では承認が得られていないものである。よって重篤な副反応に対する公的な保証制度の対象にならないが、A型肝炎と狂犬病の未承認ワクチンはいずれも国内で多くの投与実績があり、そのような副反応のリスクは極めて低い。これに関しては病院で詳しく説明があるはずだ。私は摂取期間の関係でどちらも未承認のワクチンを打った。

ここで私がワクチンを打った2つの疾病について書く。
A型肝炎は加熱の不十分な食品を介して感染する。何も海外で生肉や生魚は食わないが、生野菜でも感染するリスクがあるので怖い。推奨度も高く、世界中に分布するウイルスでもあるので、この機会に抗体を獲得しておいて損はないだろう。
狂犬病はもっと厄介である。まず当地は野犬が普通に街中をうろついているが、全ての犬が狂犬病ウイルスを持っていると思った方が良い。さらに噛まれたりしてウイルスが体内に入ると、必ず発症するわけではないが、ひとたび発症すると致死率は100%である。
事前にワクチンを打っていても噛まれてしまった場合「曝露後摂取」が必要になるのだが、この曝露後摂取の回数を「曝露前摂取」を済ませておくことにより6回から2回に減らすことができる。現地の病院で規定通りの間隔で摂取を受けることの困難さを考えれば、リスクは少ないに越したことはないだろう。
まとめると、A型肝炎は感染リスクが高く、狂犬病は感染リスクは低いが発症した時の危険度が高い。1ヶ月(3週間+様子見の1週間)で摂取が完了することもあり、念のための予防接種としてはこの組み合わせがいい落とし所だと思う。

最後に、私が予防接種を受けた国立国際医療研究センター病院トラベルクリニックのサイトが非常に手厚いので共有しておく。「お役立ち資料集」「トラベラーズワクチン 予防接種を受けるにあたって2017」や「お役立ちリンク集」が特に有用である。

なお、この項を書くにあたっては当時の摂取記録を確認するなど内容に遺漏なきよう十分に配慮したが、基本的に全て記憶を頼りに記したものである。実際に予防接種を検討されるにあたっては必ず公的機関や病院のサイトなど確かな情報源にあたり、医師の説明をよく聞いた上で判断してほしい。


荷物

荷物というのは軽ければ軽いほど良い。

一週間もの長旅をするのは初めてだったので、油断するといくらでも膨れ上がりそうだったが、国境越えを含め移動が主体になるので大荷物は避けたい。加えて空港についてすぐさま駅へ急ぐ必要があり、見知らぬ航空会社に手荷物を預けること自体にも不安があったこと、また帰りのS7航空の料金に預け荷物が含まれているのかはっきりとわからなかったことから(結局含まれていた)、荷物はリュックひとつで行くことになった。

リュックの中身は私の場合で替えの下着、デジカメ、各種書類を入れるクリアファイル、それに『地球の歩き方』程度である。

ただし海外では防犯上の観点から全ての荷物が1つに集約されているのは好ましくない。貴重品を入れるためのサコッシュなどを用意した。これはサマルカンドの滞在中ふらりと散歩に出るときなどにも重宝した。


あとは以下の項目を書くつもりだったが、書こう書こうと思って半年放置したのでこの際公開する。早く続きを書きたいが卒論その他書くものがいろいろある。諸々片付いて気が向いたら書くかもしれない。
・カメラ
・その他(役立つアプリなど:yandex、オフライン地図、google翻訳、外務省のたびレジ、海外安全アプリ、地球の歩き方HP)

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