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【LIPS labo】現役の化粧品開発者・みついだいすけ氏にインタビュー!意外と知らない日焼け止め事情【2024年2月号】

こんにちは、LIPS編集部です。LIPSユーザーの美容事情や、ビューティトレンドをピックアップする『LIPS labo』。2月号は、今年もやはり気になる「日焼け止め」についてLIPSユーザーにアンケートを実施。そして、現役の化粧品開発者であるみついだいすけ氏への取材をふまえ、正しい日焼け止めの選び方の紹介や、UV乳液・UV下地などの多機能化が進む日焼け止め市場について考察しています。(※LIPSユーザーを対象にアンケート集計期間:2024年1月20日(土)~1月27日(土) n=2,433)


1、意識調査からひもとく日焼け止め事情

まずはLIPSユーザーに日焼け止めの重要性についての認識や、普段どのように使用しているのかなどアンケート調査を実施。アンケート結果から、UVケア・日焼け止めに関する消費者インサイトをみていきましょう。

UVケアの重要性の認知・使用頻度はともに上々

UVケアの重要性についての質問に対して「非常に重要だと思う」という回答が80%以上を占めていたことからも、UVケアの重要性が消費者に十分浸透にしていることがわかります。

また年代ごとにみてみると、どの世代においてもUVケアを非常に重視する人の割合がもっとも高かったことが判明。SNSの普及などもあり、紫外線がもたらす肌老化への影響などの理解が進んでいることがうかがえます。

日焼け止めについては、「季節問わず使用している」というユーザーは77%という結果に。

若年層の10代・20代よりも、30代以上が季節を問わず日焼け止めを使用している割合が多いようです。

室内でも日焼け止め・UV下地を「必ず使用している」「たまに使用している」という回答を合わせると、全体の70%以上の人が、室内でもUVケアを積極的に実施していることがわかりました。

これらの結果をみると、UVケアに対する意識は非常に高く、日焼け止めの使用についても積極的な人が多いことがうかがえます。

意識は高い一方で、約40%の人が塗り直しをしていない。

日焼け止め・UVケアの重要性、使用頻度はいずれもポジティブな結果であった一方で、塗り直しについては約40%ものユーザーが「塗り直しはしない」と回答。

理由は単純で、メイクの上から日焼け止めを塗り直すのは難しいというものでした。また、昨年実施したユーザーアンケート調査と同様の結果であることから、この1年で塗り直しをする人は増えていないようです。

日焼け止めを購入する際、SPF・PAの値に注目しているかという質問に対し、「非常に注目している」「やや注目している」の回答を合わせると約90%の人がSPF・PAの値に注目し、日焼け止めを購入しているという結果に。

また、LIPSで話題を集めている"おすすめの日焼け止め"についての投稿では、いずれも高SPF・高PAのものばかり紹介されています。

これらの現状をふまえ、メイクの上から日焼け止めを塗り直すことにハードルを感じているユーザーが一定数いることからも、塗り直しをしなくても問題なさそうな高いSPF・PAの日焼け止めを積極的に選んでいることが推察されます。

そして次のパートでは、ユーザーから実際に挙がってきた日焼け止めの悩みや疑問の中で、特に多くの声が集まった4点について、現役の化粧品開発者であるみついだいすけ氏に答えてもらいました。

2、日焼け止めの"4大悩み"について、専門家が解説

今回、ユーザーのお悩みや疑問に答えてくれるのは、現役の化粧品開発者であるみついだいすけ氏(以下みつい氏)。美容プラットフォーム「LIPS」を拠点に、日本のメンズ美容を、LIPSと一緒に盛り上げるメンズ美容コミュニティ『LIPS HOMME(リップス オム)』のメンバーとしても活躍中です。

その他、X、Instagram、YouTubeなどで、日焼け止めをはじめとした化粧品についての情報を開発者の立場で発信しています。

お悩み①日焼け止めの正しい選び方がわからない!

