犬と猫の歯周病①
11月8日は「いい歯の日」です。
私たちのお口のトラブルの代表といえばむし歯と歯周病ですが…
実は犬と猫はむし歯にはなりにくく、歯周病がとっても多いんです。
テレビのCMや歯みがき用品のパッケージでもよく目にする”歯周病”って、どんな病気かご存知ですか?
犬と猫の歯周病について、全3回にわたって解説していきます。
■歯周病とは
歯周病とは、歯の周囲にたまった歯垢の中で歯周病菌が増え、歯周病菌が出す毒素などによって歯の周りの歯周組織(歯肉・歯根膜・歯槽骨・セメント質)に炎症が起きる病気です。
歯肉に炎症がおこる「歯肉炎」と、さらに症状が進行して歯の根元にまで炎症が拡がった段階の「歯周炎」があり、これを総称して「歯周病」と呼びます。
主な症状として、初期段階の歯肉炎では歯肉が赤くなって口臭がします。
悪化して歯周炎になると、歯の根元に膿(うみ)がたまったり、歯がグラグラしたり、歯が抜けてしまうこともあります。
また、最近の研究では、歯周病が心臓、腎臓、肝臓などの、全身的な疾患と関係があるといわれています。
このように歯周病は、お口の中だけでなく、全身の健康までおびやかす病気なのです。
■犬と猫にも歯周病は多い!
一般家庭で飼育されている犬や猫でも、2歳までに犬では約80%、猫では約70%が歯周病にかかっているとも報告されているように、犬や猫の口の病気でもっとも多いのが歯周病で、発症率は年齢と共に増加する傾向があります。(出典: WASAVA Global Dental Guidelines https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1111/jsap.13132)
このように、歯周病は、ヒトだけでなく犬や猫にも多く若いうちから気を付けなければならない病気なのです。
■犬と猫は虫歯にならない!?
ヒトに多いむし歯ですが、犬と猫では極めて少ないといわれています。
その理由は3つ挙げられます。
1.むし歯菌は酸性の環境活動が活発になる菌であり、弱アルカリ性である犬猫の唾液中では働きにくい。
2.むし歯菌のエサとなる糖(デンプン)をつくるアミラーゼという酵素が犬猫の唾液中には含まれていない。
3.犬猫の歯は鋭い山脈のようにとがっているため、ヒトの臼歯の平らな歯よりも歯の表面にむし歯菌が留まりにくい。
これらのことから、犬や猫で注意すべきは、むし歯よりも歯周病なのです。
もしも犬や猫に歯周病の疑いがある場合は、早めにかかりつけの動物病院に相談をしましょう。
そして問題がないで場合も、健康診断の際などにはお口の中の定期的なチェックもお願いすると安心ですね。
次回は、歯周病の原因となる歯垢と歯石について解説していきます。
「犬と猫の歯周病②」へ続く…
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