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団が爆発した話

このショートショートはグランブルーファンタジーの二次創作です。

 ポート・ブリーズ。中堅の依頼請負人が集う酒場にて。

 「あの日……3月の29日やったかな。ここに来るお客さん候補は大抵活気があるんやけど、あのお客さんは珍しくしょぼくれてはりましたわ」
 俺は今、ひどく体格の良い商人にインタビューをしている。カルテイラにも似た訛りだが、悪いやつではなさそうだ。交渉の結果、取材料はドリンク一杯と200ルピに落ち着いた。

 「彼の……lirukの身に起こった順に話してええですな? まず、彼はこの島ポート・ブリーズでティアマトの討伐任務を受け、狩りに行ったんやね」
 「ヨダルラーハと協力してティアマトを3体ほど撃破し、次の島行こという時に、それは起こったんやて」
 商人は盛大にゲップをし、少し謝ってから続けた。

 ◆

 グランサイファーが燃えている。
 いや、正確には、断続的に爆発を続けている。爆発は七色に輝いており、魔法のことを入門レベルでしか知らない私でもかなりヤバいことが伺える。
 事態をすぐに飲み込むことはできなかったが、少なくとも私一人でどうにか出来る案件ではないということだけは分かった。
 喉はカラカラと渇き、口はパクパクと何かを紡ごうとして声を出せない。目眩も酷い。
 他の団員はどこに行った? F団長は? G副団長は? 無事なのか?
 焼け落ちるグランサイファーから物資が運び出される。その中にはバハムートの角や銀天の輝きなどの貴重な素材も含まれている。
 魔法使いや錬金術師、果ては奥ゆかしい島民たちまでもが消火活動にあたっているが、火の勢いがあまりにも強すぎる。
 状況が脳の理解の閾値を超え、私はそのまま意識を失った。

 ◆

 「まあ、人的被害はあらへんかった、ってところだけは幸運やで」
 「こうなった原因? まあボクは掴んどるけど……」
 俺は無言でルピトークンを机に置く。
 「気前の良い人は好きでっせ。払った分の責任は持ちますわ」
 商人はそのトークンで二人分のエールを注文した。
 「要するに当時の団長さんが騎空艇のコアをメンテしとる時に、コア内に魔物の巣ができとったんやわ。おっかないですわー」
 「魔物自体は問題なく倒せたんやけど、問題は団長が強すぎたことなんですわ。つまり戦闘の余波でコアの魔力がオーバーフローしてまって、サブコアもお釈迦」
 「その結果があの花火っちゅーことですな。どや、役に立ちはりましたか?」
 俺は礼を言い、エールを堪能し、店を後にした。

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