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「乳化剤の摂りすぎは腸内環境を乱す」　　今週の新着論文（2021.11.22～11.26）

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一気に秋を通り越し冬がやってきました。京都も週末は以前のように観光バスが増え、幹線道路も渋滞しています。紅葉もそろそろ散りだしてきましたので今週末が見ごろかもしれませんね。

本日は今週アップした論文のなかから、乳化剤と腸内環境に関する情報をお送りいたします。

◆2021年11月26日　【腸機能】
【RCT】CMCの広範な使用が腸内細菌叢とメタボロームを変化させることにより慢性炎症性疾患の有病率の増加に寄与している可能性がある（フランス）
Gastroenterology. 2021 Nov 10;S0016-5085(21)03728-8.

◆概要◆
健康な成人に乳化剤を含まない食事（n=9）、またはCMCを1日あたり15g添加した同じ食事（n=7）を11日間摂取させた。
対照群と比較して、CMCの摂取は食後の腹部不快感をわずかに増加させ、腸内細菌叢の構成を乱してその多様性を低下させた。
さらに、CMCを摂取した被験者は、糞便中のメタボロームに変化が見られ、特に短鎖脂肪酸と遊離アミノ酸が減少した。
加工食品にCMCが広く使用されていることが、腸内細菌叢やメタボロームを変化させることによって、一連の慢性炎症性疾患の有病率を高める原因になっている可能性を示唆した。
（論文内容の詳細は直接ご確認ください）

◆Pickup Point◆
CMCとは、カルボキシメチルセルロース（carboxymethylcellulose）と呼ばれる食品添加物の1つです。このCMCは日本では乳酸菌飲料や調味料、サプリメントなどに利用され、主に増粘剤として、また乳化剤として利用されています。
日本だけでなく世界中で利用されており、安全性については担保されていると考えられています。

しかし、2015年には既にNatureでマウスでの実験ですが、このCMCが腸内細菌叢に影響を与える、という報告がありました。
Nature volume 519, pages92–96 (2015)

一方、今回取り上げたこの論文では、ヒトでRCT試験を実施している点が非常に説得力がある試験です。

また昨年発表された論文では、クローン病の患者さんを対象に、乳化剤が入った食事を14日間摂らないように指導した結果、クローン病の症状が有意に減少した、と報告しています。
Nutrients 2020, 12(9), 2827

この二つの論文から、ヒトでもCMCを摂取すると腸内細菌叢が乱れること、また乳化剤を摂取しなければ悪化した症状は改善する、といえそうです。

ただ全ての乳化剤、増粘剤がこのような症状に関与するとはいえません。
実際に、先ほど紹介したNutrientsの論文ではマウスを対象にした実験で、腸に障害が出たものはCMCであり、例えば大豆由来のレシチンやアラビアガムはそのような悪影響はなかった、としています。
このほかにも、ショ糖脂肪酸エステルと呼ばれる乳化剤がありますが、これも腸内細菌や腸内環境に悪影響を及ぼすのではないかと言われているようです。
腸内細菌も脂質膜で覆われており、これら乳化剤がその脂質膜を壊してしまうこと、また腸上皮を覆っているムチンが薄くなることで腸バリア機能が障害を受け、これらが相まって、クローン病をはじめとした腸疾患やさらにはメタボリックシンドローム、肝機能障害などにもつながっていく、と考えられます。
Am.J Physiol Gastrointest Liver Physiol. 2020 Sep 9

健康に良いと思って飲んでいるサプリメントにこれらの増粘剤や乳化剤が使われている可能性は十分にあります。
商品パッケージに記載されている原材料表示をよく見て、増粘剤（CMC）と書かれていないか確認していただき、書かれている商品は避けていただくのが良いと思います。

私どももサプリメントを設計するうえでは、まず使用する原料のなかにCMCが使われていないかをチェックし、また副原料（賦形剤）としても使わないようにしています。

そのほか今週アップした論文は以下の通りです。
参考にしていただけると嬉しいです。

生まれてくる子供の神経管閉塞障害を避けるために妊娠前や妊娠中により積極的に葉酸を摂取することが望ましいといわれていますが、それだけでなく自閉症スペクトラム障害（ASD）にも保護効果があるという報告がありました。しかし、過剰な葉酸の摂取は無害ではない可能性があるため、妊娠への影響を知るためにはさらなる研究が必要である、とのことです。
ここ最近発表される論文では、葉酸とビタミンB12の摂取バランスが重要で、葉酸摂取量が偏りビタミンB12が少ないと妊娠糖尿病のリスクがあるなどと言われていますので、ビタミンB12も意識して摂取しましょう。

リンクアップは、本当に役立つサプリメントや機能性食品を開発し提供したいとお考えのお医者様や企業様のために、商品企画や開発から製造、販売にいたるまでサポートさせていただいており、使ってよかった、元気になった、と言っていただける、そんな商品をぜひ一緒に作っていきたいと思っております。

一人一人が病気にならないために、また不調から抜け出し健康で毎日を過ごすためのきっかけとしてサプリメントや機能性食品が利用されるよう、本当に役に立つ商品を一つでも多くお届けするためにお手伝いをしたいと考えております。

また、自分が飲んでいるサプリメントは大丈夫なの？といった質問にも、
これまでの経験を踏まえ、できる範囲でお応えしたいと思いますので、コメントいただければと思います。


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