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Day 13. 環境問題とパンデミック

今日は環境危険物質と人間の健康について勉強した。
人間の病気について見てみると、当然といえば当然だけど、それが自然環境と大いに結びついていることが明らかになってくる。人間と病原菌・ウイルスの戦い、と二項対立的に語られることが多いけど、そこにはいつも自然環境が前提としてあることを忘れちゃいけない。

病原菌もウイルスも、自然界にずっといる

人間は今繁栄を極めていて周りがよく見えていないけど、他の生物や無生物だって虎視淡々と繁栄ポジションを狙っていることは忘れちゃいけない。感染症がもとで亡くなる人は、世界で年間830万人ほどいるとWHOが推計している。そのうち310万人はバクテリアやウイルスによる呼吸系感染の病気だという。これにはインフルエザも含まれている。

厚生労働省によると、日本国内の例年のインフルエンザの感染者数は約1000万人と推定されている。間接的な影響も含めて推計すると、インフルエンザによる年間死亡者数は世界で約25~50万人、日本で約1万人と推計されている。そんなにたくさんの人が亡くなっているというのに、ふだん私たちは気にも留めていない。可視化っていうのは、恐怖を煽るという側面も持っている。

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(出典: "Living in the Environment")

たばこが危険、なんてみんな知ってる

WHOと米国外科医総監の2014年の報告書によると、毎年、肺がんや気管支炎などの25の病気で約600万人が早期に亡くなっていて、その原因はたばこだろうと推定されている。 これは毎日平均16,400人以上が亡くなっている計算になる。凄まじい破壊力である。

だけど、人間はリスク評価がへたっぴな生き物だ。たばこの有害性は見て見ぬ振りをするくせに、ずっとリスクの低いセンセーショナルな事故やパンデミックは過剰なまでに反応したりする。リスク評価は客観的なデータよりもむしろ、人間の生なましい主観的な感情だったりする。恐れがリスクを極端に高める一方で、快楽重視の性格がリスク評価を不当に低くする。まあ、そういう生き物なのだ。

野生動物との喜ばしくない接触

新型のウイルスが人体に影響を及ぼすまでには、そのウイルスを保有している野生動物との直接・間接の接触というステップを踏む。野生動物→人間というパターンもあれば、野生動物→家畜→人間というパターンもある。

かつて野生動物とはそうそう出会うことがなかったり、限られた地域での関わり合いしかなかったけれど、森林伐採や開発によって野生動物が住む場所が無くなるにつれ、どんどん頻度と密度を増してきている。じっさい、今回のウイルスはブッシュミートと呼ばれる野生動物の肉からの感染が疑われている。

気候変動とマラリアと言った感染症やウイルスの蔓延との関連性も指摘されている。気温の上昇に伴って、病気を蔓延させる蚊などの昆虫が熱帯地域から温帯地域へと範囲を広げていく可能性がある。というか、このままだとそうなるだろう。その範囲というのに日本もちゃんと入っている。

マラリアの蔓延と熱帯林の伐採と開発は深いつながりがある。ある研究では、ブラジルのアマゾンの森林の一部で5%の樹木被覆が失われると、その地域でのマラリアが50%増加することがわかった。森林伐採によって日当たりの良い水溜りができると、マラリアを媒介する蚊にとって理想的な繁殖場所になるのかもしれない。木を切ることと感染症が関係しているなんて、生態系は複雑である。

まだまだ序章かもしれない

今のところ、森林破壊も気候変動もどんどこ順調に進みそうだ。この先、政治や福祉において感染症の拡大も織り込んで考えていかなきゃいけなくなるだろう。今回のパンデミックは、未曾有の大事故というより自然のサイクルのひとつとも言える一方で、まだまだ序章にすぎないのかもしれない。

環境のテキストでここまで病気の話が出てくると思わなかったから、面食らった。だけどよく考えてみればそうだ。環境問題は公害問題に端を発している。人間の健康に生きるためにも、自然環境が健全であることが大事ってことだ。

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