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コーヒーは認知症リスク低下と関連  今週の新着論文(2021.10.25~10.29)

本日は今週アップした論文のなかから、コーヒーと認知症に関する情報をお送りいたします。
◆2021年 10月 28日 【脳機能】
【コホート研究】1日3杯以上のコーヒーの消費は、特に男性において用量依存的に認知症リスクの低下と有意に関連(新潟大学)
J Am Geriatr Soc. 2021 Oct 8.

◆概要◆
中高年におけるコーヒー、緑茶、カフェインの摂取と認知症リスクとの関連を検討することを目的とした8年の追跡コホート研究を行った。参加者は40~74歳の地域在住者(n=13,757)。研究期間中の認知症患者数は309人いた。
コーヒー消費量が多いほどHRは低く(補正トレンドp=0.0014)、第5分位(≧326ml/日)は第1分位(<26ml/日、基準)に比べてHRが有意に低かった(0.49、95%信頼区間[CI]:0.30-0.79)。
さらに、2~2.9杯/日および3杯/日以上のコーヒーを摂取している人は、0杯/日の人に比べてHRが低かった(それぞれ0.69、95%CI:0.48~0.98、0.53、95%CI:0.31~0.89)。
高濃度のコーヒーおよびカフェインの摂取は特に男性において用量依存的に認知症リスクの低下と有意に関連していた。さらに、1日3杯以上のコーヒー摂取は、認知症リスクを50%減少させることがわかった。

◆Pickup Point◆
今回のコホート研究は新潟大学で行われた日本人を対象にした研究です。これまでは緑茶が認知症予防に良いという報告はありましたが、今回、コーヒーを1日に3杯以上飲むと、特に男性で認知症リスクが50%減少する、というものでした。
また緑茶については、60~69歳のサブグループでのみ有意でした。
2014年に金沢大学から発表された研究結果では、60歳以上の調査で、約5年後に認知機能が低下しているリスクが、緑茶を全く飲まない群と較べて、週に1~6回飲む群では約1/2、緑茶を毎日1杯以上飲む群では約1/3に減少した、としています。
PLoS One. 2014 May 14;9(5):e96013.
この結果は、今回の新潟大学のグループの結果と同じような結果となっており、誰もが緑茶を飲めば認知症予防になるとは言えないようです。
一方で、コーヒーはより若い年齢からでも期待できそうです。
しかし、どんなことでもそうですが、飲みすぎには注意が必要です。
例えば、コーヒーを飲みすぎると歯周病リスクが上がるといわれています。この話はまた別の機会にお伝えします。

そのほか今週アップした論文は以下の通りです。
参考にしていただけると嬉しいです。

◆2021年 10月 29日 【妊娠・産後】
【Review】普及型HMOの乳幼児の健康への影響について
◆2021年 10月 28日 【脳機能】
【コホート研究】1日3杯以上のコーヒーの消費は、特に男性において用量依存的に認知症リスクの低下と有意に関連
◆2021年 10月 27日 【歯科】
口腔内の健康状態が悪く、ビタミンDが不足している妊婦は早産(PTB)と低出生体重児(LBW)が多い
◆2021年 10月 26日 【腸機能】
【in vivo】抗生物質療法後の経口鉄補給は、腸内細菌叢の回復に有害な変化をもたらす
◆2021年 10月 25日 【メタボリックシンドローム】
【SR&メタ解析】循環25(OH)Dの最も低いカテゴリーは、CVD発生率イベントおよび再発性CVDイベントのリスクが高い

HMOといわれるヒトミルクオリゴ糖の様々な機能が明らかになってきています。日本ではまだ食品原料としては利用されていませんが、特にアメリカでは既に様々な商品が販売されており、HMOも近いうちに日本でも使えるようになるのではないかと思います。

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