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エイズ検査を受けて、何も手につかなくなった話

先週の金曜日にエイズ検査の為の採血をした。結果を言うと陰性でした。結果が出るまでに色々あったので書いてみる。

何故エイズ検査をしたのか

というのもかれこれ遡ること2月の終わり。スペインは保険に入っていれば無料で健康診断ができると言う事で、婦人科系を受診することに。子宮に小さいポリープが見つかったので手術が必要かもと言うのと、念のため色々血液検査をしましょうと言われた中にHIVの検査が入っていた。ちなみにスペインではHIVではなくSIDAと呼ばれます。

そしてそこから緊急事態宣言に入ってしまった為、病院の予約は全てキャンセルになり、私も気にせずにほっておいた。

先週の金曜日に病院の前を通りかかり、あ、血液検査あったなと思い出し、予約が必要なかったのでそのまま採血をする事に。

突然湧き出てきた恐怖心

金曜日は友人とランチをし、血いっぱい取られたよー水分補給!と言いながらビールを飲み、土曜日は一歩も家から出ずにネットフリックスでBreaking Badをみまくり、日曜日は朝から家の模様替えだの木花の手入れだのをして忙しくしていた。夕ご飯後に、今週カタルーニャ語のテストがあるので1人勉強机に向かっている時に、ふと、エイズ陽性だったらどうしよう。。という感覚に苛まれ、検索しだしたのが最後、抜け出せなくなった。

徐々に確信に変わる

私は男性経験なんて多くないのでもし陽性だったとしたら、あれだとピンポイントで言える。今の彼と会う前に会っていた、ペルー人のバーテン。ネットのサイトを読み進めていくと、初期症状としてかかってから2ー4週間後に発疹やインフルエンザの様な症状が出る人が多く、その後10年ほどは無症状の人が多いとのこと。そしてクラミジアなどにかかりやすくなると書いてあった。

そういえばペルー人と会っていた時くらいから正体不明の蕁麻疹に悩まされ、3ヶ月くらい毎日抗ヒスタミン剤を飲んでいた。病院にいくと蕁麻疹はほとんど原因がわからないんだよねと言われ、4ヶ月を過ぎる頃に落ち着いたので気にしていなかった。さらにはその夏に初めてクラミジアになった。病院で海水浴するとかかる人か多いんだよねと言われ、これまたあまり気にしてなかったが、もう一度考え直してみると、タイミング的にはバッチリで、私の中で確信に変わっていった。

止まらない検索

エイズについて調べるのが止まらない。早期発見はやはりその後の治療に関わってくるらしく、きちんと治療をすれば、健常者との寿命は6年ほどしか変わらないと言う報告もあるらしい。

子供への感染率は0.5%ほどらしく、妊娠も可能なそうだ。帝王切開、母乳をあげないなどで感染率を抑えられるらしい。

そして感染する方法で一番多いのはやはり性行為とのこと。通常の性行為でゴムをつけなかった場合感染率は0.1%ー1%らしい。

ここのNGOのホームページがとてもわかりやすかったので紹介したい。

NPO法人ぷれいす東京
https://jammin.co.jp/charity_list/181126-placetokyo/

昔の様に、助からない病ではもう無くなっていると、わかりやすく説明されている。そしてとりあえず早期発見が一番大事とも書いてあった。

もう何も手につかない

原因不明の蕁麻疹も全て初期症状となれば理由がつく。1人抱えきれなくなり、彼にエイズかもしれない。と打ち明けると「は?なんで?」と言われたので、蕁麻疹のことやらなんやらを説明すると、『まぁそうだったとしても、明日ガンが見つかるかもしれないし、車に轢かれるかもしれないし、それと一緒だよ。とりあえず結果を待ちなよ』と諭されるも頭の中はその事でいっぱいになり、夜も全く眠れなかった。

朝になり、また検索をはじめ、上記のぷれいす東京のホームページに行き着いて、きちんと内容を読んだらちょっと落ち着いて前向きに考えられる様になった。もしエイズでも焦ることはない。それよりもこれからを考えなきゃと。親には言わない。知っているのは彼と親友の2人だけにしようと決め、子供が欲しかったら体外受精でミルクで育てる。その時親たちにはなんて言おうかと色々考え、こんな事に巻き込んでしまってごめん。。と寝ている彼に謝る。

結果は1週間くらいで出るわと言われたが、この状態で金曜日まで待つのは無理。ネットならもっと早いんじゃないかと思い病院にオンラインで結果って見れないの?と電話をかけると、オンラインはないけどあなたの結果もう出てるから来れば出せますよ。と言われたので覚悟を決めて家から歩いて十分の病院に向かう。

行きの道で、ベビーカーを見て、私はもう。。と目頭が暑くないり、帰りの風景はどんなんだろう、あと15分後にどういう風に私は歩いているんだろうと思いを巡らす。今日が私の新しい人生の分岐点かもしれない。月曜日だけど何日だ?と携帯をみると待ち受けにしている甥っ子の写真が出てきて、こんな叔母でごめんと喉の奥が暑くなる。

病院につき、受付の列に並ぶ。並んでいるところの窓越しに紫色のジャカランダの花が見えた。オーストラリアでは春を告げる花。確か南アフリカが原産だったよな。綺麗だな、結果もらった後もあの紫色は同じ様に見えるのだろうか?とポエマーの様な事を考えていると自分の番になり、結果が印刷されるのをまつ。

結果をもらい、まだあったかい紙を持って外に出て開けてみる。手は震えるし、動悸がやばい。解らない!全部スペイン語!ポシティブ(陽性)が3個とネガティヴ(陰性)が4個あるけど、いいんだか悪いんだか解らない。。

てかHIVと思って探すも見つからずネットで調べるとVIHとの事、なんでやねん!と思いながらもう一度みると、

あったVIH!

ネガティヴ!

冒頭ですでに言っていた事ですが、、彼に早速連絡して報告。

彼は『うん、だと思ってた。』との事。この話を今こうやって落ち着いて書くと彼の感想の方が普通の様に聞こえるが、色々なサイトを読んでいくと、ほとんどの女性は自分が感染している事に気づかず、まさか自分がと言う人が多かった。妊娠中に発覚すると言う人も結構いた。

つまりは

私はただ単にラッキーだっただけだ。こういう事を書くと不謹慎に思う人もいるかもしれないが、この勝手な思い込みのお陰で色々学ぶことができた。

NPO法人ぷれいす東京のウェブページはぜひ皆さんに読んでほしい。   まだあるエイズへの偏見など、今回のことがなかったら知ることのなかったことばかりだ。

ただ、本当にいつ誰がなってもおかしくないこの病気。自分が思っている様に近くにあった。何より大事なのは初期に発見される事と言う。

ただ怖がるだけではなく、情報があれば恐るるに足りない事もある。時代はどんどん変わってるのに、未だにフレッドリーマーキュリーの時の情報で止まっている人もいる。私もその1人だった。

私のこの、今になってはバカみたいな話で、1人でも映画とは違う事実を知ってもらえればと思う。





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