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【Oral care-10】奥歯の噛み合わせがない場合、高血圧リスクは1.7倍も高まる

オーラルケアシリーズの第10回目です。

今回は、奥歯の噛み合わせがない場合、高血圧のリスクを1.7倍も高める
という兵庫医大からの論文をご紹介します。

▶論文タイトル
「The Association of Dietary Intake, Oral Health, and Blood Pressure in Older Adults: A Cross-Sectional Observational Study」
▶論文情報
Nutrients 2022, 14(6), 1279
発行日:2022年3月17日

▶概要
口腔内の健康と血圧の関係における食事摂取の役割について日本の農村地域に居住する65歳以上の自立した成人894名を対象に評価を実施した。
口腔内の状態は、残存歯数、咬合力、後方咬合支持力、咀嚼能力、口腔水分、口腔内細菌量により評価した。正常血圧が30.9%、高血圧が23.8%、高血圧の既往が45.3%に認められた。
高血圧と有意に関連する因子は、年齢、肥満度、後方咬合支持の状態、食塩摂取量および野菜摂取量に関連するナトリウム-カリウム比であった。
後方咬合のない参加者は、高血圧のリスクが有意に高かった(オッズ比=1.72)。

昨年12月に、大阪大学からの報告で、咀嚼能力が低下するとメタボリックシンドロームになりやすい、という記事をアップしました。

今回は、高血圧になりやすい人の特徴を調べた結果、通常いわれているような要因である年齢、肥満度、食塩摂取量および野菜摂取量に関連するナトリウム-カリウム比、のほかに、「後方咬合支持の状態」という要因があるということがわかりました。
つまり、奥歯がなく、よく噛めないと高血圧になりやすい、ということです。それも1.7倍もリスクが高いのです‼

日本人高齢者が好む噛みやすい食品は、塩分濃度の高い加工食品であると考え、またさらに、本研究の参加者のBMIが正常であっても血圧は高く、高血圧の日本人は肥満がないことが多いというJSH2019の報告とも一致し、高血圧非肥満者では高血圧肥満者よりも心血管疾患の人口リスクが高いというJSH 2019の報告とも一致していた、とのことです。

後方咬合接触が減少すると、緑黄色野菜などの食べ物を噛むことが制限され、その結果、食物繊維の摂取量が減少し、高血圧発症の危険因子である低カリウム・高ナトリウム摂取につながると推測される、と筆者は述べています。

今回の調査結果から、栄養摂取を改善し高血圧を予防するためには、口腔内の健康を維持することが重要である、逆に言うと、歯周病などで奥歯を失うことなく、ケアすることが、将来の自分の健康を維持するために非常に重要だと言えます。

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