今回のアンケート結果より、日焼け止めをどう選べばよいかわからないという声が非常に多く集まりました。SPF・PAを重視する一方で、どんな日焼け止めを選ぶべきかという点においては永遠のテーマのようです。

これらの声をみつい氏にぶつけたところ、そもそも日焼け止めにオイルベース・ウォーターベースの2種類が存在していることや、用途や使用環境によってベース処方を選択するべき、というのがまだまだ消費者に理解されていないのではないか、という見解を示しています。

☑️UV効果を重視するなら、どちらを選ぶべき?

みつい氏:現在ドラッグストアで販売されている日焼け止めの大半が「ジェルタイプ」なんです。みずみずしく心地よい使用感で人気のあるタイプですが、汗水に弱いという欠点があります。

一方でオイルベースの日焼け止めは、水や汗で落ちにくいという特徴があります。日焼けをしたくない人は、オイルベースの日焼け止めを選ぶのがおすすめです。ただし、オイルベースであってもこすれに対してはそこまで強くないので、こすれを感じた時点ですぐに塗り直すのがよいでしょう。

☑️日焼け止めで重視すべき項目は?

みつい氏:「SPF」「PA」を重視する人が多いと思いますが、それよりも重視してほしいのが、水や汗への強さを表す「UV耐水性」の指標です。

UV耐水性は「UV耐水性★」「UV耐水性★★」の2段階で示され、より優れた耐水性を示すのが「UV耐水性★★」になります。

夏のフェスや、海やプールで日焼け止めを使う際は、「スーパーウォータープルーフ」「UV耐水性★などと謳われている日焼け止めを選んでみてください。

☑️日焼け止めの他にできる対策方法は?

みつい氏:日焼け止め対策の+αの方法として、メイクキープスプレーの使用を推奨しています。メイクキープスプレーには化粧膜を皮膜成分で固着させる働きがあり、日焼け止めの膜を固着させる働きもあるんです。

また、日傘は物理的に紫外線を遮断できるのでおすすめです。白の日傘は遮光率が下がってしまうので、外側が白色・内側が黒色の日傘を選んでみてください。ちなみに外側がアルミ加工された素材でできているものは、より遮光率に期待が持てますよ。

多くの消費者はSPF・PAの数値を重視して日焼け止めを選ぶ傾向にあり、新しい指標である「耐水性」を正しく理解している人は少数派であることが考えられます。今後は「耐水性」について、しっかり啓蒙していくことが重要ではないでしょうか

また、メイクキープスプレーを重ねることで日焼け止めが落ちづらくなるというみつい氏の投稿は、ユーザーの反響を集めていることからも、日焼け止めとメイクキープスプレーを組み合わせて使うテクニックは今後広がりをみせると予想しています。

お悩み②日焼け止めを塗ると肌が荒れてしまう!

アンケート結果より、日焼け止めに求める機能のひとつとして「肌へのやさしさ」が重視されている一方で、日焼け止めを塗ると肌が荒れてしまうという消費者は少なくないようです。

日焼け止めを塗るとどうしても肌が荒れたり、揺らいでしまうという人は、紫外線防御成分に注目するのが解決策として考えられるとみつい氏は言います。

☑️日焼け止めで肌荒れが気になるときは?

みつい氏:日焼け止めで肌が荒れてしまうのは、成分と肌との相性の問題です。紫外線吸収剤・紫外線散乱剤どちらかが肌荒れの原因になっている可能性が高いので、そのどちらが合っていないのかを見極める必要があります。

☑️肌への負担を抑えてUVケアをする方法は?

みつい氏:SPFが高いほど配合されている吸収剤の濃度が高いことから、SPFが高い日焼け止めほど肌への負担が大きくなります。また、落としづらく肌に残ることで肌荒れの原因になってしまうことも。

吸収剤・散乱剤のどちらが合わないかがわかったら、SPF30程度の日焼け止めを使用してみてください。

☑️落とし切れていないことで、肌荒れにつながっている可能性も。

しっかり落とし切れず日焼け止めが残り続けた結果、肌荒れしている人も多いのではないかと推察するみつい氏。しっかりオフして肌荒れを防ぐことで、選べる日焼け止めの幅が広がるかもしれません。

みつい氏:日焼け止めをオフする際は、油性のクレンジングかベビーオイルを推奨しています。そして、油性のクレンジングを惜しみなくたっぷりと使用することが重要です。日焼け止めの塗布量よりも、クレンジングの使用量が上回ることでしっかりとオフすることができます。

