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失敗しないAIベンダーの選び方

アノテーション付きデータセットを収集するのは、条件が重なるほど大変な作業であることは皆様もご存知でしょう。社内でアノテーションを行おうとすれば、 チームが強力なAIの構築に専念することができなくなってしまいます。一方、専門のベンダーにアノテーションサービスを外注すれば、チームの生産性の向上や開発時間の削減につながり、競合の一歩先を行くことができることは実証済みです。そのため、個人や研究者、企業や政府は一層、アノテーション代行企業に目を向けるようになっています。クラウドソーシングによるアノテーターや既製のアノテーションツールを入手するための実行可能なソリューションになるからです。とはいえ、AI用教師データを提供するプロバイダーの数が増加するにつれ、信頼できる企業の選択に迷う方も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では、最善のアノテーション代行企業を選択するための主な手順についてまとめました。

① 目標を定める

まず、アノテーション代行企業に何を求めているのかを正確に定義する必要があります。作業範囲記述書は、成果物に関する目標と期待を記載する重要な書類であり、基本的に、外注先に期待する事柄について記します。つまり、通常、プロジェクトのワークフローやスケーラビリティに関する考慮事項、納入物の定義などの要素が含まれます。さらに、支払いや品質、カスタマーサポートに関する情報も記載しておく必要があります。このように、品質基準と期待を明確に定義することが重要です。

② 複数のアノテーション代行企業を比較評価する

どのアノテーション代行企業が貴社に適切なのかは、AIプロジェクトの仕様によって異なります。以下に、サービスプロバイダーを選択する上で調査する際、考慮すべき要素をいくつか挙げました。

経験

どの企業も自社のサービス分野で十分な経験があることを証明しようと努めています。そのため、クライアント企業のロゴやユーザーのレビュー、活用事例に目を通せば、クライアントのプロジェクトの背景やソリューション、結果について詳しく知ることができます。ニュースやプレスリリース、最近のブログ記事からも、そのベンダーが業界に関する知識に精通しているかどうかがわかります。営業担当者に資料を要求したり、企業ウェブサイトを閲覧したりしてから、次の事項について検討するとよいでしょう。
・そのベンダーは、確固としたプロジェクトの実績がありますか。
・そのベンダーは、同様のタイプのデータを取り扱ったことがありますか。
・そのベンダーは、業界内の他の企業にサービスを提供したことがありますか。

ツール、テクノロジー

アノテーション代行企業に外注する場合の主なメリットの一つは、既に構築されたアノテーションツールを利用できることです。これによって、社内でエンジニアチームがゼロからツールを作成する必要がなくなります。アノテーション代行企業のテクノロジーを利用すると、アノテーション作業を最適化することができ、時間とお金の節約につながるでしょう。

優れたアノテーションツールは、使い勝手がよく、人間の関与を最小限に抑えて効率を最大化しながら、データ品質を維持します。また、プラットフォームは複数の機能を搭載して広範なプロジェクトタイプをサポートし、プロジェクト管理および自動化のための機能が組み込まれている必要があります。

セキュリティ

アノテーションを第三者に外注する際に大きな懸念となるのは秘密保持です。高セキュリティのアノテーションサービスが必要な場合は、機微データのセキュリティプロトコルについて、ベンダーのITチームに尋ねてください。また、臨時の高セキュリティ施設やオンサイト作業員が必要な場合は、その企業がそうしたサービスもサポートできるかどうか確認することも重要です。次のような質問を検討してください。
・ベンダーがアノテーターと秘密保持契約を結んでいるか。
・ベンダーはデータを保護するためにどのようなセキュリティ対策を講じているか。

品質

AIモデルの精度は、データの品質によって決まります。どの企業とパートナーを組むか決定する前に、最終生成物の品質を保証するためにどのような品質管理メカニズムを用いているのか尋ねてみましょう。これは、アノテーターに専門的な知識やドメイン知識が必要とされる場合、特に重要です。データの品質に影響を与えるもう一つの重要な要素は、アノテーターの質です。プラットフォームで作業するアノテーターはどのように調達し、作業資格を与えているのでしょうか。アノテーションタスクの広範な経験を持つトレーニング済みの作業員を提供できるプロバイダーを見つけることが重要です。アノテーターの質が良ければ、より正確なデータを取得することができます。

価格

クライアントにとって、製品やサービスの料金がどのくらいになるのか事前にわかると助かります。特に、予算の制約がある場合、アノテーション代行企業と話を進める前に、タスクごとの大体の価格を提示してもらう必要があります。ただし、価格はサービスやデータの種類によって大きく異なる可能性があるので、必要なデータをきちんと確認してから見積もりを出す企業を選択するとよいでしょう。優れたアノテーション代行企業は、クライアントの投資利益率(ROI)を重視します。プロジェクトや費用、ソリューションについて、長期的な投資利益率(ROI)の観点から率直に評価できるベンダーを雇うようにしてください。

③ 概念実証をリクエストする

選択肢を絞り込んだら、プロジェクトに取りかかる前にトライアルを実施しましょう。トライアルとは、実際のプロジェクトと類似した小規模のタスクです。 サンプルデータの取得は、プロジェクトが複雑な場合や、ベンダーの納品能力が明らかでない場合に役立ちます。これによって、完全なデータ作成に取りかかる前に、プロジェクトのパラメータやガイドラインを微調整できます。さらに、概念実証を行う際は、非常に厳密なタイムラインを設定する必要があります。トライアルにおけるベンダーの納入実績と精度が全体的な意思決定プロセスで大きな役割を果たすからです。

④ 反復とスケーリング

トライアルの進行状況に応じて、追加のアノテーション作業を委託するか、パートナーの選考プロセスをやり直すかを決定します。そして、この決定が、モデルの設計、テスト、検証、デプロイ全般にわたってプロジェクトの成功を左右します。パートナーとプロジェクトを進めていく際は、アノテーションプロセスに徐々に改良を加えながら反復する必要があります。積極的なパートナーは、クライアントと緊密に連絡を取りながらプロジェクト設計を徐々に改良し、イノベーションに必要な機敏性と柔軟性を備えたツールやアノテーター、プロセスを提供します。

データサービスプロバイダーの数は膨大ですが、目標を明確にし、それを達成するために必要な事項を理解していれば、適切なパートナーの選択も難しくありません。慎重にそして丁寧にパートナーの選考プロセスを行いましょう。アノテーション代行企業の選択は、長期にわたって収益性の高い関係を築けるか、散々な結果を招くかの分かれ道です。 

機械学習用のカスタムアノテーションを収集する準備が整った際には、ぜひ当社のアノテーションサービスをご検討ください。当社は、優れたアノテーターの調達や品質チェックに役立つ、データ品質を改良するためのプラットフォームを設計し、言語的アノテーションや音声分析など幅広いサービスを提供しています。当社プラットフォームには100万人のコントリビューターが在籍しており、大規模なデータセットを迅速かつ低価格で処理いたします。

※ 本記事は、弊社英語ブログに掲載された記事に基づいたものです。


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