見出し画像

Day 6. 人間だって生物だ

私たちは人間なので、とかく人間中心で物事を考える。
それが合理的で賢いとつい思ってしまうのだ。人間は身の回りの生物を自分たちの役に立つようにこき使ったり殺したりしていい。これは旧約聖書に端を欲する人間中心主義的な考えで、キリスト教が広まるのと一緒にこの価値観が普遍になっていった。
宗教は関係ないとしても、人間が最強の生き物だと思いがちな節はある。まあ、わかりやすい天敵とかいないし、武器と知恵でどんな動植物もやっつけられるし、自然をコントロールしている感じがするし。
ただ、しょせん、人間だって生物だ。脊椎動物のヒト科に属する動物だ。あくまで自然の一部なのである。
ってことを念頭に置くと、適切な地球の住み方がわかってくる気がする。

Chapter9: 生物多様性の維持:種と生態系の保存

今日も"Living in the Environment"を読み進めていく。
さて、第九章は生物多様性のお話。

9.1 What role do humans play in the loss of species and ecosystem services?
9.2 Why should we try to sustain species and the ecosystem services they provide?
9.3 How do humans accelerate species extinction and degradation of ecosystem services?
9.4 How can we sustain wild species and the ecosystem services they provide?

「なんで生物多様性や生態系を守らないといけないの?」
「人間はどのように種の絶滅を招いているの?どうしたら守れるの?」
ということの答えは、この章を読み解けばわかるということになっている。

ざっくりいうと、地球の生命はすごく微妙なバランスで共存しているので、どこかでバランスを崩すとあっけなく壊れてしまうから、勝手にいじくったら大変なことになるよ、ということが書いてある。
他の生物を殺すのは倫理的に忌避すべきだという側面もあるけど、合理的に考えても、農薬や乱獲の悪影響を想起すると、人間の短期的な目線での生物の管理はおよそ良い結果をもたらしえないことは事実として明らかだ。

扉絵のところで、生態学者のアルド・レオポルドのことばが紹介されている。

The last word in ignorance is the person who says of an animal or plant: “What good is it?” . . . If the land mechanism as a whole is good, then every part of it is good, whether we understand it or not.

「これが何の役に立つの?」
こう動物や植物について言う人は、自分が無知であると言っているようなものだ。
土地の仕組みが全体として良いものであるならば、それを理解しているかどうかにかかわらず、その全ての部分が良いものである。

自然は偉大だから、人知の及ぶ範囲でない。我々はただそれに身を任せるのみである。という考え方は素敵だなって思うけど、現代を生きる私たちにリアリティはない。だけど、科学的なデータをもって「自然のシステムは人間がちょちょいと弄れるほど簡単なもんじゃない」と言われると、そうかーとうなずける。

アメリカ合衆国におけるクズ

侵略的外来種の項目で出てきて、「なんだろう」と思った"Kudzu Vine"というワード。調べてみると、「葛」のことだという。これが外来種としてはびこっているとはどういうことだろう?
葛はマメ科クズ属のツル性の多年草で、日本で古くから生育している種である。あの葛餅とか葛根湯とかの葛だ。この植物は、茎も葉も根っこもほとんど全て食べられるので食用や飼料にも向いているし、その花は美しく『万葉集』にも歌われている。
この葛が、1930年代にアメリカ東南部に導入された。土壌流出を防ぐための目的だった。「超グッドアイデアじゃん」。当時の担当者はそう思っていただろう。
葛は期待通りぐんぐん伸びて、伸びて伸びて、ついに伸びすぎてしまった。焼いても農薬をまいても繁殖をやめない。生命力が半端なかったのである。
日本だと四季があったり天敵がいたりして成長の阻害要因があるけれど、アメリカ東南部は葛にとっては天国だったのだ。ついに葛はアメリカで"Japanese green monster"と呼ばれるに至り、ウィキペディアでの表示名も実に雑な感じである。

画像1

外来種がなぜ問題視されるかと言うと、たった一度でも悪影響をもたらす種が現地の生態系を再形成してしまうと、それを取り除くことはほとんど不可能だからだ。外来種は爆発的に他の生物を駆逐し、その土地の生物多様性を奪ってしまう。経済的にも影響は大きい。アメリカは外来種対策で毎年1600億ドルを費やしているという。決して動機は不純でないのに、生態系を変えてしまった代償はとても大きい。

"HIPPCO"の原則

種の絶滅と生態系を脅かす主な6つの原因は、"HIPPCO"と言われている。
それぞれの原因の頭文字を取った略語だ:

H: Habitat destruction, degradation, and fragmentation(生息地の破壊・劣化・分断)
I: Invasive (nonnative) species(外来種)
P: Population growth and increasing use of resources(人口増加と資源使用の増加)
P: Pollution(汚染)
C: Climate change(気候変動)
O: Overexploitation (過剰搾取)

これ、めっちゃテストに出そうだな。覚えておこう。

ところで、密猟やブッシュミートの説明として載っている動物の写真がかなりダイレクトでびっくりした。ツノをもがれて肉があらわになっているサイ、猿の生首。ここでの掲載は控えておくけど、うーん、なかなかインパクトが大きい。

明日は何について勉強できるかな。



サポートありがとうございます。お金を使ったり体を張ったりする取材の費用に使わせてもらいます☺