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減価償却をおしえて

高校公民科の教育実践を書いています。高校生に是非、教えたいテーマの1つが減価償却です。

儲けるってどういうこと?
経営して利益を出すということを、日本の社会科教育は取り上げてこなかった。高校の公民科でも扱わない。高校で学ぶには商業科に行くしかない。

値段=材料費 ではない!
安直に商品の価格を材料費が決めていると考えてしまう。あなたは他に何が含まれていると思いますか?

輸送費
光熱費・電気・燃料・エネルギー代
人件費・給料・バイト代
いろいろ考えられます。簡単にまとめるとコスト(費用)ということになる。もっと細かく考えれば、梱包やラッピング、販売店の空調や冷蔵庫、衛生用品、清掃用品、宣伝広告費など、まだまだあります。学校で模擬店や模擬会社を運営してみるとわかります。

いろいろありますが、高額な順で考えてみましょう。商品を生産したり販売するためのコストで、金額が大きいものは何だろうか。

多くの人が毎年、新規開店しますが、長続きせず、すぐ閉店してしまう例も少なくない。経営を考えることは、ビジネスの継続を考えることから始まります。模擬店は文化祭を乗り切ればいいですが、生活がかかった商売は、中長期の視点が必要だ。

土地代、賃料、テナント料
建築費、改装費、内装費
設備費、機械代、道具代

こだわりのお店づくりに大金を費やしたが、利益が出ず、短期間で閉店になるのはとても残念です。良いものを用意すれば必ず売れると思いたいですが、必ずしもそうならない。
事業を始めるにあたって、大きな割合を占めるこれらの費用をどうするか。

2つの知恵

費用を集める
商売をしながら少しずつ利益を増やす

投資してもらえるなら、自己資金が豊富にあるなら初期費用は問題ではないかもしれない。投資や融資を利用した場合、返済が必要だ。

設備費は全額を商品の価格に入れられない。
ケーキ店を始めるために、店舗を新築し、看板を作り、大型冷蔵庫を買いました。もちろんケーキの原材料も仕入れました。これらの費用の合計を生産したケーキの数で割って、ケーキの値段を決めたら、きっとケーキの値段はとても高いはずだ。普通はそんなことはしない。
ここで気づくことができる。将来つくるケーキの個数も含めて、費用を割ればいい。これが減価償却の考え方に近い。

3年で壊れて乗れなくなる18,000円の自転車の1年あたりの価値は何円だろう。

3で割って、6,000円だ。自転車を買ってからも毎年6,000円を貯めておけば、4年目に新車が買える。設備費は初年度に大きな負担になる。設備は長期間使用できるが、やがて交換や買い替えの時期が来る。耐用年数という。
設備にかかる費用を材料費と同じようには扱わない。商品を1年に何個売れば、1年あたりの設備費を賄えるか、を考える。設備費を全額ではなく、1年あたりで考える。

高校の政治経済の授業では、国民所得についての単元で、固定資本減耗という用語が出てくる。ここでやっと、この減価償却の話ができる。もっと、やさしく、しっかり、中学高校生に商売やビジネスの話をしたい。農業や漁業もビジネスです。よのなかの多くがビジネスです。ビジネスや経営の視点を持つことは、現代人に欠かせない。何とか機会をつくりたいと思います。

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