また、オフしたあとに日焼け止めが肌に残っていないか気になった際は、下記のポイントをチェックしてみてください。

・洗い上がりなのに膜感がある
・いつもより水を弾いている
・洗い上がったのにきしみを感じる


ひとつでも当てはまる場合は、日焼け止めを落とし切れていない可能性が高いです。ほんの少しの差ですが、しっかり落とし切ることが重要なんです。

ちなみに、ボディソープで落としている人もいますが、ボディソープは水性の洗浄剤であることから、単体で落とし切るのは難しいでしょう。

お悩み③UV下地を使えば紫外線防御はできる?

ドラッグストアなどで手に入るUV乳液やUV下地をはじめとした化粧品の多くで謳われているのが「UVカット効果」。ユーザーの中には、普段からUV下地で代用することで日焼け止めを省略しているという声も挙がっていました。

☑️UV下地を塗っていたら、日焼け止めを省略してもいい?

みつい氏:前提として、本来のUVケア効果をしっかりと得るには、日焼け止めはたっぷり塗布するという認識は重要です。

みなさんがトーンアップ系の下地を使う際、顔が真っ白になってしまうことから量を抑えて塗っているのではないでしょうか。そうなってくると、紫外線防止という観点では塗布量が足りない状態になります。UVケア効果のあるファンデーションの場合、ファンデーションとしての塗布量となるため日焼け止めとしては量が少なくなってしまうのです。

ちなみに、下地やファンデーションなどにUVカット機能がついているのであれば、塗り重ねることで紫外線防御効果がアップします。そういった点から、UVカット効果のある下地やファンデーションを使う日は、日焼け止めはSPF30のものを使用するなどと、SPFを調整するのはありだと思います。

お悩み④下地やスキンケア成分との相性がわからない!

日焼け止めに下地を重ねるとモロモロとした白いカスが生じることがあります。スキンケアと日焼け止めの相性について気になるというユーザーの声も意外にも多いことがわかりました。

☑️モロモロが出る原因とは?

みつい氏:みなさんの多くが使用しているジェルタイプの日焼け止めのに下地を重ねるとカスがでてしまう原因のひとつに、「ビタミンC」をスキンケアに取り入れていることが挙げられます。

下地を塗ってカスがでてしまったら、お使いの日焼け止め、もしくは下地を見直す必要があるでしょう。

☑️カスが出ないようにするには?

みつい氏:日焼け止めの成分との相性もありますが、「ビタミンC」「ビタミンC誘導体」「〜アスコルビル」などの成分が入っているものはかなりカスが出やすい傾向にあるんです。

また、オールインワンジェル系のスキンケアを控えるのも対策方法として有効でしょう。また、乳液の中でも「カルボマー」という成分が配合されているものはカスが出やすい傾向にあるので気をつけてくださいね。

ちなみに、モロモロが出てしまった時点で直前に塗布したスキンケアや、日焼け止めの効果は落ちてしまっているので、再度塗り直す必要があります。もしくは、オイルベースの日焼け止めに変えるのもひとつの手です。


3、多機能化が進む日焼け止め・UVケア市場の今後は?

現在、ドラッグストアなどに並んでいる日焼け止めの多くが、「ジェルタイプ」「SPF50」「PA++++」のスペックは大前提、そのうえでスキンケアやベースメイクなどの機能を兼ね備えたハイブリッドなアイテムが増えています。

消費者が重視するのは「使い心地のよさ」

項目:ベタつかないなどの使用感のよさ、肌へのやさしさ、 トーンアップ、石けんで落とせること、伸びのよさ、白浮きのしにくさ、価格、耐水性、配合成分、保湿力、多機能性、容量、その他

「日焼け止めの効果を除き、もっとも重視する項目は?」という質問に対して、より多くの票を集めたのが「使用感のよさ」「肌へのやさしさ」「トーンアップ」の3項目でした。

