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スルメなミュージシャン、スルメなアルバム

先日、ドリカムの中村正人さんがラジオ番組で藤井風くんを取り上げ、「気に入ってすごく聴いている。Princeみたい。」とおっしゃってた。
中村さんと言えば、以前インタビューで一番好きなアーティストとしてPrinceを挙げていて、ものすごく嬉しくなったんだけど、そんな中村さんが私と同じように風くんの音楽にプリンスとの接点を感じているんだってわかってますます嬉しい。

以前のnoteでも書いたが、人として醸し出す雰囲気はとても異なる二人だけど、ミュージシャンとしての深いところではすごく似ているところがあるように感じてしまう。

ピアノを弾いている風くんは、見ていてとても安心する。簡単には真似できないアレンジをしているのに、大変そうに感じさせない。イメージしている音を表現する時、ピアノはもう風くんの一部になっていて、まるで話をしているように鍵盤から音が紡がれている。だから演奏する姿をいつまでも見ていられる。

"Shape of You"のこのアレンジが本当に好き。左手でベースのリズムラインを裏でとりながら右手で刻んで作り出すグルーブ、風くんが考案したコード進行ーーー 正直言って、ご本家Ed Sheeranのバージョンより複雑なことしてると思うし、聞いていてとてもとても心地いい。

Taylor Swiftの超ヒット曲”Shake It Off" 。胡座かいててもこんな素敵なJazzバージョンで弾けちゃうんだなぁ。歌声もいいなぁ。この曲をこんな風に切ない感じで聴けるなんて。

Earth Wind and Fire "September"も秀逸。この曲も左手のベースラインが最高。ついでに佇まいも見惚れるぞおい。

「大好きな"Rain"を、風くんのカバーバージョンで聴けるとは!」とこれを発見した時には感涙に咽びました。こちらはピアノのアレンジももちろんだけど、歌声も、醸し出す雰囲気も、映像の色合いも、全部で一つの完成形になってる気がする。ほぼ手元を見ることもなく、もちろん楽譜もなく、ここまでのものを見せてくれるってほんと何なん(感謝しかありません)。

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初めて聴いた時から何度リピートしているか分からないくらい聴きまくってる、風くんのファーストアルバム『Help Ever Hurt Never』。いろんなテイストの楽曲で構成されているのに、アルバムとして一つの大きな作品として見事に形作られているのが本当に心地いい。どれも欠けてはいけない感じ。それぞれの歌詞に込められている想いや真理が心の奥の方に届いてきて、私たちが忘れてはいけないものをさりげなく思い出させてくれる。

サブスクリプションが当たり前になって、シングル曲でみんなが好きにプレイリストを作って楽しむことが当たり前になった昨今だけど、『Help Ever Hurt Never』はアルバムとして最初から最後まで通して聴くのが最善の楽しみ方だといつも思っちゃう。

ちなみに昨日、ご本人がツイートして教えてくれた、アルバム収録曲の制作秘話がこれまたカッコよすぎた。

聴き取れました?すごいですよね。何とも浮遊してる感じを醸し出してるのって、こういうのが隠しコマンドのように忍ばせていったからなのかしらね。

調べたらこういう音を微分音と言うんだそうだ(初めて知ったよ)。弦楽器とか特別に調律したピアノとかじゃないと出せない音。しかも半音のちょうど真ん中の音(四分音)を声でピタリと出せるのも、絶対音感があるからこそ成せる技なんだろうな。

神様から与えられた音楽の原石を、愛情を持って真摯に勤勉に磨き続けてきた人なんだろうなと思う。頭の中にはきっといつもいろんな音楽が流れている人。天才という言葉だけでは片付けてはいけない気がする。人として、音楽家として、これからどんな風にevolvingしていくのかな。それを遠くからでも見守ることができるのはファン冥利につきますね。


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