段取りが大事
年に数回、父は台所に立った。凝った料理を作りたいがためにキッチンに入ることが多かったけど、1番記憶に残っている料理はインスタントラーメンだ。
ラーメンの袋を開け、麺や調味料をすべて取り出すと、父はすべての調味料を丁寧に開封し、使う順番に並べていった。その行動を不思議そうに僕ら子どもが眺めていると、父が面白半分、真面目半分な喋り口調で「何でも段取りが大事。段取りさえちゃんとやれば8割、いや、9割は完了したも同然や。」と教えてくれた。
当時小学生だった僕がこの教えにピンと来なかったのは良いとして、この教えを実感できたのが実は社会人になったここ1、2年のことであるという事実は隠しておこうと思う。段取りをちゃんとしないままに実施する業務ほど怖いものはないと、社会人になって思い知ったんだ。
いつもの1人分ではなく3人分のコーヒーを淹れるときの手順の違いに少し慌てた際、父の教えが頭をよぎった。
400字エッセイ書いています。
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