実際に「LIPSベストコスメ2023」の日焼け止め部門・UVケア部門の受賞アイテムにおいても、そういった消費者心理が顕著に表れています。

日焼け止め部門1位を受賞した『ビオレUV アクアリッチ アクアプロテクトミスト』は、ミストタイプで気軽に使いやすいところに定評のある日焼け止めです。

その他、2位・3位を受賞したアイテムについても、伸びのよいジェルタイプの日焼け止めであることから、人気を得るには心地のよい処方がひとつのポイントであるようです。


SPF50、PA++++の数字だけではなく、「体感」を重視しよう。

メーカーから続々と展開されるハイブリッドな日焼け止め。そして消費者の理想である使い心地のよいジェルタイプの日焼け止めが選ばれているという現在の市場について、専門家であるみつい氏の見解をうかがいました。

みつい氏:専門家としては状況によって選んだり、塗り直しをしてほしいですが、リアルなユーザーのニーズとしては日焼け止めにSPF50・PA++++といった高いUVカット効果があることは、もはや当たり前になっています。

そこでは差別化できないことから、各社さまざまな機能をつけて差別化を図っているのというのが昨今の日焼け止め市場の現状です。そして多機能化は差別化のポイントとして、これからも進んでいくでしょう。

ただ注意してほしいのは、数字だけで選ぶのではなく体感を重視してほしいということです。同じSPF50・PA++++の日焼け止めであっても、SNSで話題になっている日焼け止めの検証画像のように、商品によって効果にばらつきがあるという認識がもっと広がってほしいと思います。

SPF50・PA++++の日焼け止めを塗ったとしても、日焼けしてしまった場合は、基本的には同じ商品は使用しないほうがよいでしょう。

また、全ての理想がつまった日焼け止めに出合うのは難しいため、生活スタイルや、ご自身が何を重視するかによって選んだり使いわけたりするのが当たり前の世の中になることを願っています。

このようなみつい氏をはじめとした専門家の意見が、SNSを中心に広がり、消費者の日焼け止めに対する正しい認識が浸透していくことで、日焼け止めの在り方や選び方についてのインサイトは大きく変わってくるのではないでしょうか。


4、改めて注目したい日焼け止めをピックアップ

LIPS編集部で改めて使いたいアイテム、そしてユーザーが熱視線を送る日焼け止めを2アイテム紹介します。

アネッサ パーフェクトUV スキンケアミルク N

純粋に紫外線防止効果を求めるのであれば、やはりシャカシャカ振るタイプ(オイルベース)の日焼け止めが欠かせないでしょう。なかでもLIPS編集部では「アネッサ」の日焼け止めに注目しています。

「SPF50+、PA++++、UV耐水性★★(スーパーウォータープルーフ)」処方であることからも、紫外線防止効果を求める人にとっては頼もしい相棒になってくれるはずです。

excel デイスキンコンフォート

各SNSで話題の"トレンドの原石"をいち早くキャッチし表彰する「LIPS月間トレンド賞」。そして、2024年2月に発表されたアワードの「スキンケア部門」で見事1位を獲得したのが「excel(エクセル)」の朝用UVクリーム。

美容液・クリーム・UVカット・化粧下地の多機能さが魅力で、プチプラとは思えないほどのみずみずしい使用感がもっとも評価されているポイントのようです。心地よい使用感が求められている昨今の消費者心理を映し出す結果となりました。


5、日焼け止めの正しい理解が、今後広がりを見せると予想

今回のアンケート調査やみつい氏への取材から、日焼け止めに対するユーザーの高い意識とは裏腹に、塗り直しや理想の日焼け止めの選び方、塗り方といった正しい理解はまだまだ浸透の余地があるように感じています。

2020年以降、消費者の中でヘアケア成分に対する理解が進んだ結果、それぞれの髪悩みに対応した「シリーズ買い」から「成分買い」へと消費者意識が変化したのは記憶に新しいですが、それと同じような形で、日焼け止め市場においても消費者の正しい理解を発端に、高SPF・高PA至上主義の日焼け止めについても、選び方に変化が生じるのではないでしょうか。

また、みつい氏をはじめとした専門家によるSNSでの発信を通して、正しい理解が進み、「ウォーターベース・オイルベース」「紫外線吸収剤・散乱剤」「耐水性」といった指標が今後注目されるのではないかと予想しています。

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