見出し画像

オンライン学習と個人情報

教員です。教育実践と現場で考えたことを教員向けに発信しています。論点整理に役立てられるように書きたい。

ネット環境や端末は、家庭の経済状況により格差がある。高校生は顕著だ。小中学校では、公立でも学校主導で端末や機器の貸与が進んでいるが、高校は対応が遅れている。しかし、オンライン学習の推進に舵を切る流れがあるようだ。先進的な実践事例が広く共有され、各校で模索が始まっている。共通点は何らかの民間のサービスを利用して行うということだ。

教育現場では、個人情報の取り扱いに注意してきた。オンライン学習やオンライン授業に問題点はないのだろうか。

通信なのか
持ち出しなのか
配布なのか

TeamsやZoomを使って行う双方向のオンライン授業について検討します。教員が学校から自宅にいる生徒と授業をする場合を考える。

教員が送信する音声や動画は、通信会社とツールを提供しているマイクロソフトやZoom社を経由する。本来なら授業は教室内でのやりとりだが、外部の企業を介して行うのが、オンライン授業だ。
インターネットに接続するために利用する通信回線を提供する企業は、通信内容を見たり監視したりはしていないから問題はない。電話会社と同じように信頼して利用するしかない。ただし、接続先はインターネットであり、安全性は限定的だ。特殊な技術を使わない限り、傍受や盗聴される可能性はある。
ツールを提供している企業も、授業内容を覗き見ることができるだろう。公開や暴露、閲覧しない守秘義務があると思いたい。はたしてどうなんだろうか。

個人情報は校外に持ち出してはいけない

授業中に個人情報を扱うだろうか。
生徒の氏名は個人情報だ。先生が生徒の名前を言うことは、個人情報の発信だ。顔写真も個人情報だ。氏名と顔画像が結びつけば、悪用できる。番号で読んだり、マスクを着用させるべきだろうか。

視聴するのは生徒だけではない

家庭で授業が受けられるということは、保護者や家族も視聴できる。録画もできる。いつでも授業参観できる。もちろん、悪用もできる。クラスメイトの写真を動画から入手できる。今までは無断で撮影するしか方法がなかったが、オンライン授業がはじまると、クラスメイトの画像は簡単に手に入る。
今までのオンラインではない授業は、記録が残らなかったが、オンライン授業は常に記録できる。授業中の失敗も繰り返し見ることができる。先生の失言も、生徒が発言した不正解や珍回答も何度も見られる。家族でリビングの大画面で見られる。YouTubeに投稿することもできる。いじめの材料にもできる。

授業は複製不可のコンテンツである。予備校のサテライト授業はこれまで利用範囲を限定して販売されてきた。複製録画は海賊版になりうる。個人的に復習するための録画が基本だが、デジタルコンテンツと考えれば、悪用対策や保護が必要だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?