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ホスファチジルコリンはGPCや塩化コリンと異なり血漿中TMAO濃度を上昇させない

少し早いですが、来週の2月3日は節分です。節分というと最近は恵方巻を食べるのが良く知られていますね。豆まきは掃除が大変ということで少しだけやるというご家庭もふてえ来ているのではと思います。
豆まきといえば大豆です。大豆にはタンパク質はもちろん、様々な健康機能成分が含まれていますが、本日は、そのなかのリン脂質、ホスファチジルコリンという成分に関する研究結果をお伝えします。

▶論文概要
コリン、ベタイン、L-カルニチンは、腸内細菌叢によってトリメチルアミン(TMA)に変換され、肝臓に吸収され、フラビン含有モノオキシゲナーゼによってトリメチルアミンN-オキシド(TMAO)に酸化される。
TMAOの濃度が高くなると、人間の健康に悪影響を及ぼす可能性がある。
ラットの血漿中TMAO濃度に及ぼすホスファチジルコリン(PC)、グリセロホスホコリン(GPC)、塩化コリン(CC)の影響を比較検討した。
PCは血漿中TMAO濃度に影響を与えなかったが、GPCとCCは血漿中TMAO濃度を有意に上昇させた
食餌性PCはGPCやCCと異なり、ラットの血漿中TMAO濃度を上昇させないことがわかった。
さらに、いくつかの腸内細菌は、コリン化合物を摂取したラットの血漿中TMAOレベルの変化と関連していることがわかった。

▶論文情報
Unlike Glycerophosphocholine or Choline Chloride, Dietary Phosphatidylcholine Does Not Increase Plasma Trimethylamine-N-Oxide Levels in Sprague-Dawley Rats
Metabolites 2022, 12(1), 64
発行日:2022年1月11日

ホスファチジルコリン(PC)はレシチンとも言われます。このホスファチジルコリンは水溶性ビタミン様必須栄養素であるコリンの供給源です 。
多くの研究により、食事性PCが血中脂質プロファイルを改善することにより、心血管疾患(CVD)に対して保護効果を発揮することを示唆しています。
一方で、最近の研究では、食事性PCはその代謝物であるコリンなどを通じてCVDのリスクを高める可能性があることが示唆されています。
食事性コリン、ベタイン、およびL-カルニチンはすべて、腸内細菌叢による異化作用を受けてトリメチルアミン(TMA)を形成し、このTMAは吸収されて、肝臓でフラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO)によってトリメチルアミンN-オキシド(TMAO)へと急速に酸化されます。
TMAOの循環レベルの上昇は、人の健康に悪影響を及ぼすと考えられており、CVD、大腸がん、慢性腎臓病の危険因子とされています。
今回はラットを用いた研究ですが、コリンを含む成分であるホスファチジルコリン、グリセロホスホコリン、塩化コリンを用いてTMAOへの代謝の違いを調査しています。
(グリセロホスホコリンは、近年、脳機能に役立つ成分としてサプリメントなどに配合されているものです)

調査の結果、ホスファチジルコリンは有害成分と言われているTMAOにほとんど変化せず、GPCや塩化コリンはTMAO血中濃度が大きく上昇した、としています。

他の研究では、GPCは動脈硬化を促進するトリメチルアミンN-オキシドに代謝されることから、動脈硬化の進行に関わる分子メカニズムが示唆された、とのことです。
GPCの投与により腸内細菌の群集構造が変化し、Akkermansia、LactobacillusおよびRoseburiaの存在量が減少することが特徴的であることが示された。
これらのデータは、GPC投与マウスにおける糞便および糞便中の短鎖脂肪酸の減少と一致する。
GPCは複数のメカニズムで動脈硬化を促進することがわかり、GPCを栄養補助食品として使用する場合は注意が必要である
としています。
Int J Mol Sci. 2021 Dec 15;22(24):13477.

更に、ヒトでの研究結果がJAMAから以下のように報告されています。
脳卒中、アルツハイマー病、脳血管障害の基礎疾患のない50歳以上の1200万人以上を対象としたマッチドコホート研究を実施した。
α-GPC非使用者(n=11,900,100)と比較して,使用者(n=108,877)は全脳卒中(aHR,1.46;95%CI,1.43-1.48),虚血性脳卒中(aHR,1.36;95%CI,1.33-1.39)および出血性脳卒中(aHR,1.36;95%CI,1.28-1.44)リスクがより高値であった。
α-GPCの使用は用量反応的に10年間の脳卒中発生リスクと有意に関連していた。
また、α-GPCを使用している人と使用していない人では、脳卒中のリスクが46%高かった。
JAMA Netw Open. 2021;4(11):e2136008.

コリンはビタミン様成分として様々な栄養機能がありますが、その供給源としては、大豆やたまごなど食品成分に含まれているホスファチジルコリンを摂取し、GPCから摂取するのは控えたほうがよさそうです。


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